情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

民主主義とされる国で世界最悪の日本の選挙制度がさらに改悪されようとしている…

2012-01-18 20:07:41 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 日本では消費税を増税するために、国会議員(衆議院議員)を減らすんだそうだ。じゃ、いっそゼロにしたら…、そんな皮肉も言いたくなる。だってそうでしょう、国民に負担をしてもらうためなら国会議員の人数を減らしていいわけだ。ただのでくの坊だったっていうことを自白しているようなもんだよ。東電原発事故の最大の教訓はなんだったのか?議員がきちんと原発の危険性を認識することができず、我々市民が危険性を知ることができなかったことではないのか?その対策としては、「国権の最高機関」である国会の機能を高めることではないのか?議員を削減することがそれらに役立つのか?世界的に見て日本の議員は多いのか?(※1)そいういう根本的なことは議論されていない。

※1 冒頭の画像→ http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-07-03/2010070301_04_1.html

 そもそも、民主党が採用しようとしている自民党の削減案は比例制度分180人を100人にしようというもの。
 不思議なことに、テレビでは、国会議員の報酬や秘書給与などの一人あたりの経費総合計があまり議論されないが、辛坊治郎氏によると、一人あたり6400万円以上だという(※2)。仮に6500万円とすると、80人分で52億円だ。

 この金額をどう評価すればいいのだろうか?例えば、新型戦闘機の一機あたりの金額は99億円。新型戦闘機を一機削減すれば2年間はまかなえる計算になる。つまり、節約すると言ったって、その程度のものでしかないわけだ。

※2 http://shinsho.shueisha.co.jp/column/toranomaki/030129/

 他方、削減することの弊害は極めて大きい。

 そもそも、2大政党制を導き、結局選択肢が限られる小選挙区制度は、比例制よりも民意を反映しない。そこで、先進国では、比例制が中心となる選挙制度が採用されている。小選挙区が中心となっている国は、アメリカ、イギリス、フランス、オーストラリア、カナダ、日本くらいだ。

 しかも、イギリスでは、第3政党である自由党が躍進し、2011年5月5日、小選挙区制の見直しを問う国民投票が行われた。自由党が連立している保守党が反対運動に本格的に取り組んだこともあり、見直し案は否決されたが、3割は見直しに賛成した。英国では小選挙区制度が揺らいでいるといえる。

 フランスでは、決選投票制度を採用している。第1回投票で、過半数(50%超)の得票を得た候補がいない場合に12.5%(全体の8分の1)以上の得票を得た候補によって決選投票が行われるという制度だ。
 これによって、投票数の8分の1以上の票を得た候補者に投票した人の候補者が決選投票に進出し、逆転によって、その選挙区の当選者となる可能性が残されている。
 また、少なくとも、最初の投票結果をみて、第2位の方がベターだと考える人が多ければ逆転されるわけだから、そういう意味でも民意が反映されるように工夫されている。

 さらに、オーストラリアでは、選挙区の立候補者に順番をつけることになっている。そして、第1順位票で過半数を獲得した候補者がいればその候補者が当選するが、いない場合は、第1順位の得票が最少の候補者の得票を、投票者の指定した優先順位に従って他の候補者に配分し、いずれかの候補者が過半数を獲得するまでこれを繰り返すこととなっている。



 たとえば、5人が立候補して、1位Aさん30%、2位Bさん25%、3位Cさん20%、4位Dさん15%、5位Eさん10%だったとしよう。
 まず、5位Eさんの10%について、2番目に誰に入れたかをチェックする。たとえば、Aさんに1%、Bさんに6%、Cさんに1%、Dさんに2%だとする。
 そうすると、1位Aさん31%、2位Bさん31%、3位Cさん21%、4位Dさん17%となる。
 そこで、Dさんの17%を確認する。原則として2位に誰を入れたかを確認するわけだが、すでに落選しているEさんを2位にしている人(及び1位Eさん、2位Dさんとしている人)については、3位に誰を選んだかで振り分けることになる。
 たとえば、Aさん4%、Bさん10%、Cさん3%とします。
 すると、1位Bさん41%、2位Aさん35%、3位Cさん24%となるわけです。
 さらに、Cさんのを確認してBさん12%、Aさん12%であれば、総合結果は、1位Bさん53%、2位Aさん47%となり、Bさんの逆転勝利となる。
 こうして、少数者の投票結果も反映されることになっている。

