goo blog サービス終了のお知らせ 

内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

このブログは、広い視野から内外諸問題を分析し、提言を試みます。
Policy Essayist

国内需要消費を中核に据えた経済経営モデルへの転換

2025-02-21 | Weblog

国内需要消費を中核に据えた経済経営モデルへの転換

 内閣府(経済社会総合研究所)は、8月15日、経済統計の速報値として2024年 4ー6月期の実質GDP(国内総生産)の成長率が0.8%、年率で3.1%となったと公表した。同期の名目成長率は1.8%で、年率7.4%と好成長率を示した。行き過ぎた円安を反映し消費者物価が平均2.8%以上と高騰を続けていた中で、2024年の大手企業の賃上げが平均5.58%増、中小企業平均賃上げ率は4.6%前後に引き上げられ、全体平均では5.17%増となった。異次元の金融緩和を長期に継続したアベニミクスを実態上12年以上の長期に亘り継続しても実質所得減少していたが、金融政策の転換が検討される中で近年にはない所得増となった。

 GDP(国内総生産)の60%前後を占める個人消費の寄与度は、実質では国内需要が0.9%、純輸出(輸出-輸入)がマイナス0.1%、名目では国内需要が1.9%、純輸出が0%で、円安、物価高の中で個人消費・内需が成長を牽引した図式となった。年率4-5%以上の所得増があれば物価高騰時でも個人消費は増加することが証明された形だ。

 7月以降の更なる円安・物価高や同月末の日銀の金利引き上げを含む金融引き締め、インフレ抑制への金融政策の転換、米国経済・金融の動向などから、国内消費が引き続き景気を牽引出来るか未知数のところはあるが、高度成長期以来続けられていた円安・賃金抑制・輸出依存の経済経営モデルから、円の適正水準維持・安定的賃金所得増・国内消費促進という経済経営モデルに転換が図れるかが課題となる。

 1、安定的賃金所得増・国内消費促進という経済経営モデルへの転換の必要性

 (1)戦後を支配した円安・低所得・輸出促進の経済経営モデル

戦後日本の高度成長を牽引したのは輸出で、輸出促進のため円安・低賃金が神話のように経済経営モデルとして定着した。米国のニクソン政権時代に繊維製品、鉄鋼、自動車に輸出制限が要求され、日本はそれを米国の輸入枠として受け入れ、ベースアップは行われたものの、円安・低賃金の経済経営モデルはいわば国是となった。レーガン大統領時代になると各種の輸入規制撤廃が要求され、経済構造改革なども検討されたが、見るべき成果はなく、1985年9月のプラザ合意により円高が容認され、一時1ドル70円台の円高となった。ここで産業界は輸出を維持するため徹底的なコスト削減を行い、賃金も抑制された。

その後円高バブル経済に転じた。多くの企業は海外投資、贅を尽くした企業施設、社宅の建設、接待等、何でもあれの経営スタイルをとったが、賃金水準はそれほど上がらなかった。そして1997年11月に山一証券等が破綻しバブル経済は崩壊した。次いで1998年7月のタイ金融危機を経て経済立て直しが思うように進まぬまま、2008年9月の米国の証券会社リーマンブラザースの破綻により世界的な金融危機に見舞われ、日本経済を直撃した。ここで戦後日本企業としては初めて大量の解雇が行われ、これを救済するために「派遣会社制度」や契約社員制度が導入され失業者を救済した。しかしこの雇用制度には、解雇を回避するために雇用期間が設定されてあり、また職場から直接給与受けるわけではないので職種が同じでも給与条件に格差が生じる。また正規社員は新卒が原則であるため、一度派遣・契約制度の枠組みに入ると一生非正規雇用となる可能性が高いので、退職金や年金にまで格差が生じる。この制度は失業者にとって一時的に福音ではあったが、長期化、固定化したために職種が同じでも所得格差が生じ易い就業制度となっている。

