tokyo_mirage

東京在住・在勤、40代、男。
孤独に慣れ、馴れ、熟れながらも、まあまあ人生を楽しむの記。

湯河原温泉1泊旅行 1日目

2016-02-13 23:00:00 | 旅と散歩と山登り
正月明けから桜の開花までのこの時季が、自分にとっては1年でいちばんつらい時季だ。活力が失われ、いくらでも引きこもれ(家の中にも自分の中にも)、いくらでも鬱屈になれる。自分が老いて衰弱して死ぬ時が来るとしたら、きっとこの時季ではないかと思う。とっても裕福ならば、南の島の長期クルーズ旅行にでも出てこの時季をやり過ごせるのだろうけど、あいにくそういう身分ではない。ならばせめて、この時季には「はしご」を掛けて、奈落に落ちないようにしながら、そろりそろりと歩みを進めねばならない。今月頭の伊香保温泉に続く、梯子の2段目。行き先は、移動に負担感のない距離圏で、湯河原。

もともと天気予報は芳しくなかった。雨降りの上、春一番も吹く荒れ模様だと。当初は、箱根の山に登り、空気の澄んだ冬ならではの秀麗な富士山を拝もうかというプランもあったんだけど、それも崩れた。車でダラダラ、途中、横浜で同行者を乗せるので、高速道路も使わずにひたすら下道で、湯河原へ向かう。

シーズンオフの土曜日でも、都内はもとより、神奈川の郊外に出ても、渋滞はどこにでもある。想像はつくことなんだけど、やっぱりそうなんだよなあ。自宅を出たのは朝9時で、午後を回ってやっと、車を下りる。湘南平。展望台の屋内で、麓のベーカリーで買ったパンを、おやつのような昼食として食べる。
14:13 食後、展望台の屋上に出ると、ものすごい突風。海に面した平野にぽつんと立ち上がるこの小山。そりゃあ、あらゆる風という風をまともに受けそうだ。東側、江の島・横浜方面。

北側、伊勢原・大山方面。風は猛烈なのだが、春を呼ぶ南風とあって、寒くはない。

西側、これから向かう小田原・真鶴・伊豆方面。空全体が動きながら雲が割れて、神様でも降臨してきそうな妖しげな光を地上に放つ。

小田原から真鶴への道路もひどい渋滞で(道の片側はすぐ海、反対側は絶壁の崖が立ち上がり、「ここで津波が来たらどうやって逃げる?この崖よじ登れる?」などと話し合う)たっぷり時間がかかり、15:00のチェックイン時刻には余裕で着くはずだった当初の甘い見込みも崩れ、暗くなり始めたころ宿へ到着。山間のためか、雨がたっぷりと降っている。
16:54 それでも、温泉街を少し歩いてみようかと、外に出る。通りに店もなく、歩く人もいない。

万葉公園。山をくり抜くトンネルを抜けると滝があった。

緑に囲まれた散歩道を行く。宿に戻る。温泉を堪能するには、登山のような「歩き疲れ」か、凍えるような「冷え込み」があると、いっそう身に沁みて味わい深いのだけど、今日はそのどちらもなかった。それでもお風呂はいいものだ。温泉はいいものだ。食後、露天の足湯につかると、山の稜線の暗がりにマンション群が建ち並んでいるのが見えた。この温泉街はこうしたマンション群から睥睨されるロケーションにあるのだ。別荘と思しきこのマンション群、部屋の灯りはほとんどついていなかった。隣近所のいないああいうマンションに「本宅」として住むのは、淋しいものなのだろうか、それとも、心安らぐものなのだろうか。未明に雨足は一層強くなった。大正築、国の有形登録文化財の木造旅館。屋根を叩く音は怒涛のようだった。

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