情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

対中政策に生き残りをかける自衛隊~将来の陸自のトップエリートが敵視戦略構想

2008-05-10 14:53:27 | 有事法制関連
 あなたが、自衛隊幹部だったら、世界が平和ムードに包まれるのは承伏しがたいでしょうね。友好関係が強固なものになればなるほど削減の対象になるのは間違いないからです。そういう意味では、世界の軍隊幹部は利害関係を共通にしているともいえるでしょう。米国が強引にヨーロッパでミサイル防衛構想を現実化しようとしたのも、もしかたしたら、ロシアが反発しロシア軍が活発化することをねらったのかもしれません。

 東アジアでは、基本的にはロシアの脅威はなくなり、また、中国は世界経済に完全に組み込まれ、暴走の可能性は限りなく低くなっている。残された問題は北朝鮮ですが、ここも日中友好関係が強化されれば、中国から「使い捨て」にされる可能性が大きくなり、何らかの形で世界と妥協せざるを得なくなるだろう。

 この状況は自衛隊にとっては嬉しいことではない。そこで、北朝鮮の脅威を過大視してミサイル防衛構想を取り入れつつ、中国の軍備拡大を誘っているのではないだろうか。ソ連なきいま、中国を軍備増強の口実にしようということだ。

 そのことを窺わせるような資料(※1)がNPJに連載されている井上正信弁護士の「憲法9条と日本の安全を考える」というシリーズの「暴走を始めた自衛隊その4」(※2)で紹介されている。冒頭の図はその一つ。

 同弁護士によると、この資料は、2004年7月26日から30日、陸自幹部学校で開かれた総合安全保障セミナーで使用されたもの。参加者は、49期指揮幕僚過程の学生と外部の参加者(松下政経塾、伊藤忠商事、三井物産エアロスペース、株式会社リコーなど)らしい。指揮幕僚過程は、30代前後の陸自若手幹部で、将来の陸自のトップエリートを養成する教育課程という。

 このセミナーで 「今後の国際情勢を踏まえ、見通しうる将来において日本が採るべき安全保障戦略について考察せよ。この際、思考過程、国家目的、目標等を踏まえ、具体的政策提言を作成せよ」 という課題が出され、チームに分かれて、作成したもののようだ。

 冒頭の図について、井上弁護士は次のように述べている。

【「支那封じ込め戦略」 と、中国を支那と呼称し (支那という熟語はパソコンではそのまま出てきません)、「暴戻支那 (中国)」 を封じ込めるため、「友邦インド」 と 「白熊ロシア」 が牽制 ・ 包囲する図を示しています (カギ括弧内の用語は資料をそのまま引用しています)。

  「暴戻支那」 という用語は、戦前派の年輩者には分かる言葉ですが、1937年7月7日廬構橋事件の後始まった日中戦争において、同年8月15日、日本政府が発した開戦声明の中に 「支那軍の暴戻を膺懲し」 が登場します。その後日本で日中戦争遂行のスローガンとなったのが 「暴戻支那の膺懲」 でした。

  時代錯誤といってすまされるものではありません。セミナーに参加した陸自隊員は、近い将来の陸上自衛隊を背負うことを託されたトップエリートなのです。彼らの安全保障戦略観に共通していることは、憲法改正により日本が強大な軍事国家となり、海外権益防護のため積極的に軍事力を行使すること、しかも極めて自己中心的な戦略を思い描いていることです。】

 私たちは、自衛隊が何を考え、何をしようとしているのかをしっかりと見極めなければならない。親戚の中に自衛隊が多いケース、いわば自衛隊を「ファミリービジネス」化している家族も多いという。他方で、軍事のIT化が進み、産業界が軍備に何らかのの形で関わるケースも増えているはずだ。

 自衛隊を削減しようと思えばいつでもできる体制、少なくともその体制だけは確立しておかなければならない。そのためには、政府内に「平和省」をつくるのも一つの方法ではないだろうか。


※1:http://www.news-pj.net/npj/9jo-anzen/pdf/shiryou-20080509.pdf

※2:http://www.news-pj.net/npj/9jo-anzen/index.html









★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。転載、引用大歓迎です。


最新の画像もっと見る

35 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
支那の夜 (kaetzchen)
2008-05-10 15:58:55
私のPCの IME は ATOK なので,一発で「支那」が出て来ます.「京城」も「そうる」で出ます.