 日本の伝統的な雇用・経営形態は、新卒採用・終身(定年)雇用であり、これが正社員を構成するため、一旦派遣・契約雇用サイクルに入るとほぼ一生正社員とはなれないのが現実だ。無論これを好む就業者もいるが、雇用の2極化、格差の固定化につながり、全体として平均所得を引き下げる要因となっている。副次的に、このような日本の雇用慣習が大卒以上への進学・研究への誘因を減じている。日本の大学院進学率が11%前後で、米国の1/2、英国の1/4程度である上、専門性の高い医学や理工系は別として就職には有利とはならない場合が多く、高度の研究、技術習得等が進みにくい教育社会構造になっている。ITや医療、宇宙開発等を中心とする今後の高度な社会経済発展を考慮すると、一段高い大学院教育の普及を図る高度教育制度の確立が必要のようだ。日本の場合、企業内教育が一般的になっているが、教職員を含め一旦就職後、管理職や高等学校の校長等へのステップアップの条件として、大学院で幅広い知識・技術の習得を行わせることを検討する時期にあるのではないだろうか。

 いずれにせよ、これまでの伝統的な就労経営形態により今日の日本が築かれて来たことは率直に評価すべきである一方、円安・賃金抑制・輸出促進の経済経営モデルが賃金所得の抑制を恒常化して来たところであるので、アベノミクスの終焉をもって、経済経営モデルを転換することが望まれる。

 

 2、消費を阻んだ将来不安―年金不信

 (1)消費を躊躇させた大きな要因が年金不安であった。1990年代のバブル経済崩壊と並行して、1998年から2007年にかけて社会保険庁によって年金手帳の基礎年金番号への統合が行われたが、その課程で年金記録約5,000万件(厚生年金番号4,000万件、国民年金番号1,000万件ほど)で該当者が特定されず、消えた年金として表面化した。一定の救済策は採られたものの未だに2,000万件余りの年金が宙に浮いた状況であり、実質所得低迷と相まって年金不信が将来不安に繋がっており、消費抑制の大きな要因となっている。

 このような中で社会保障経費が予算を圧迫していることから、2012年8月、民主党政権(野田首相)の下で税と社会保障一体改革を目的として消費税増税法(2014年4月に8%、15年10月10%実施)が成立した。国民は年金を中心として社会保障の信頼性の改善を期待した。しかし増税への国民の抵抗感から、2012年12月の総選挙で民主党政権は敗北し、自民・公明の連立政権(安倍首相)に交代し、インフレ率2%を目標とする異次元の金融緩和が行われ、消費増税は暫時実施された。自・公両党は政権と共に長年先送りして来た消費増税の果実を労せずして享受した形だ。

 社会保険制度改革については、負担者であり受益者である国民は、消費増税の上での改革であるので、負担軽減、サービス・給付の向上を期待していたが、ほとんどが保険料率・窓口負担の引き上げ、給付年齢の引き上げ、給付額引下げとなり、国民の期待からほど遠いものとなった。改革の方向が政府・行政側の立場からのものが多く、国民・受益者側に向いていなかったからであろう。従って、年金不信、将来不安は解消せず、消費増には繋がらなかった。政府組織が肥大化、巨大化し政権が長期化することにより、行政のあり方が、ともすると行政側の都合に左右され勝ちとなるのは自然の流れであるので、4、5年毎に行政の管理・事務コストを一律15~20%前後削減し、国民の新たなニーズや期待に応えて行くような行政手法の確立が必要になっている。この点は産業側にも言えることで、企業が肥大化、寡占化しているため、企業側の論理が優先され勝ちで、消費者のニーズが重視されなくなる傾向がある。もしそうであれば、民主主義の原点に立ち返り、また市場経済の原点に立ち返り、国民のニーズに沿う行政、消費者のニーズに沿う財・サービスの提供が重視される体制に改善して行くことが望ましい。嘗て、経営学の基礎で“消費者は王様だ”と言われたことがある。しかし大手企業が巨大化、寡占化した現在、消費者は顧客でしかなく、製品が物を言う時代になっているようだ。

