ラジヘリ空撮

空撮用マテリアルの開発状況に係る情報発信や、現場での出来事及び、日常の情報発信を致します。

作業の様子

2013-02-09 06:37:00 | 出張
強風の中・・・いよいよ撮影が始まった。



この日使用したのは、弊社でフレームをワンオフ製作したSTREAMと言うGS仕様の機体である。

とにかく風が強い・・・この時点で、既に風速10m位はあるだろうか?


そんな名前のヘリを飛ばそうとするからなのか?風速計を持ち出す迄も無いような・・・
強風が吹き荒れていて・・・文字通り、嵐の様相を呈していた。

恐らく・・・上空はもっと風が強いだろう事は、想像に難くなかったが、
作業開始のGOサインが出た。


徐々にエンジンの回転を上げてゆくと・・・ユックリとメインローターが回転を始めた。


しかし・・・強風に叩かれて、まだ遠心力が乏しいメインローターの軌道が大きく崩れた。
すかさず・・・スロットルステックを下げる。

こんな時は・・・下手をすると離陸前に、メインローターがテールブームにヒットする
恐れもある事から、細心の注意が必要だ。

ただ離陸させる事にも一苦労する様な気象条件の中、何とか無事離陸させる事が出来た。


ホバーリング状態のヘリは、暴れている風の影響で、常時1mほど上下動を繰り返している。
流石に・・・スロットル操作も忙しい。



こんな日は機体に過大なストレスが掛かっていて、高耐久のヘリじゃなければ、
おかしなトラブルに見舞われる事もある。

その状態で、エンジンを含む機体全般の暖気を行ないながら、ヘリの挙動やコンディションの
最終点検を行なった。


強風等の、気象条件等の要因以外は全て良好。


そこから、一気に上空へ・・・。


グランドステーションのモニターディスプレィを覗くと、遠くに見える製紙工場の煙突の煙が
真横になっているのが見えた。




現場上空で、機首を海の方向に向けた。



暴れるヘリを慎重にコントロールしながら、この後も更に撮影は続いた。


こんな強風時には、何時にも増して繊細なコントロールが要求される。

その理由は、暴れる強風効果で、いとも簡単にメインローターが臨界角を超えてしまうからに他ならない。

臨界角を超えてしまうと、急激なタックアンダーやバルーニング状態に陥ってしまうから始末に悪い。

こんな状況の中でのスティック操作は・・・特に細心の注意が必要なのだ。


そんな緊張の中、無事に撮影作業は終了した。


こんな日は・・・ヘリは勿論、人間(オペレーター)にも過大なストレスが掛かる。


作業も終わり、無事着陸したヘリが先ずストレスから開放された・・・と同時に、
思わず人間からも大きな安堵のため息が・・・呼吸もまともに出来ない様なコンディションの中、
共にストレスから開放された一瞬である。

誰でもこんなバットコンディションの日には、撮影などしたくないのは勿論なのだが、
現場の都合で行わなければならない時が度々あるのだ。


ふと周囲に目をやると・・・たわわに実ったミカンが、太陽の日を浴びながら風に吹かれて
いるのが目に留まった。



そんな一見如何と言う事のない日常的な様子であっても・・・極度の緊張から開放された時には、
心休まる一時でもある。