電気料金値上げは生産・消費モデルの転換を促す!―グリーン経済応援寄稿― (その3)
東京電力は福島原発の事故により、供給力不足を火力発電等で補うことになるが、事故処理費用や燃料代等を勘案し、工場やオフィスなど大口需要者に対し電気料金を4月から平均で17%引き上げる方針を明らかにしている。家庭向けについては夏頃より8-10%程度の値上げを検討している。
これに対し業界筋やマスコミは生産コストが増加し、価格への転嫁による消費や輸出に影響すると共に、円高と相俟って工場の海外移転を加速するなどとして懸念が表明されている。一方日本各地にある原子力発電所(福島第一原発を除き50基)の操業については安全面での確認と改善が求められており、電力の安定供給が日本産業の発展の上で大きな課題になっており、それへの対応が必要になっている。
1、東京電力の自主再建を支持する (その1で掲載)
2、節電努力により電気料金の節約は可能 (その2で掲載)
3、適量生産・適量消費モデルへの転換は日本経済再生の切り札となる
節電の一方で、福島第一原発を補填する電力を確保して行かなくてはならない。そこで遊休している火力発電所の再開と共に安全が確認された原発の操業などが検討されているが、従来通りの電力需要に応えるためには地球温暖化防止のために目標とされている炭酸ガス排出基準を上回ることが予想されている。しかし地球温暖化防止は、地球上の人類及びその他生物の活動の持続可能性に係わる死活的な課題であり、先進工業国と新興経済諸国を中心として世界で真剣に取り組まなくてはならないグローバルな課題である。その努力を日本が軽々に放棄することは許されない。日本は国連気候変動枠組み条約の京都議定書で合意した温室効果ガスの排出基準にも達成していない。
今後の東日本の復興、再生に当たっては、これまでの生産、消費モデルをそのまま復元するのではなく、化石燃料の量的制約と排出ガス削減の問題、原子力発電操業の制約や温暖化対策への国際的協力の必要性など、国内外の制約ときちんと向き合った上、東日本を含め、日本経済をリセットして新しい生産・消費モデルを構築し、エネルギー・資源の効率的使用と温暖化防止対策において世界に誇れる経済を再構築することが期待される。
適量消費が定着すれば、価格や品質に対する消費者の目も厳しくなるので、生産者側も品質、価格に対応した適量生産に努めなくてはならなくなろう。消費は、いわば市場における総選挙のようなもので、消費者が製品、サービスを選択する。政治では1人一票しかないが、消費は個々人の予算の範囲以内で複数選択出来る。そのような消費者の選択が適量生産を促すことになる。
そしてこのような適量消費・適量生産と生活スタイルの転換は、電力を含むエネルギー消費の節減を促す。現在福島原発被災事故の処理を巡り、高額に達すると見られる賠償費用や代替燃料のコスト問題などから、いわば電力料金の値上げか原子力発電の継続かの二者択一が提示されている。しかしこの選択肢は、従来の電力需要を前提とした選択肢であり、上記のように生産・消費モデルや生活スタイルの転換を図れば、従来型の電力への需要は減少し、上記の予測は正しくないことになる。その意味で、適量消費・適量生産と生活スタイルの転換は今後の電力問題の切り札になると共に、炭酸ガス削減を可能にする生産・消費モデルとなろう。
今、国民の多くは被災地復興と電力危機への対応で理解を得やすい状態になっている。その国民的な理解や支持があれば、これまでの大量生産・大量消費の生産モデルを適量消費・適量生産に基づき、高い電力・エネルギー効率の生産・消費モデルに転換し、世界に誇れる経済とすることは不可能ではない。そこからまた世界の市場を対象とした新しいビジネス・チャンスや雇用機会が生まれるものと期待される。(2012.01.25.)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)
東京電力は福島原発の事故により、供給力不足を火力発電等で補うことになるが、事故処理費用や燃料代等を勘案し、工場やオフィスなど大口需要者に対し電気料金を4月から平均で17%引き上げる方針を明らかにしている。家庭向けについては夏頃より8-10%程度の値上げを検討している。
これに対し業界筋やマスコミは生産コストが増加し、価格への転嫁による消費や輸出に影響すると共に、円高と相俟って工場の海外移転を加速するなどとして懸念が表明されている。一方日本各地にある原子力発電所(福島第一原発を除き50基)の操業については安全面での確認と改善が求められており、電力の安定供給が日本産業の発展の上で大きな課題になっており、それへの対応が必要になっている。
1、東京電力の自主再建を支持する (その1で掲載)
2、節電努力により電気料金の節約は可能 (その2で掲載)
3、適量生産・適量消費モデルへの転換は日本経済再生の切り札となる
節電の一方で、福島第一原発を補填する電力を確保して行かなくてはならない。そこで遊休している火力発電所の再開と共に安全が確認された原発の操業などが検討されているが、従来通りの電力需要に応えるためには地球温暖化防止のために目標とされている炭酸ガス排出基準を上回ることが予想されている。しかし地球温暖化防止は、地球上の人類及びその他生物の活動の持続可能性に係わる死活的な課題であり、先進工業国と新興経済諸国を中心として世界で真剣に取り組まなくてはならないグローバルな課題である。その努力を日本が軽々に放棄することは許されない。日本は国連気候変動枠組み条約の京都議定書で合意した温室効果ガスの排出基準にも達成していない。
今後の東日本の復興、再生に当たっては、これまでの生産、消費モデルをそのまま復元するのではなく、化石燃料の量的制約と排出ガス削減の問題、原子力発電操業の制約や温暖化対策への国際的協力の必要性など、国内外の制約ときちんと向き合った上、東日本を含め、日本経済をリセットして新しい生産・消費モデルを構築し、エネルギー・資源の効率的使用と温暖化防止対策において世界に誇れる経済を再構築することが期待される。
適量消費が定着すれば、価格や品質に対する消費者の目も厳しくなるので、生産者側も品質、価格に対応した適量生産に努めなくてはならなくなろう。消費は、いわば市場における総選挙のようなもので、消費者が製品、サービスを選択する。政治では1人一票しかないが、消費は個々人の予算の範囲以内で複数選択出来る。そのような消費者の選択が適量生産を促すことになる。
そしてこのような適量消費・適量生産と生活スタイルの転換は、電力を含むエネルギー消費の節減を促す。現在福島原発被災事故の処理を巡り、高額に達すると見られる賠償費用や代替燃料のコスト問題などから、いわば電力料金の値上げか原子力発電の継続かの二者択一が提示されている。しかしこの選択肢は、従来の電力需要を前提とした選択肢であり、上記のように生産・消費モデルや生活スタイルの転換を図れば、従来型の電力への需要は減少し、上記の予測は正しくないことになる。その意味で、適量消費・適量生産と生活スタイルの転換は今後の電力問題の切り札になると共に、炭酸ガス削減を可能にする生産・消費モデルとなろう。
今、国民の多くは被災地復興と電力危機への対応で理解を得やすい状態になっている。その国民的な理解や支持があれば、これまでの大量生産・大量消費の生産モデルを適量消費・適量生産に基づき、高い電力・エネルギー効率の生産・消費モデルに転換し、世界に誇れる経済とすることは不可能ではない。そこからまた世界の市場を対象とした新しいビジネス・チャンスや雇用機会が生まれるものと期待される。(2012.01.25.)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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