情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

警察に対するチェックはここまで甘い~他人を解剖?!

2006-02-26 20:41:05 | 適正手続(裁判員・可視化など)
日本の警察についてチェックが甘すぎることについて,とってもわかりやすい例が「鋭意取材中!柳原三佳・日本の検視・司法解剖の問題を斬る!」に掲載されていましたので,一部引用します。ぜひ,上記HPをご覧下さい。

■■引用開始■■
2000年7月10日、東京地裁633号法廷。ついにその日がきた。
 この日、証人として証言台に立ったのは、神奈川県で長年監察医を勤めているB医師だった。彼はAさんの夫の死体検案書に「心筋梗塞」という死因を書いた本人である。B医師は、原告代理人の質問に対して、次のような証言をした。
「私は警察官立ち会いのもと、運ばれてきた死体を解剖しました。Y字切開といって、胸部の一番上から下腹部までを切開する方法です。臓器を取り出し、肉眼で病理的観察を行い、心臓はそのときに取り出し、今も保管しています。その他の臓器は組織片を切り出してから元に戻して、縫い合わせました」
 ところが、その後、裁判官に質問の時間を与えられた原告のAさんは、毅然とした態度でこう詰め寄ったのだ。
「いいえ。私はその夜、夫の遺体を見ましたが、おなかには解剖された痕跡は全くありませんでした。そのことは、息子を初めとする葬儀社の方など、複数の人が目撃しています」
 その瞬間、なんともいえない緊張感が法廷の中に張り詰めた。
「警察官立ち会いで解剖した」
「心臓は今も保存している」
と証言する監察医が目の前にいるのに、遺族は「遺体に傷はなかった」
と断言しているのだ。
 遺族は当初、B医師から「頭部も解剖した」という言葉を聞いたと主張しているが、B医師はそれにつても「ちゃんと解剖した、とは言ったが、頭部を解剖したとは言っていない。解剖しなくても頭蓋骨内出血は完全に否定できたので、遺族感情も念頭に置き、なるべくもとの姿でお返ししたいと思った」と、証言台で全面否定した。そもそも頭部を解剖しなかったことは司法解剖の基本に照らして考え難いことである。
 法廷では、さらにB医師の「解剖した」という主張を裏付ける証拠の有無についてやりとりが続いた。まず、解剖中の写真はあるのか。もし、一枚でもAさんの夫とわかる写真があれば、一目瞭然で遺族の主張は覆されるはずだ。しかし、B医師は「心臓そのものの写真は撮ったが、身体を写し込んだものは一枚も撮っていない」と答えた。
 さらに、もうひとつの疑問点が浮かび上がった。B医師は午後7時40分から8時40分まで約一時間にわたって解剖を行ったと証言した。一方、Aさんは、午後7時ごろには夫の死因は「心筋梗塞」だったと聞かされ、午後8時20分には遺体が自宅に運ばれてきていたと証言する。
 いったいどちらが本当なのか。ここまで両者の主張が食い違ってくると、事が事だけに、私は驚きを通り越して恐怖すら感じた。
 しかし、立証の手段はまだ残されていた。それが冒頭のニュースとなったDNA鑑定である。保管されている心臓さえ証拠提出されれば、それがAさんの夫のものであるかどうかはっきりする。Aさんの代理人は法廷でこうたずねた。
「心臓を証拠としてだしていただくわけにはいかないのでしょうか」
 B医師はこの質問に対して、さまざまな言い訳を述べ即答はしなかったが、最終的に
「検察からの指示によって法的な手続きがとられれば提出する準備はある」
と答えた。もし、解剖したのが事実なら、B医師から進んで提出すべき証拠だが、遺族から見れば、出せる心臓などないはずだった。
 それでも、01年4月、「心臓」の一片が横浜地裁に提出された。腹部に全く傷のなかった遺体を見ている遺族にとっては、その時点で、臓器片が、「別人」のものであることはわかっていた。「臓器片は本人のDNA型と矛盾する」という今回の鑑定結果も予想通りであったのである。
 それにしても、恐ろしい話だ。警察と監察医がスクラムを組めば、密室でどんな「死因」でもつくれることになる。実際に、B医師に百体近く検案を依頼したことがあるという元警察官は私にこう話してくれた。
「少なくとも私がB先生のところに運んだ死体で、解剖までいったケースは一度もありませんでした。ほとんど死体を見ないこともありましたね。先輩警察官は『死因や死亡推定時刻をこちらの言うとおりに書いてくれるので便利なんだ』とよく話していました。留置場の中で死人が出たときなどは、後が厄介ですから、実際の死亡時刻をずらしてもらうわけです。今回のケースはおそらく氷山の一角だと思います。」
■■引用終了■■

