情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

あるヘリコプター事故を巡って~反省なき行政・企業に立ち向かう遺族の足跡

2007-09-12 01:11:15 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
2004年3月、信越放送のヘリコプターが取材飛行中に高さ152メートルの送電線に衝突し、墜落した。搭乗していた4人全員が死亡する悲惨な事故となった。高さ60メートルを超える送電線には標識を設置する法律上の義務があったが、この送電線にはそのような標識はなかった。高速で飛ぶヘリコプターから標識のない送電線を発見することは容易なことではない。

 しかし、電力会社は標識を設置せず、国も標識を設置させるよう指導していなかった。全国で高さ60メートルを超える送電線のうち標識がついているのはごくごくわずかだった。幹線道路などヘリコプターが通過するであろうルートを横切る送電線にも標識はついていなかった。
 
 もし、これがヘリコプターが送電線に衝突した最初の事故ならまだ過失だとあきらめることもできるかもしれない。

 しかし、同様の事故が何度も繰り返し発生していた。それにもかかわらず、送電線に標識を設置して事故を防ぐ措置が行われなかった。法的に設置が義務づけられているにもかかわらず…。

 女性記者の遺族は、この事故を単なる事故と見過ごすことができなかった。

 遺族は、二度とこのような事故を繰り返してほしくないと立ち上がり、裁判を起こした。

 この裁判がもうまもなく結審しようとしている。

 最終期日は、10月18日午前10時、東京地方裁判所527号法廷で行われる。

 遺族の最後の訴えが裁判官の胸に響くことを願っている…。

 【参考】
 遺族のホームページ 
 「航空取材の安全のために--なぜ我が妹志奈はわずか26歳で死ななければならなかったのか--」http://www7a.biglobe.ne.jp/~shina-chan/









★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
現場の方の声も聞きたいです。 (札幌運転所隣人)
2007-09-12 12:09:10
本文並びにリンク先HP拝見しました。
私は航空関係の事については全くの素人ですが、少なくともヘリコプターのパイロットの方って、飛行する空域の地形や障害物を熟知しているものだ、と思っておりました。
そこで、以下の点がたいへん気になります。
1、放送局サイドとヘリ運航会社間の安全確保に関する力関係。(危険な低空飛行を強要されているのか)
2、1により、パイロットは或る程度の危険は承知で飛行をしなくてはならない実態があるのか。
3、もしくは、ヘリ運航会社はパイロットの習熟に関わる何らかの問題を抱えているのか。
具体的に何を・どうしなければならないのかを知っているのも運航現場だと思いますし、この事故がご遺族の方々にも納得できる(企業の)安全管理圧力に繋がることを願います。
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今こそオルタナティブ情報が必要 (ゴンベイ)
2007-09-12 19:06:54
安倍辞任のニュースがあふれかえっている時だからこそ、マスコミが伝えないオルタナティブ情報の提供が重要だと思います。

So-net blog:ペガサス・ブログ版:
忌避すべきは「空気が読めない」よりも「空気支配」
http://blog.so-net.ne.jp/pegasus/2007-09-12
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法的根拠と被告の主張についてご教示ください (文明国民)
2007-09-14 00:05:17
>高さ60メートルを超える送電線には標識を設置する法律上の義務があったが、

具体的な法律名・条文等をご教示くださいますか。

また、法律上の義務があったとして、それを履行せず、かつそれがやむを得なかったとする被告の論拠をご教示くださいますか。

決してヤメ蚊様の主張を否定しようとするものではありません。ひとえに、判断材料となるデータや論拠に当たりたいのです。
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遅くなりました… (ヤメ蚊)
2007-10-05 09:08:31
航空事故調査報告書より
http://araic.assistmicro.co.jp/aircraft/download/pdf/AA05-2-4-JA9910.pdf

航空法における航空障害標識(航空障害灯及び昼間障害標識の総称。以下同じ。)に関する規定は、次のとおりである。
(1) 航空法第51条第1項(航空障害灯)
地表又は水面から60m以上の高さの物件の設置者は、国土交通省令で定めるところにより、当該物件に航空障害灯を設置しなければならない。但し、国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。

(2) 航空法第51条の2第1項(昼間障害標識)
昼間において航空機からの視認が困難であると認められる煙突、鉄塔その他の国土交通省令で定める物件で地表又は水面から60m以上の高さのものの設置者は、国土交通省令で定めるところにより、当該物件に昼間障害標識を設置しなければならない。

(3) 航空法施行規則第132条の2第1項(昼間障害標識設置物件)
法第51条の2第1項の規定により昼間障害標識を設置しなければならない物件は、次に掲げるもの(国土交通大臣が昼間障害標識を設置する必要がないと認めたもの及び高光度航空障害灯又は中光度白色航空障害灯を設置するものを除く。)とする。
3 架空線及び繋留気球(その支線を含む)(抜粋)

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