 (2)社会保険制度改革については、事業内容自体を再検討し制度への信頼を取り戻すことが緊要であるが、予算を圧迫しているのは事業制度だけではない。制度を運用実施する事務体制の肥大化の問題があるが、2012年以降、意味のある事務体制や管理事務経費の改革が行われたことは一度もない。民主党政権時代に「事業仕分け」が行われたが、個別に一件一件政権政治家が主導して行い、その議論を公開したことにより、既得権益グループの反対論が大きく報道され、政権政治家が矢面に立たされ失敗した。しかしこの作業は常に行われなくてはならない。全ての施策は、一度認められるとそこから関係団体や利益グループが生まれ、予算は恒常的に増加することが知られている。予算査定を迅速にするために設けられた「標準予算」も予算の恒常化に繋がっている。各事業は一度認められるとその後は「標準予算」となり、利益グループが生まれ、継続される。しかし時代のニーズや優先度は変化するので、上述の如く、4-5年毎の精査と10年毎の制度評価や存廃(必要な事業は民営とする)を含む定期的な精査が必要である。しかし、省庁の巨大省庁への統合化と内閣府機能の強化に伴い、これらの機能が内閣府に集中し過ぎているため機能していないようだ。また現実論からすると、事業毎に検討すれば賛否両論が出され、既得権益グループは抵抗し結論を出すことは困難なことから、例えば4-5年毎に全ての省庁に対し事務経費(人件費を含む)実質的な一律カットを課し、優先度や削減内容などを各省庁に委ねるなどの手法も検討すべきであろう。

 今後少子化人口減が予想されているので、人件費を含む行政経費も削減して行くことを真剣に検討すべき時期である。同時に国、地方双方での議員数も削減して行く必要がある。

 

 3、国内消費、内需促進を見据えた経済経営モデルの構築

 国内消費、内需の増加は、総国民所得を押し上げ、消費税増収によりで歳入は増加する。戦後、金融投資資金が十分でなかった時代には貯蓄は美徳とされたが、過剰な貯蓄は消費を必要以上に抑制する上、貯蓄された資金は保蔵され投資にも経済成長にも結びつかない。適度な消費が経済を活性化させるとの意識が必要になっている。いずれにしても過度な貯蓄はもはや美徳ではない。

 今後賃金所得が4~5%前後増加していけば、消費は増加するものと期待される。しかし産業企業の魅力ある新規製品・サービスの開発・提供が不可欠であると共に、外国為替が円高になる場合は輸入関連製品の価格引き下げや増量など、きめの細かい対応により消費を引きつける努力が望まれる。

また政府は、国民、消費者の将来不安を解消するため年金を含む社会保障制度への信頼性を回復し、また正規、不正規雇用形態の是正や同一職種同一賃金の普及などを行うことにより労働市場を活性化して行くことが必要であろう。 (2024.9.1.All Rights Reserves.)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日韓間の「不都合な」事実―竹島(独島)問題―再掲