# 「蘇州夜曲」も一発で出て来ます…….さすがに「何日君再来」は一発で出ませんが.

返信する
Unknown (真実)
2008-05-10 16:38:06
中国の暴走の可能性は限りなく低い…

勘違いも甚だしいですな…
軍備縮小に反対するつもりはありませんがもう少しまともな主張をしてくださいよ…

日本の弁護士さんはいつまでたっても平和ボケから抜け出せないみたいですな…
返信する
Unknown (真実)
2008-05-10 16:47:17
それから支那ですが携帯電話でさえ一発で検索されますが一体どんなパソコンをご使用で?
返信する
年々歳々花相似、歳々年々人不同。 (田仁)
2008-05-10 21:30:49
何故だか特に靖国原理主義者など一部の日本人は、他人の学習能力が存在しないモノと決め付けてしまうようです。
恐らく、自身に学習能力が存在しない為ではないか?と推察しますが。
インドもロシアも、そして中国も、日本の靖国原理主義者よりは余程、学習能力があります!幸いにして。
だから、空中楼閣の屋上屋をシュミレートして見てヨガっても、所詮は無駄!なんですが。
(何で、B層右翼は世が変わり人が変わろうと、変わらない自然物に近いんですかね?ケダモノに近いから?)
只、問題は、そんな呆けでも「日本の血税を米軍産複合体に巻き上げられる理由」にはなり得る!点です。
冷たい言い方のようですが、あくまで日本の問題である訳です、税金をどう使うか?との。
返信する
Unknown (debi)
2008-05-11 18:30:12
>自衛隊が何を考え、何をしようとしているのかをしっかりと見極めなければならない

自衛隊の最高指揮官は総理大臣です
イラク派遣は自衛隊が勝手に行ったわけではないでしょう?
返信する
松本清張の昭和史発掘で2・26を読み…。 (田仁)
2008-05-11 23:46:28
思った事は!「2・26を一言で表現すると『大日本帝国陸軍内部の利権争い』じゃないか!汚いったらコレ程に汚い話も他に無いのに、何処が『彼等は純粋』?!純粋な金権への欲望って意味か?皆、騙されてる!」でした。
大嘘ですよね!!
青年将校は一寸お間抜けで構造が見抜けず、ボロボロに使い倒して捨てられたかは知れませんが、全体の構図は明らかに利権!以外の何物でも無いです。
ま、逆に、ヨクもソコ迄の大嘘を日本全土にプロパガンタばら撒いて、徹底させやがったな!恐るべし、在郷軍人会!と情報操作の激しさを感じました。
てな訳で、秋山・山田洋行以降の自衛隊は、石破さんが明言してるように、文字通り焼け太りを狙っていて、ソレは『背広組排除&制服組が頂点に迄立つ』でしょう。
汚い。
返信する
赤旗が…。 (田仁)
2008-05-14 16:53:05
新聞「赤旗」が自衛隊の軍事法廷設置構想の中に、一般市民の守秘義務を入れ込んで、軍事と名のつくもの(無理矢理にも名づける事が可能なもの)を言論統制する手法を研究中であると素っ破抜きました。
どうにも『暴戻シナ』時代が懐かしくて仕方なくって切なくて、過去にタイムマシーンで帰れるものなら帰りたく、せめて現実逃避しちゃいたい勢力が自衛隊内部に巣食ってるようですね?
ぶっちゃけ、我々一般庶民は、あんな時代に帰るのってば何が何でも御免ですけど、彼等はアノ頃どれ程の甘い汁を吸ったんだろう…?(凄い隔絶感を覚えます。)
返信する
タイトルは変更しました…書き出しも削除 (名無し三頭兵)
2008-08-17 21:49:49
【ヤメ蚊:いきなりあほだ、馬鹿だは、なしにしましょう。以下は、触っていません】

・・せめて今の日本が大軍縮中だということくらい抑えてから発言すべきですね。
具体的にはこちらをどうぞttp://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2005/2005/html/17225300.html
ttp://obiekt.seesaa.net/article/7859815.html
これを見てまだ日本が軍国主義目指しているとかいわないでください。

>そこで、北朝鮮の脅威を過大視してミサイル防衛構想を取り入れつつ、中国の軍備拡大を誘っているのではないだろうか。
話があべこべです。ミサイル防衛を必要にさせたのは北です。そして中国はMDとは無関係に軍拡中です。

>★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)

これ珍説といっていいかと。
ttp://mltr.ganriki.net/faq12p.htmlより引用
【事実】
 どんな国でも有効とは限りません.
>貧しい農民が命を賭けようなんて思うはずがありません
からして明白に誤りです.

 例えば18~19世紀のロシア農民は,愛国イデオロギーの裏づけがないにも関わらず,「最低の装備にしては当時の欧州最高の兵士」と評価されています.
 20世紀のインド植民地軍も,英国への忠誠において高く評価されています.
 職務に殉じて全滅した傭兵も,教皇クレメンス5世を逃がすための時間を稼いだスイス人傭兵を初めとして少なくありません.そのスイス人傭兵の多くは,出稼ぎ農民でした.