 お待ちかねのアメリカ。日本では、小選挙区がアメリカで採用されていることが強調され、まるで小選挙区が世界スタンダードのように伝えられている。しかし、そもそも、小選挙区を採用している国は少ない上、アメリカの小選挙区は日本の小選挙区よりもはるかに民意が反映される制度となっている。
 米国では、本番の前に予備選挙がある。政党内で党員の選挙によって候補者を選ぶわけだ。ここでは、当然、候補者が限定されるわけではない。したがって、有権者は、多様な候補者から自ら望ましい人を選ぶことができる。日本でも一部で行われることがあるが、ほとんどは政党の幹部がその選挙区の候補者を決めてしまう。
 ここで、同じ政党に所属しているんだから、誰が選ばれても同じじゃないか、という反論がありそうだが、その反論は間違っている。
 米国では、予備選挙があることによって、候補者は政党とは別に、自ら自身の支持者を得ようと努力する。そして、その支持者らが本番の選挙でも活躍して、当選に至るわけだ。したがって、議員は政党の政策にべったりというわけではなく、党議拘束(国会で政党が決めたとおりに投票する制度)がない。したがって、同じ政党に所属する議員でも政策にバラエティーがあるということになり、予備選挙の意味が極めて大きいものとなっている。

 カナダは、州に大きな権限がある上、英語圏とフランス語圏の緊張関係があるため、日本とは事情が違う。少なくとも、選挙制度以外の制度では、日本よりも民主主義を貫こうという意思が感じられる(例えば、メディアリテラシーやマスメディアを巡る制度など)。

 ひるがえって、日本の小選挙区制度は、大政党が押し付けてきた2人から選ばざるを得ず、自分が選びたい人を選ぶことができない仕組みになっている。

 比例制度があるのが救いだったが、それが減らされようとしているわけだ。民主主義とされる国で世界最悪(ヤメ蚊調べ:いやぁ、こっちの方がひどいというところがあれば教えてください)の日本の選挙制度がより改悪されようしているというほかない(※3)。



※3 上記画像→ http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-07-03/2010070301_04_1.html

 マスメディアは、この削減案に揃って賛成しているようだ。小選挙区制度が採用されたときもそうだった。しかし、結局、自民党(=官僚にとって都合の良い政党)の延命に寄与しただけだった。

 市民が「削減するなら小選挙区部分だ」という声をどこまで上げることができるか、市民の力がまた、試されている。










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◆東電本社の記者会見は、午前11時~正午から始まる単独会見、午後5時ごろからの統合本部会見の2回となっている。インターネットで生中継と録画配信されている◆

 → ニコ生 http://live.nicovideo.jp/ 

   岩上さんのサイト http://ow.ly/4wCEr



◆東電会見に出席し続けている木野龍逸さんへの支援金の振込先口座は下記のとおりです。

 郵便局の振替口座
 口座番号は、00100-5-362362
 口座名称は、木野龍逸支援の会(キノリュウイチシエンノカイ)


 なお、銀行からの場合、
 ゆうちょ銀行
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 当座預金
 0362362
 にお願いします(できれば郵便局の振替でお願いします)。



◆以下参考◆


原子炉建屋とタービン建屋の図。クリックで拡大できます。

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→ http://www.nichibenren.or.jp/activity/human/higashinihon_daishinsai.html





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Please HELP Okinawa. 75% of the American bases in JP is in the islands, only 0.6% of JP land. Relocate #Futenma base outside.

Marine in Futenma must go back to your country. There is no place where the base of Marine is acceptable in Japan.

Okinawa and a lot of Japanese oppose the transfer of the Futenma base to Henoko


At least180 MPs of ruling parties say NO to Futenma relocation within Okinawa. Check this http://bit.ly/9jQIW8



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★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて:Gilbert's Nuremberg Diary)
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