2025-02-21 | Weblog

日韓間の「不都合な」事実―竹島(独島)問題―再掲
 2012年1月24日、玄葉外相が通常国会冒頭における外交演説において、「竹島問題」に触れたのに対し、翌25日、韓国外交通商部は趙報道官名で、「玄葉外相が韓国固有の領土である独島に対し、不当に領有権を主張したことについて強く抗議し、直ちに撤回することを求める」旨の声明を出し、強く反発した。
 竹島は、韓国では「独島」(Dokdo)と呼ばれており、日本と連合国とのサンフランシスコ平和条約発効(52年4月28日)を前にして、李承晩・大韓民国(韓国)大統領が、1952年1月18日、「海洋主権」を宣言し、周辺海域に「漁船立ち入り禁止線」、通称「李承晩ライン」を設定し、同島は韓国の支配下にあると一方的に宣言して以来、日韓間の喉もとの小骨となっている。玄葉外相が「竹島」問題と述べたことから、日本側が韓国側の呼称、領有権を認めず、同島への灯台や桟橋の建設など、韓国が行っている各種の行動を認めていないと受け止められたためと見られている。しかし玄葉外相は、外交演説の中で韓国を「基本的な価値観を共有する最も重要な隣国」と位置付けた後、「竹島問題は,一朝一夕に解決する問題ではないが、韓国側に対して受け入れられないものについては受け入れられないとしっかりと伝え、粘り強く対応する」旨、しごく当たり前のことを述べたに過ぎない。韓国側の声明は、外交通商部の報道官レベルのものであり、それ程強いものではないとも受け取れるが、過敏、過剰な反応と映る。日本での韓流ブームなどで象徴される両国間の文化、観光交流や活発な経済交流などの実体からからすると違和感を受ける動きであり、両国政府間が協調の精神で知恵を出し合い、問題が解決されること期待したい。
 1、 日韓の古くからの接点、竹島(独島)の歴史
 同島は、東西2つの岩礁島からなっており、日比谷公園と同程度の面積しかなく、また定住出来るような環境にはないが、1905年1月28日、日本政府は、閣議で「竹島」と命名し、「島根県隠岐島司」の所管とした。日本が、韓国(大韓帝国)を併合(1910年8月)した5年以上も前のことである。
しかし、同島を巡る日韓両国の交流は、両国の沿岸漁民を中心として古くからあるようであり、1618年には、日本人2名が江戸幕府の許可を得て同島に渡航し、また、1692、3年頃には、これら2名が周辺島嶼から2名の朝鮮人を日本に連行したことから、日本と朝鮮の間に紛争(「竹島一件」)が発生したなどの記録があり、この頃より周辺海域での接触、紛争が活発になって来たようだ。
 もっとも、その頃は韓国側の「鬱陵島」を「竹島」と呼び、現在の竹島を「松島」と呼んでいたようである。また1849年、フランスの捕鯨船Liancourt号が同島を発見し、リアンクール島と名付け、その後日本では、「りゃんこ島」とか「リアンクール岩」とも呼ばれたことがあるようで、同島(岩礁)を巡る両国の交流の歴史にも混同がありそうだ。因みに、米国国務省がホーム・ページで公表している各国別地図では、日韓双方に、Liancourt Rocks(リアンコート岩礁)の名称で記載している。
いずれにしても竹島(独島)は人が住める状況にはない岩礁であるが、両国沿岸には大小多くの島が点在しており、恐らく古くから漁民などが同島周辺を往来していたのであろう。韓国側にもいろいろと記録があるようであるが、従来人が住んでいるわけではなく、同島周辺海域、島嶼を巡る往来のようであり、正に両国双方の接触の「最外延点」である。
 このような古くからの交流の歴史を考えると、竹島(独島)問題は、靖国神社参拝やいわゆる「(侵略の)歴史問題」とは関係がないのである。韓国側も、歴史的事実は事実として認識して欲しいものである。他方日本とは反対側の韓国からの見方もあろうから、双方の専門家で同島の歴史を客観的に研究し、相互の理解を深める努力も必要のようだ。
それはそれとして、同島が両国の古来の接触の「最外延点」であるという歴史的背景を踏まえ、同島問題の早期解決を模索できないものであろうか。

 2、両国に求められる竹島(独島)問題の早期解決
 この問題は、日本政府としては1954年以来国際司法裁判所に付託することを韓国側に提案し来ているが、韓国政府が同意していないため実現していない。
 竹島は韓国により事実上占拠されており、韓国側はこれを「実効支配」と称している。しかし本来「実効支配」とは、「政府承認の重要な要件」の一つとして、特定国の政府が国内全域において実効的に支配が確立出来ているか否かを判断する概念であり、日本が領有を主張する竹島を「実力行使」で占拠しても、日本が領有を明確に表明している限り、実力行使による「占拠」でしかない。日本側とすれば、韓国が国際司法裁判所への付託に同意するまで要請を続け、領有権において譲歩する必要はないとの意見もあろう。しかしお互いに本件を巡り「消耗戦」を継続し、両国関係改善の阻害要因とすることは両国国民の健全な交流をも阻み、真の「日韓新時代」などは幕開けしないであろう。国際司法裁判所への付託が実現し難い場合には、両国がこの問題に冷静に対処し、同島の共同管理・共同統治の道を速やかに模索するなど、早期の解決が望まれる。
(2012.01.26.)(Copy Right Reserved.)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トランプ大統領の野望―米国経済世界一の地位