 反対に,「愛国心」を旗印にしたインド国民軍は,投入方法のまずさもあって,士気はだだ下がり.
 また,プロパガンダにも限界があります.
 プレスの自由が確立されている地域では,対抗プロパガンダがすぐに現れるので,効果が薄くなります.
 また,プロパガンダの嘘が一つ暴かれれば,反動で国家そのものへの不信を招くことになります.
 そもそも,それほどプロパガンダが有効であるなら,メディア・コントロールが徹底している北韓には反政府勢力など一人もいないことになってしまいますが,現実はそうではありません.他の,国家がメディア管制を敷いていた独裁国家でも同様です.
 要は「愛国心」は,ただ笛を吹けば踊るようなものではないのです.
 ゲーリングはしょせん飛行中隊長がお似合いのレベルなようで(笑).
消印所沢 in mixi,改

 そもそも,宣伝機関のボスでもない,単なる空軍の親玉(しかも,空軍の最高司令としても無能だった)に過ぎないゲーリングの言葉にどんな重みがあるんだ?
 専門分野がまるで違う,畑違いだろうが.
 ゲッベルス宣伝相の言葉だというなら一考の余地はあるがね.
 ちなみに,このゲーリングの一文は,ニュルンベルグ裁判の時のものだが・・・ゲーリングは大戦後半の時点で度重なる失敗(バトル・オブ・ブリテン敗退,スターリングラード物資空輸作戦失敗など)でほぼ失脚状態にあり,戦争末期には薬物中毒状態にあった.
 ヤク中の中年太りの親父の言葉に,どんな重みがあるんだ? なぁ?
JSF in 週刊オブイェクト,2006/6/4,コメント欄

>インドもロシアも、そして中国も、日本の靖国原理主義者よりは余程、学習能力があります!幸いにして。
そうですね。非同盟主義だったネルーのインドは中印戦争後核開発にいそしみましたし、ロシアはグルジアやチェチェンで軍事力を行使しましたし、中国は陸上で国境を接する国すべてと中国からの侵略という形で交戦して、いまや二本の二三倍の軍事費をかけていますね。
返信する
軍国主義ではなく軍備予算主義ですよ (ヤメ蚊)
2008-08-17 22:23:52
 私は基本的に極東アジアで戦争が起きるとは思っておりませんし、日本が軍国主義化するとは思っていません。

 そうではなく、各国政府は軍事予算を増大したいだけだという指摘をしているわけです。冷戦構造が解体し、韓国が民主化し、中国も資本主義化しているいま、極端な話、日本の軍事予算はピークの5分の1くらいになったっておかしくはない。

 そうなっていないのは、軍事費を巡る利権があるからですよ。
 
 軍事利権を各国とも持ちたい。だから、あれこれ、他の国のことを問題視して、軍事予算を増やす。

 他方、一国だけが軍事費を全て国民の生活面につかったら、その国だけが栄えてしまう。そんなことはさせないように、みんなで弱そうな国を攻めたりして、みんなで軍事費を増やしている。

 ブッシュ政権とイラク軍事利権のつながりなどをみるだけでも、以上の構造は読めますよ。

 世の中、お金がどう動くか、を見ることが最も大切です。ようは誰が儲けるシステムになっているか(天下りも含めて)、ということです。

 もちろん、軍備が徐々に拡大すれば、危機が増大しますから、そういう意味では、将来日本が軍国主義化する可能性は否定できませんがね。


 ゲーリングについては、ナチスの宣伝戦略を知りうる立場にいたことは間違いないわけですからねぇ…。この発言は、そこがポイントなんだから、まったく、反論になっていないでしょう。
返信する
軍隊至上主義の珍妙な主張はさて置き…。 (田仁)
2008-08-18 13:19:15
ゲッペルスを軍隊の指揮権のみで判断するとか、そういう変なのは如何でもイインですが、しかし現状の亡栄省が軍縮か否かとか、戦争の有無って言うと黙って居られなくて!
ヤメ蚊先生の仰る通り、予算の肥大化は凄いです!特に、ミサイル防衛網と米軍再編利権は肥大の一途で、まだまだ全貌解明が端緒も端緒!ソレすら汚職で明るみに出る構造自体が、根深い物があるとしか思えない!グアムの土地転がしは報道さえもまだ!ってコノ今に、軍縮って言う表現自体がチャンチャラ可笑しいですけど。
まあ、ソレはソレでハッキリしてる問題としまして、「戦争」ねぇ!
ソレはね、私は現状、世界で勃発する戦争の大方にロード・オブ・ウォーが咬んでて、下手するとイラン革命以来伝統の、CIAが直接関わってるのも多いと思うんで、余り楽観してません。
多分、軍産エネルギー複合体の考えでは、極東は今『仕込み』の段階ではないか?と思ってます。
(まあ、ヤメ蚊先生の「>軍国主義化する可能性」と余り違わない見方ですけど。)
だから、最近KCIAからCIAに逆に取り込まれたかも知れない統一教会の文鮮明さんが、ヘリで妙な落ち方したじゃないですか?最前線は、皆さん必死だなあ!と思って。
まあ、軍産エネルギー複合体が亡栄省を操作するのは、赤子の手を捻るよりも容易なんですけどね…、欲得ヅクで動くから!
返信する