車泊で「ご当地マンホール」

北は山形から南は大分まで、10年間の車泊旅はマンホールに名所・旧跡・寺社・狛犬・・思い出の旅、ご一緒しませんか。

年の初めの神楽三昧「戻り橋・羅生門」

2022年01月17日 10時00分00秒 | 日本の伝統・芸能・技の美

前日紹介した「源頼光と四天王」といえば、何を置いても大江山の鬼退治が有名です。で、この鬼退治の神楽は三つの物語で構成されており、それぞれが関連を持って繋がっています。
最初の物語は、2013年7月7日&12月7日の両日に「広森神楽団(安芸高田市)」が演じた【戻り橋】。二回分をまとめての紹介です。
ここは一条戻り橋、舞台に登場したのは見るからに怪しい老婆。だれがどう見たって怪しい!怪しい以外に言葉がない位、怪しい(笑)

老婆が隠れると、軽快なお囃子にのって目かつらをつけた『傘売り善兵衛』の登場。ひとしきり傘のパフォーマンスを披露した後に「そもそも、このところに進みいでたる者、傘売りを生業とする、正直者で男前の善兵衛と申す者にてそうろう」と、元気に歯切れよく自己紹介(笑)

会場の笑いを独占した『善兵衛さん』。そこに登場したのは先ほどの老婆。雨に濡れて難渋しておる身。ついてはこの濡れた衣服を拭く間、傘を貸して貰えないかと頼まれます。

「貸してあげんでもないけんど、安うしとくで買うてもろうたらわしゃぁ助かるんじゃがのお~」

なんて思っていても口に出せない、親切で正直者の『善兵衛さん』。怪しい老婆に頼まれて傘をさしかけてあげます。

「それにしても時間がかかるのぉ~。それに、えらいこと暗ろうなって来たし、この辺は夜になると物騒なもんが出ると言うとるし・・おばぁさんや、まだかの~~(泣)」

「まだまだ~もう少し~」「まだかの~ (´;ω;`)」「ま~だ、ま~~~だ」

「もうよいぞ!」と傘の向こうから顔を出したのは、耳まで裂けた口、額の横には大きな角、ギラギラと金色に光る眼。腰を抜かし声も出せない『善兵衛さん』。何とあの老婆、実は大江山に棲む『酒呑童子』の弟分『茨木童子』が化けたものだったのです。

絶体絶命の善兵衛さん、しかしその時、四天王の1人『渡辺綱』があらわれて茨木童子を阻みます。渡辺綱と茨木童子のはげしい戦い、やがて少しずつ茨木童子が劣勢になってきました。

茨木童子の劣勢を察した『酒呑童子』、虚空飛天の妖術を使って大江山から飛んできました。何というか・・大江山の鬼の結束って、半端ない(笑)
一体でも手強いのに二体を相手。しかも加勢に現われたのは、鬼族のラスボス「酒呑童子」。

妖術を駆使し、渡辺綱を追い詰めてゆく鬼たち。絡め捕られ遂にうち伏してしまう渡辺綱!!危うし!

その時、「岩清水八幡神」のご神徳を受けた『坂田金時』が、加勢に駆けつけます。『山姥』と共に切り殺されていても不思議ではなかった『怪童丸』。今や立派に頼光四天王の1人として、渡辺綱の加勢が出来るまでになっていたのです。

神の威徳によって意識を取り戻した渡辺綱。もはやおくれを取る事はありません。思いがけない助っ人に慌てる酒呑に茨木。とは言え鬼のメンツにかけても逃げ出すことなど有ってはならぬ!

拍手喝さいの鬼の所作。やがて華麗な衣装へと変身し、一糸乱れぬ呼吸での戦いの舞。『渡辺綱』&『坂田金時』VS『酒呑童子』&『茨木童子』。迫力満点の戦いにお囃子方も力が入ります。

迎えるクライマックス、綱の刃が煌めいた瞬間、茨城童子の右腕が宙を舞い・・!

慌てふためく『茨木童子』。切り落とした右腕を高くかかげ、更に鬼たちに迫る『渡辺綱』

何とか腕を取り返そうと悪あがきする茨木童子を説き伏せ、今は、三十六計逃げるにしかず。再び「虚空飛天」の妖術を使って、酒呑童子たちは大江山へと飛び去っていったのです。

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2013年7月7日「安芸高田神楽特別公演」、「黒瀧神楽団(安芸高田市)」による【羅生門】。

一条戻り橋の乱闘で右の腕を切り取られ、日ごと夜毎、嘆き悲しんで暮らす『茨木童子』。大事な弟分の悲しむ姿を見た『酒呑童子』、腕を取り返してやろうと、単身、都に乗り込んできました。

そうして『渡辺綱』の乳母『白妙』を捕り食らい、姿を変えて館の奥深くに入り込んだのです。

草木も眠る丑三つ時、館の誰もが寝静まった頃。息を殺し、足音を殺し寝所に近づく酒呑童子。まさか乳母が食い殺されたなどとは夢にも思わぬ渡辺綱。そこに生じた油断がやすやすと鬼の侵入を許してしまったのです。

慎重に・・慎重に・・切り落とされた右腕のありかは、昼の内に白妙に化けて確認しておいた・・・待っていろよ茨木童子。もう少しの辛抱だ。

風のような速さで右腕を手にした瞬間、正体を現す酒呑童子。

いつの間にか側に来ていた茨木童子の腕に、取り戻した腕をもみこんでやる酒呑童子。住む世界は違いますが、同族同士として仲間思いなのは確か。

異変に気がついた『渡辺綱』。『酒呑童子』たちに立ち向かいますが、白妙が殺された事に少なからず動転していた事もあり、「水火の妖術」に苦戦します。

再び『渡辺綱』危うし!と、その時「岩清水八幡神」のお告げを受けて駆け付けた『源頼光』。神の威徳で意識を取り戻した綱と共に「いざ、勝負~、勝負~~。」

そして始まる華麗なる戦い。『源頼光』&『渡辺綱』VS『酒呑童子』&『茨木童子』。迫力満点の戦いにお囃子方も力が入ります。・・・・って、このフレーズ、つい最近書いたような気が??絵づらも似てるし・・ま、いいか(笑)

武勇の誉れ高い『源頼光』の加勢だけでも面倒なのに、その上「岩清水八幡」の威徳まで一緒では、さすがに分が悪いと悟った『酒呑童子』。又しても「虚空飛天」の妖術を使い大江山へと飛び去ります。

この後、『源頼光』は勅命を仰ぎ、大江山へ鬼退治に向かう事となりますが、そのお話はまた明日。

松の外になってしまいました(^^;) 一月十七日

 


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