2025-02-21 | Weblog

トランプ大統領の野望―米国経済世界一の地位

 トランプ米大統領は、1期目の2018年3月、‘中国が米国の知的財産権を侵害している’として、最大で600億ドル(約6.3兆円)規模の中国製品に対し関税を課す大統領覚書に署名し、その後米中両国間交渉において、中国の国営企業の中央管理や実質的補助、中国への企業進出に際する中国企業への技術ライセンス供与などについては中国側が原則の問題として譲らず膠着状態となったことから、米国は協議の進展を促すため25%の関税引き上げの対象をすべての中国製品にすることを表明し、漸次実施された。バイデン政権もこれを引き継いだ形となった。

 1、2回目のトランプ政権による製品別、国別関税戦略

 トランプ大統領は2025年2回目の就任後、多くの大統領令に署名したが、関税引上げは直ちには発動せず、外国歳入庁を設立し、2月4日から不法薬物の輸出や2国間の貿易赤字等を理由としてメキシコ、カナダに25%の関税を(実施は1ヶ月延期)、また中国に対し10%の追加関税を課した。また2月12日より、原則全ての国を対象に鉄鋼・アルミ製品に対し25%の関税を掛け(対米赤字の豪州は除外か)、米国の製造業の育成を図るとしている。今後、これら諸国からの輸入状況等を確認しつつ、自動車、半導体などへの関税を検討するとしており、これら各国ともいろいろな形で接触しながら判断するものと見られる。

 主な目的は、米国の製造業の再興、促進と経済安全保障とされる。しかし製造業については、1990年代後半より中国の改革開放政策に乗って急速に中国に製造拠点を移したのは米国企業自体である。しかも米国企業は、製造の本社機能も中国に移したことにより、多くの場合、米国には資本・投資管理と輸入販売を中心とした部門しか残らなかった。それでも米国経済は潤い、消費者は低廉な製品が購入出来るようになった。しかし中国企業の成長に伴い、技術ライセンスも中国に移転する一方、米国の製造産業は空洞化し、米国の対中国貿易赤字が拡大したのである。従って、米国の製造産業の再興・促進は米国自体の産業界の理解と協力がなければ実現できない。その間の限定的な関税と言えようが、関税を速やかに引き下げ・撤廃できるよう米国自体の努力が望まれる。

 2,早過ぎた中国の世界貿易機関(WTO)への加盟

 2001年に中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した。当時、中国からの輸出は外資系企業の製品が中心であったため、WTO加盟への抵抗が少なかったと見られるが、それを契機に世界レベルの自由化、多国間主義が進み、中国が世界の自由市場のメリットを享受し飛躍的な経済成長を遂げ、またその他途上諸国が経済発展を遂げた。その中で米国は世界最大の経済国の地位を維持しているが、中国が世界2位の地位を占め、またBRICSやグローバル・サウスと呼ばれる諸国が顕著な発展を遂げた。それ自体は歓迎すべきことであるものの、2000年代初期に比し世界経済構造が変化し、米国の地位が相対的に低下し、加えて米国の製造部門が衰退し米国内の雇用機会が奪われていることへの懸念があるとしても不思議はない。

 中国については、‘社会主義市場経済’の下で、国内では国営企業など基幹産業に補助金を出し、経済活動のみならず人の移動等をも厳しく制限し中央統制する一方、国外に向かっては多国間主義を主張し世界の隅々まで自由市場の恩恵を享受している状態はフェアーでも衡平でもない。2001年の中国のWTO加盟に際し、経済・金融改革・是正につき10年程度の期限を付すべきであった。国際社会の期待は裏切られた今日、加盟時に求められた是正・改革、諸条件につき、早急に厳密な審査を行うべきであろう。その上で、市場の内外格差が是正されない場合は、速やかな是正を求めると共に、それまでの間限定的に関税を課すことはやむを得ないであろう。

