tokyo_mirage

東京在住・在勤、40代、男。
孤独に慣れ、馴れ、熟れながらも、まあまあ人生を楽しむの記。

デザイナーズ「丸見え玄関」住宅

2013-02-23 19:21:07 | 雑感
近所に、いかにも「デザイナーズ」と称しそうな戸建て住宅がある。
さほど大きくはないけれど、シャープな立体で、外壁の色も個性的でありながら押しつけがましくない。
庭の使い方もちまちまとしておらず、
(貧乏臭い柵で囲ったりせず、大き目の砕石を撒き、枕木を立て、繊細な葉の植栽を散りばめ、
下からスポットライトを当てている)
ちょっとした美術館のような風情を醸し出している。

だが、玄関がね…。

なぜかドアがガラス張りで、中が丸見えなのだ。
外のアプローチから連続する室内のコンクリの三和土に、住人の靴が脱がれているのが、
通りすがりにばっちり見えてしまう。
その玄関ドアは門も塀もなく道路に直接面しているのだ。

室内の三和土は段差なく廊下に続いているようだ。
なぜか家のデザインにこだわるある種の人たちは、バリアフリーというわけでもなく、
玄関に段差を作りたがらない。
どこまでが土足で、どこからが室内か、わかりにくくさせる。
便宜的にマットなんか敷いたりして、戸惑う来客に「ここで靴を脱いでください」なんて言ったりして。
何なんだろうな、あれは。「室内でも土足」の西洋式に中途半端に憧れているんだろうか。

その家は、靴脱ぎ場所の内側にロールスクリーンを垂らしている。
やはり室内を見せたくはないのだ。
じゃあなんでガラス扉を採用したのだろう?
脱ぎ捨てられた靴もロールスクリーンも、安っぽい生活臭が出ていて、建物全体の調和を乱している。
だいたい、外部とがっちり遮断された感じがしないと、家の中でも落ちつかないと思うけどな。
家は「城」と形容されるくらいで、
「外から攻め込まれない、自分だけの領域としての安心感」って必要じゃないか。
布団に入っても、その空間がそのまま外に通じているような感覚がするのって、なんか嫌だな。

実はこの家、完成・入居したと思ったら、ほどなくして売りに出された。
写真入りでこの家とすぐわかる新聞折込チラシが入ったのだ。
どうやら住人は、「デザイナーズ住宅」に実際住んでみてすぐに、
そこはかとない違和感に苛まれたのかも知れない。
その後、売れて家主が変わったのか、あるいは元の住人がそのまま住んでいるのかはわからない。

デザイナーズ住宅、見当違いの「カッコ良さ」に振れてしまうと、何かと厄介そうだ。
住む方もちゃんとビジョンを持っておかないとな。

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