内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

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Policy Essayist

大学の世界ランキング・アップに何が必要か?  (その3)

2014-01-10 | Weblog

大学の世界ランキング・アップに何が必要か?   (その3)

 2014年度予算の各省庁要求を政府概算要求を査定する時期になったが、文部科学省は、世界大学ランキング100校入りを支援するために、国公私立の10大学に対し毎年100億円の助成を予算要求すると伝えられている。

 現在、世界大学ランキング100校には日本の国立大学が2校入っているだけであり、一人当たりのGDPを加味すると実質的に世界第2位の経済大国である日本にとっては少し寂しいところだ。ランキング・アップには指導環境など色々な要素が必要だが、各大学の学者、研究者が“独創的な研究を行い、研究論文が内外の研究者などから引用されること”が決定的な要素となる。要するに、各大学に所属する教授ほか研究者の「独創的な研究実績」と「語学力など、対外的な発信能力」が問われていることになる。

 文科省は、10校を選定し、海外の大学との共同研究や著名な研究者の招聘を支援するなどしている。これのような研究交流や人的交流自体は良いことではあるが、新たに毎年100億円もの予算を投入して相当長期を掛けてもどの程度の効果が出るか疑問である。そもそも教育のあり方の転換や教師、研究者の資質や姿勢など、大学院の普及などの制度面、人材面の改善、即ち教育ソフト面の転換がより重要に思える。

 1、 外国大学との共同研究や研究者招聘の効果は局部的、限界的         (その1で掲載)

 2、 最も必要とされる研究成果の英語等による発表能力                  (その2で掲載)       

 3、創造性、独創性を重視した教育・入試制度など、意識と制度の転換が不可欠  

 海外への外国語での研究成果の発信力向上に加え、研究成果の創造性、独創性が求められることは言うまでもない。日本の教育方針や制度、試験制度は、卒業後の公務員・企業の就職試験に至るまで基本的に一貫して記憶力、暗記力に重点を置いている。“応用問題”も採用されてはいるが、これも既存知識や研究の“応用”であり、発想力や創造性、独創性を涵養するものではない。

 教える側も、既存の知識や理論等を教え与えることが主眼となっている。無論基本的な知識を蓄積することは重要ではあるが、米欧等においては、研究者や学者が研究論文を可なり頻繁に出さないとポジションを維持することが困難になるので、理工系や医学系に限らず、社会科学、人文科学系においても独創的な研究論文の発表に常に努力している。日本の場合、詰め込み授業に追われることが多く、また基本的に年功序列の昇進となるので研究成果を出す必要が必ずしもない上、自発的な留学のための休暇・休職なども取り難く、また一定年数勤務後の研究休暇(サバテイカル休暇)なども普及していない。

 従って日本の大学が国際的に高い評価を得るためには、教育姿勢や教育方針・制度など、教育ソフト面の改善、転換が不可欠と言える。

 4、 発想力、創造性を加味した就職試験の拡大の必要性                 (その4に掲載)

 5、 大学院レベルの高等教育の普及と修士・博士号取得者への公正な処遇     (その5に掲載)

(2013.9.28.) (All Rights Reserved.)(不許無断引用)


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