もんじゅ事故,従業員「自殺」問題で,動燃理事長(当時)が証言~明27日午後2時,東京地裁

2006-02-26 12:07:36 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
もんじゅのナトリウム漏れ事故の処理の過程で「自殺」したとされる西村成生さんの遺族が起こした裁判で,明27日,当時の理事長が証言台に立つこととなっている。西村さんは,事故を写したビデオが隠されていたことに関する記者発表で間違った情報を提供したことの責任をとって自殺したとされているが,同じテーマでの記者発表は,西村さんが行うまでに2度も行われており,そのうち一回(2回目)は,理事長自らが行っている。その理事長自らの証言…果たして何を口にするのだろうか。

ちなみに,理事長に対する疑問点を下記のように指摘しているブログもある。

■■引用開始■■
1.第3回目記者会見に先立つ打ち合わせ j/8..2/u5
  第2回記者見の終了後、同日午後8時30分頃から動燃本社理事長室で第3回記者会見の打ち 合わせが行われた。この打ち合わせには、第1回記者会見に出席した①安藤理事、渡瀬室 長、田島良明秘書役等のほか、成生、も出席した。
  大石理事長は「本社に2時ビデオが存在した事が判明したのは何時か」について②、判明時期がH7.12.25であることを再確認し、出席者に対して判明時期は12.25と答えるように指示した。
 疑問
    1. H7.1.25 理事長は判明したと認識、12.25直後に理事長は記者会見すべきでは?
    2. H8.1.12. 第2回記者会見で理事長は何故H7.12.25判明したと発表しなかったか?
    3. ①は何故②理事長指示を背いたか?その後、2006に至るまで訂正の記録無し。
    4. H7.1.25ビデオ隠しが判明したにも拘わらず、その後も特命を H8.1.13まで何故続行したか?
■■引用終了■■



さらに,この理事長は,西村さんの死に関する記者会見で,西村さんの遺書を変更して読み上げた人物である。

■■引用開始■■
 朝刊に95年のもんじゅナトリウム漏れ事故に関連して自殺した職員の妻が「ウソのマスコミ発表を当時の動燃から強要されたことが自殺の引き金」として賠償請求を提訴するというニュースが載っている。以下、その一部。

 自殺後、大石理事長は記者会見で、遺書を「ほぼ全文に近い形」として読み上げた。原告はその内容に「意図的な改ざんや省略などがある」と主張する。会見に触れた部分について、大石理事長は「私の対応のまずさから、深刻な事態を引き起こす恐れを生じさせてしまった」と読み上げた。
 しかし、原文では<私の勘違いから理事長や役職員に多大の迷惑、むしろ『ほんとうのウソ』といった体質論に反転させかねない事態を引き起こす恐れを生じさせてしまった>。原文と違った個所は全部で10カ所近くになる。
 芥川龍之介の「侏儒の言葉」の中に「時には嘘による他は語られぬ真実もある」という言葉があったが、原発ないしその関連施設は間違いなく「常時、ウソによって飾り立てねば、独り立ちできぬ技術」で運転されている。

 ところでこの西村成生なる職員はほんとうに「自殺」したのだろうか。思い出すのはカレン・シルクウッドのことだ。プルトニウム被曝に関する情報をニューヨークタイムズの記者に渡すことを約した日、彼女はナゾの交通事故死を遂げた。(メリル・ストリープの主演した映画「シルクウッド」はこの事件を描いたものだが、いつぞやNHK総合テレビはこの映画のオンエアの当日になって突然別の番組に差し替えた。問い合わせに対して「後日放送します」という答えがあったがついにオンエアされることなかった)

 原子力産業はいろいろなところに不明朗な影を落としながら、なお、「明るい技術」と自称している。(10/13/2004)
■■引用終了■■


現実の悪意を持っているのは民主かメディアか~メール事件

2006-02-26 11:31:59 | メディア(知るための手段のあり方)
新聞・テレビは今日もホリエモン・メール問題で盛り上がっている。しかし,こんな些末なネタを取り上げるよりも,今国会でいかなる議案が予定されており,それについていかなる利害関係人がいて,いかなる意図があるのか,実行するための予算はいくらくらいかかるのか,などをきちんと取材して報道することの方がよほど重要だ。

確かに民主党は,ガセネタに踊らされたのでしょう。でも,それは民主党(のうちの一部議員)がとんまだっていうだけであって,新聞が一面で取り上げたり,テレビがわざわざコーナーを設けて大々的に放送するようなものではない。

そもそも,疑惑があればそれを追及するのは議員として当然のこと。というか,追及してもらわなければ,存在価値はないというほかない。

今回は裏付けの調査が不十分だっただけで,「いわゆる現実の悪意」すなわち,「表現にかかる事実が真実に反し虚偽であることを知りながらその行為に及んだ場合又は虚偽であるか否かを無謀にも無視して表現行為に踏み切つた場合」にはあたらない。ガセネタの可能性が大きいと思っていれば,永田議員だって取り上げなかったでしょうからね…。

それに引き替え,ガセネタだって騒ぎ立てるメディアは,このネタを大きく伝える必要はないと知りながら,また,このような報道をすることが4点セットで追いつめられそうになった自民党を窮地から救う効果を持っていることを知りながら,報道し続けているのだから,「現実の悪意」がある,というほかない。早く肝心なことを報道してほしいもんだ。