 3、米国は関税政策によって米国経済世界一の地位を守り切れるか

 2023年の米国の国内総生産(GDP)は27.3兆米ドルで世界1位であるが、中国のGDPはその約70%の17.8兆ドルと迫っている上、3位のドイツ4.4兆ドル、4位の日本 4.2兆ドルと中国に大幅に水をあけられており、この流れを放置しておけば世界の経済構造は激変し、世界経済秩序も不安定化する恐れがある。

 世界経済は岐路にあり、米国だけの問題ではない。このような世界経済の構造変化に対し経済主要国が早急に対応を検討しなくてはならない時期にあるのではなかろうか。

 今後トランプ政権の2国間の限定的・局部的関税の動向を注視しつつ、相互主義に基づく多国間主義へ転換を図るべく、貿易収支のみに限定せず、資本収支、貿易外収支を含めた総合収支に基づく経済秩序を検討すべき時期ではなかろうか。(M.K.)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

竹島問題を大所高所から解決すべき時 (総合編)(再掲)

2025-02-21 | Weblog

竹島問題を大所高所から解決すべき時 (総合編)(再掲)

 (はじめに)2024年9月6-7日、岸田首相は退陣を前にして訪韓し、ユン大統領と会談した。2国間交流促進については、第3国(北朝鮮など)における自国民の保護についての協力に合意され、また、北朝鮮をめぐり最近の朝ロ軍事協力の合意など懸念すべき情勢に対して、国連安保理における対応や日韓、日韓米で一層緊密に連携して対応していくことで一致したようだ。安全保障問題などについてはほとんどが極秘とされ公表されていないが、隣国韓国との関係安定化は必要であるものの、わざわざ日本の首相が訪韓し大統領と協議する以上、日韓で懸案の竹島(独島)問題を提起していないとすると韓国による不法占拠を黙認する恐れがあり、中国と尖閣列島、ロシアと北方領土問題を抱えている日本にとって外交上のマイナスとなる。

また北朝鮮による日本人拉致問題は重大な人権問題であり邦人保護の問題であるが、もう一つの拉致問題がある。統一教会による集団結婚で韓国の離村に嫁いだ多くの日本女性の人権問題で連れてこられ、集団結婚したほとんどの日本女性は集団結婚式当日まで知らなかった韓国人男性と集団結婚し農村で生活している。それで安定した生活をしている方々もいると思われ、それに関与することは好ましくないが、その実態は明らかでない。第3国における自国民の保護についての協力に合意したのであれば、統一教会により集団結婚された方々の安否や保護の必要性についても提起しなければ片手落ちであろう。

