内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

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Policy Essayist

総人口の約25%「高齢者」は正しいか?!    (その2)

2014-01-24 | Weblog

総人口の約25%「高齢者」は正しいか?!    (その2)

 総務省統計局は、9月17日、65歳以上の「高齢者」が3000万人を超え、総人口の24.1%となり、過去最高となった旨公表した。

 従来の年齢基準での統計数値としては正しいのだろうし、1990年代より確実に進む高齢化、長寿化の傾向の中では不思議はない。しかし、65才以上になると「高齢者」、或いはお年寄りや老人と言われるのは国民の実感とはかけ離れている上、このように国民を年令により区別し、グループ化することに違和感を持つ人は少なくない。長寿化により「高齢者」の定義も変化しなくてはならない。男性にしても女性にしても、年令による身体的、精神的な状況には個人差があると共に、定年や年金受給年令に達する65歳になると制度上「高齢者」として区分され、社会への積極的な係わり合いから遠ざけ形となるので、疎外感を与えることにもなる。

 現在就労者数は約6,400万人であるので、就労者2人で「高齢者」1人を支える計算になる。長寿化が更に進めば、現在の統計基準では「高齢者」の比率がどんどん増加することになり、将来は就労者1人が「高齢者」1人を支える計算になりかねない。現在の統計基準では「高齢者」は65才以上で、‘定年退職’となり社会の生産活動から卒業し、その多くが年金生活者となる。いわば社会的な被扶養者となるが、就労者2人以下で「高齢者」1人を支えるような社会は、就労者、特に青年層にとっては負担感が重過ぎるので、誤解を与え易い統計基準と言えないだろうか。

 1、65才で老人扱いは早過ぎる              (その1 で掲載)

 2、長寿化により必要な就職や社会保障面での年令区分の見直し     

 問題は、年金受給年令に達する65才以上の社会保障上の対応であるが、これを従来のように年令で一律に区分するのではなく、所得(年金を除く年収)を基準とした対応とすることが適当ではなかろうか。社会保障の基本的な目的は、困窮者や社会的弱者へ手を差し延べ、それを国民が経済力に従って支えるということであるので、65才以上でも例えば年収850万円以上(年金は除く)の人達については、所得において現役世代と遜色はないので、年金については凍結するか、20%から25%の支給とする。また医療費については現役世代と同様に支払うこととするのもやむを得ないのではなかろうか。75才以上となる人達についても同様として良いのではなかろうか。

 財政が潤沢な時代であれば従来通りで良かろうが、財政、特に社会保障の財源が不足しているので、従来通りに支給等するために就労者、特に若い世代に追加的な負担を強いることは、社会保障のための負担感がより強くなり、活力を失わせかねない。なお、65才以上でも年収850万円以上の人達には、年金料支払いは免除すべきであろうが、医療費保険料などについても現役同様に徴収することもやむを得ないのではなかろうか。基本的に、今後経済は高度経済成長モデルから安定成長モデルとなる一方、財政上の制約などで行政が必要な施策を全て行うような社会行政モデルは維持困難となって来ているので、国民それぞれの自己責任、受益者負担の意識や観念が一層重要になって来ていると言えよう。自然災害等から身を守ることについても、行政任せでは所詮困難であり、自己責任の意識を持ち、普段から自ら身を守るとの意識と準備をすることが重要であり、そのような自己責任の意識があって初めて被害を最小にすることが出来ると言えよう。

 他方年長者が若い世代の活躍や新しい発想、チャレンジ等を阻害しないように十分配慮する必要があると共に、若い世代が安定的な職業機会を持てるよう細かい配慮と施策が必要であろう。そもそも「皆保険」、「皆年金」の社会を目指すというのであれば、通常社員であろうと派遣、アルバイト等であろうと、就業形態を問わず全ての就業者が報酬レベルに応じて健康保険料や失業保険料、年金拠出料を納付出来るようにしなければ達成困難であろう。

 また重要なことは、若い世代に安定的な職業機会を確保して行く一方、65才以上の年長者層に仕事の機会を提供することだ。それにより、社会的負担を軽減すると共に、年長者にやり甲斐や社会的接点を提供することになる。そのため退職後については、職能別、分野別の専門参与ポスト(仮称)を設け(原則3年間、能力、年令制限は設けず、健康等により更新可能)、報酬は最終報酬の40%から60%程度とし、企業グループ内で経験技能を活かすこと促進することが望まれる。このようなシニアー職能制が公務員を含めて普及すれば、それぞれのグループ内だけでなく年長者に対する職業機会が普及することになろう。

 長寿化の進展は喜ばしいことであるが、それを前提とした新たな社会保障モデルや社会モデルを構築して行くことが必要であろう。少子高齢化は、1990年代初期より政府の各種統計資料でも予測されていたことであり、そのような統計資料を施策の中に生かして行くことが望まれる。

 

(2013.11.19.)(All Rights Reserved.)


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