このような観点に立って本稿を再掲する。


 韓国の李明博大統領は、2012年8月10日、ヘリコプターで竹島(韓国名独島)に上陸し視察した。竹島は島根県に属するが、李承晩・大韓民国(韓国)大統領が、1952年1月18日、「海洋主権」を宣言し、周辺海域に「漁船立ち入り禁止線」、通称「李承晩ライン」を設定し、同島は韓国の支配下にあると一方的に宣言して以来、日韓間の喉もとの小骨となっている。
 今回の李明博韓国大統領の竹島上陸は日韓関係にとって信頼関係を損ねる極めて深刻な行為であり、日本としても重大な決意を持って竹島問題の解決に努めるべきであろう。
 1、日韓の古くからの接点、竹島(独島)の歴史
 同島は、東西2つの岩礁島からなっており、日比谷公園と同程度の面積しかなく、また定住出来るような環境にはないが、1905年1月28日、日本政府は、閣議で「竹島」と命名し、「島根県隠岐島司」の所管とした。日本が、韓国(大韓帝国)を併合(1910年8月)した5年以上も前のことであり、日本の植民地支配や慰安婦問題などとは関係がない。
 同島を巡る日韓両国の交流は、両国の沿岸漁民を中心として江戸時代初期頃からあり、この頃より周辺海域での接触、紛争が活発になって来たとの記録が残っている。また1849年、フランスの捕鯨船Liancourt号が同島を発見し、リアンクール島と名付け、その後日本では、「りゃんこ島」とか「リアンクール岩」とも呼ばれたことがあるようで、同島(岩礁)を巡る両国の交流の歴史にも混同がありそうだ。因みに、米国国務省がホーム・ページで公表している各国別地図では、日韓双方に、Liancourt Rocks(リアンコート岩礁)の名称で記載している。
同島が両国の古来からの接触の「最外延点」であるという歴史的背景を踏まえ、同島問題の解決を真剣に模索すべき時期に来たと言えよう。
 2、「日韓新時代」は竹島(独島)問題の早期解決が鍵
 竹島の帰属問題は、日本政府としては1954年、1962年に国際司法裁判所に付託することを韓国側に提案し来ているが、韓国政府が同意していないため実現していない。
 今回についても韓国政府は、国際司法裁判所への付託を拒否する姿勢が伝えられている一方、これを受けて日本政府は、経済的影響を考慮し対応を慎重に検討するとしている。しかし韓国大統領の竹島上陸は、日韓両国政府の信頼関係を著しく損なう行動であるので、この行動が日韓関係に影響を与えないはずがない。竹島は日本の領土であるのでしっかりと主張し、短期的に両国関係に影響することがあるとしても、毅然としてあらゆる措置、対策を取るべきであろう。言葉や標語だけの外交や、問題先送りにより事態の改善をもたらすことはないことが、李大統領の今回の同島訪問で明らかになった。影響を恐れて従来のような事なかれ外交を繰り返すことは、韓国側に日本は従来通り何も出来ない、何もしないとの誤ったメッセージを送り、現状を事実上容認することになる恐れが強い。従来の措置を超える明確且つ具体的な措置を検討、実施すべきであろう。
 領土の保全は、国家、国民の存立の基礎であり、安全保障、防衛の基本的な役割である。従って、韓国政府が竹島を巡る領有権問題で日本の利益を害する行動を継続するのであれば、日韓間の防衛協力については実務的な情報交換や信頼醸成措置程度に止める一方、日本自身の領土保全、安全保障に重点をシフトするなど、防衛政策の転換を真剣に検討すべきであろう。
 他方、日韓両国は近年において経済の相互依存関係を強め、また民間レベルの文化・芸能交流などが深まっているので、このような民間レベルの日韓交流に影響を与えないよう留意しつつ、国際司法裁判所への付託を含め、首脳レベルでの協議を打診し、常に本件協議への門戸を開放しておく一方、一般的な首脳レベルでの交流を停止する。また日韓経済連携協議の凍結や金融・資本、高度技術分野などでの政府レベルの交流、協力を抑制するなど、竹島問題の解決に向けて明確なメッセージを送り続けるべきであろう。
 但し2国間関係は相互の努力で発展するものであるので、日本だけではなく、韓国の官民もこの問題が民間レベルの交流に影響を与えないよう努力することを期待したい。この関連で、日韓間の議員交流を超党派での交流を含めもっと頻繁に行うことが望ましい。
この問題の解決なくして「日韓新時代」は実体が伴わない標語に過ぎない。
 3、模索すべき大所高所からの解決策
 米国国務省公開文書「1964年から68年米国の外交関係29編」に基づけば、同島の「日韓共同所有案」について、1965年5月17日、訪米した朴大統領(当時)に対し、ラスク米国務長官が、解決に向けての方策として提案したが、朴大統領は「あるまじきこと」として固辞した旨伝えられている。またその後、米国は韓国に対し同島問題を議題として韓日外相会談を提案したが、同大統領の受け入れるところにはならなかったとされている。
 共同所有案にしても、共同管理・分割領有にしても、両国国内の世論等もあり困難が伴うと予想されるが、日韓関係は当時とは異なっている。日韓両国は、1965年6月22日に日韓基本条約を締結し、国交を正常化すると共に、戦後請求権問題も経済協力等の形で処理し、基本的な友好関係の枠組みもそれなりに確立しており、市民レベルの交流も盛り上がりを見せている。今後日韓関係が健全に発展するか、阻害されるかが、竹島問題解決への両国首脳のリーダーシップと大所高所からの英断に掛かっていると言えよう。(2012.08.14.)
(Copy Right Reserved.)(不許無断転載・引用)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする