内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

このブログは、広い視野から内外諸問題を分析し、提言を試みます。
Policy Essayist

日韓間の「不都合な」事実―竹島(独島)問題―再掲

2022-03-30 | Weblog

日韓間の「不都合な」事実―竹島(独島)問題―再掲
 2012年1月24日、玄葉外相が通常国会冒頭における外交演説において、「竹島問題」に触れたのに対し、翌25日、韓国外交通商部は趙報道官名で、「玄葉外相が韓国固有の領土である独島に対し、不当に領有権を主張したことについて強く抗議し、直ちに撤回することを求める」旨の声明を出し、強く反発した。
 竹島は、韓国では「独島」(Dokdo)と呼ばれており、日本と連合国とのサンフランシスコ平和条約発効(52年4月28日)を前にして、李承晩・大韓民国(韓国)大統領が、1952年1月18日、「海洋主権」を宣言し、周辺海域に「漁船立ち入り禁止線」、通称「李承晩ライン」を設定し、同島は韓国の支配下にあると一方的に宣言して以来、日韓間の喉もとの小骨となっている。玄葉外相が「竹島」問題と述べたことから、日本側が韓国側の呼称、領有権を認めず、同島への灯台や桟橋の建設など、韓国が行っている各種の行動を認めていないと受け止められたためと見られている。しかし玄葉外相は、外交演説の中で韓国を「基本的な価値観を共有する最も重要な隣国」と位置付けた後、「竹島問題は,一朝一夕に解決する問題ではないが、韓国側に対して受け入れられないものについては受け入れられないとしっかりと伝え、粘り強く対応する」旨、しごく当たり前のことを述べたに過ぎない。韓国側の声明は、外交通商部の報道官レベルのものであり、それ程強いものではないとも受け取れるが、過敏、過剰な反応と映る。日本での韓流ブームなどで象徴される両国間の文化、観光交流や活発な経済交流などの実体からからすると違和感を受ける動きであり、両国政府間が協調の精神で知恵を出し合い、問題が解決されること期待したい。
 1、 日韓の古くからの接点、竹島(独島)の歴史
 同島は、東西2つの岩礁島からなっており、日比谷公園と同程度の面積しかなく、また定住出来るような環境にはないが、1905年1月28日、日本政府は、閣議で「竹島」と命名し、「島根県隠岐島司」の所管とした。日本が、韓国(大韓帝国)を併合(1910年8月)した5年以上も前のことである。
しかし、同島を巡る日韓両国の交流は、両国の沿岸漁民を中心として古くからあるようであり、1618年には、日本人2名が江戸幕府の許可を得て同島に渡航し、また、1692、3年頃には、これら2名が周辺島嶼から2名の朝鮮人を日本に連行したことから、日本と朝鮮の間に紛争(「竹島一件」)が発生したなどの記録があり、この頃より周辺海域での接触、紛争が活発になって来たようだ。
 もっとも、その頃は韓国側の「鬱陵島」を「竹島」と呼び、現在の竹島を「松島」と呼んでいたようである。また1849年、フランスの捕鯨船Liancourt号が同島を発見し、リアンクール島と名付け、その後日本では、「りゃんこ島」とか「リアンクール岩」とも呼ばれたことがあるようで、同島(岩礁)を巡る両国の交流の歴史にも混同がありそうだ。因みに、米国国務省がホーム・ページで公表している各国別地図では、日韓双方に、Liancourt Rocks(リアンコート岩礁)の名称で記載している。
いずれにしても竹島(独島)は人が住める状況にはない岩礁であるが、両国沿岸には大小多くの島が点在しており、恐らく古くから漁民などが同島周辺を往来していたのであろう。韓国側にもいろいろと記録があるようであるが、従来人が住んでいるわけではなく、同島周辺海域、島嶼を巡る往来のようであり、正に両国双方の接触の「最外延点」である。
 このような古くからの交流の歴史を考えると、竹島(独島)問題は、靖国神社参拝やいわゆる「(侵略の)歴史問題」とは関係がないのである。韓国側も、歴史的事実は事実として認識して欲しいものである。他方日本とは反対側の韓国からの見方もあろうから、双方の専門家で同島の歴史を客観的に研究し、相互の理解を深める努力も必要のようだ。
それはそれとして、同島が両国の古来の接触の「最外延点」であるという歴史的背景を踏まえ、同島問題の早期解決を模索できないものであろうか。

 2、両国に求められる竹島(独島)問題の早期解決
 この問題は、日本政府としては1954年以来国際司法裁判所に付託することを韓国側に提案し来ているが、韓国政府が同意していないため実現していない。
 竹島は韓国により事実上占拠されており、韓国側はこれを「実効支配」と称している。しかし本来「実効支配」とは、「政府承認の重要な要件」の一つとして、特定国の政府が国内全域において実効的に支配が確立出来ているか否かを判断する概念であり、日本が領有を主張する竹島を「実力行使」で占拠しても、日本が領有を明確に表明している限り、実力行使による「占拠」でしかない。日本側とすれば、韓国が国際司法裁判所への付託に同意するまで要請を続け、領有権において譲歩する必要はないとの意見もあろう。しかしお互いに本件を巡り「消耗戦」を継続し、両国関係改善の阻害要因とすることは両国国民の健全な交流をも阻み、真の「日韓新時代」などは幕開けしないであろう。国際司法裁判所への付託が実現し難い場合には、両国がこの問題に冷静に対処し、同島の共同管理・共同統治の道を速やかに模索するなど、早期の解決が望まれる。
(2012.01.26.)(Copy Right Reserved.)

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北朝鮮の挑発と和解の繰り返しで進む軍事開発 (その2)<再掲>

2022-03-30 | Weblog

北朝鮮の挑発と和解の繰り返しで進む軍事開発 (その2)<再掲>
―朝鮮労働党創建70周年に北朝鮮は世界に何を見せるのかー
8月10日、南北非武装地帯の韓国側付近で韓国軍兵士2人が敷設されていた地雷により負傷した。韓国側は、‘地雷は北朝鮮が最近埋めたものであることが確実’と発表し、南北朝鮮を分断する軍事境界線(通称38度線)を挟み、韓国と北朝鮮の軍事的緊張が再び高まった。北朝鮮側のこの種の挑発は、7月11日にも北朝鮮軍10人余が軍事境界線中央付近(江原道鉄)で韓国側に侵入する事件などが起こっている。
これに対し韓国側は、地雷敷設事件に謝罪を要求、北朝鮮がこれを厳しく非難し、地雷爆発事件は‘でっち上げた’として否定するなど、南北が非難の応酬を行った。
 韓国側は、対抗措置として2004年6月に南北で合意した‘批判宣伝合戦停止’を中断し、北に向けた大音量の拡声器による金正恩体制への批判等を8月22日から再開した。これに対し北朝鮮側は、拡声器が敷設されている方面に2発の砲弾を発射、韓国側もこれに応じ2発の砲弾を発射した。北朝鮮は‘準戦時状態’を布告(8月20日)していたが、韓国側は最高レベルの‘警戒態勢’を取って応じるなど、緊張が更に高まった。各紙、テレビでは南北間は一触即発で、局地的に不測の事態も起こりかねない等と報じた。
 しかし北朝鮮が一転して南北会談を呼びかけ、8月22日、板門店で南北代表(韓国側代表 金寛鎮(キム・グァンジン)大統領府国家安保室長、北朝鮮側黄炳瑞(ファン・ビョンソ)朝鮮人民軍総政治局長)が会談を開始し、数次の協議を重ねた後、8月25日、南北は相互の挑発中止で合意した。合意した内容は、北朝鮮側が地雷爆発により韓国軍兵士が重傷を負った事件に対し遺憾を表明する一方、韓国側は拡声器を使った宣伝放送を同日正午に中断することが中心となっている。その上で北朝鮮は‘準戦時状態’を解除すると共に、関係改善に向けてソウルか平壌で当局者会談を開催し、また朝鮮戦争などで生じた離散家族の再会に向けた実務者会議を開催することや、多様な分野での民間交流活性化などが合意されている。
これで南北間において多様な分野での民間交流が行われることになるとの印象を受けるが、この種の挑発と和解のプロセスはいわば年中行事となっている。
 1、 年中行事化した米韓合同軍事演習への北朝鮮の反発 (その1で掲載)
 2、 密かに進められる核とミサイル開発  
 8月の米韓合同演習を巡る北朝鮮の姿勢は、一見挑発から和解に転じたように映るが、その背後で核と長距離ミサイルの開発が着実に進められていることが北朝鮮の当局者の見解として明らかにされている。
 (1)ミサイル開発
 北朝鮮の国家宇宙開発局長官は、9月14日、朝鮮中央通信を通じ、‘朝鮮労働党創立70周年に際し’宇宙開発分野での成果について述べるとして、国家宇宙開発局は‘気象観測等のため、新たな地球探査衛星開発の最終段階にある’旨明らかにしている。そして世界は、中央委員会が決定する場所と時期に打ち上げられる‘先軍朝鮮の一連の衛星’を見ることになろうと締めくくっている。
 (2)核開発
 翌9月15日には同じく朝鮮中央通信が、北朝鮮の核開発について‘原子力研究院’の院長へのインタビューを伝え、その中で‘北朝鮮の核の対応は、米国の北朝鮮に対する敵視政策と核の脅威である’としている。そして既に明らかにされているように、‘経済建設と核戦力開発を同時並行的に進めるとの中央委の方針に沿って、寧辺にあるウラン濃縮施設や黒鉛減速炉を初めとして、すべての核関連施設は再整備或いは変更、再調整され、既に正常な稼働を開始した’ことを明らかにした。
 この方針は2013年4月に北朝鮮原子力総局により明確にされたとしているが、経済建設と共に、核戦力開発が進められていることが公言されており、核開発の既成事実化を狙ったものと思われる。
 9月3日に中国で‘抗日戦争勝利70年’の行事が開催され、天安門で中国の最新兵器を含む大軍事パレードが行われたが、10月10日の朝鮮労働党創立70周年の行事おいても、北朝鮮は‘核抑止を含め公にしていない最新の兵器’を含む軍事パレードを大々的に行うであろう。張り子の兵器などが含まれている可能性はあるが、野心に満ちたパレードとなろう。
 また上記の内容は‘朝鮮労働党創立70周年’と絡めて公表されていることから、その前後に、核爆発実験や長距離ミサイルの発射実験が行われる可能性がある。特に、‘新たな地球探査衛星開発の最終段階にある’としていることから、長距離ロケットの発射実験の可能性が高い。他方、‘気象観測’等のためのロケット開発であれば、韓国を含め多くの国が行っているので、国連安保理決議は決議として、北朝鮮には認めないと繰り返し言ってみても説得力に欠け、問題解決には結びついてはいないので、平和目的でのロケット開発について国際的な枠組みや機構が必要になって来ていると言えよう。
 3、朝鮮半島非核地帯の創設が緊要      (その3に掲載)
(2015.10.03.)(All Rights Reserved.)

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北朝鮮の挑発と和解の繰り返しで進む軍事開発 (その1)<再掲>

2022-03-30 | Weblog

北朝鮮の挑発と和解の繰り返しで進む軍事開発 (その1)<再掲>
   ―朝鮮労働党創建70周年に北朝鮮は世界に何を見せるのかー
 「まえがき」
 北朝鮮は、2月7日午前、地球観測用との名目で長距離ロケット(光明星4号」)を発射した。このロケットには‘衛星’が搭載されているが、核などの兵器を搭載すれば大陸間「弾道ミサイル」にも転用出来る。今回のロケット(テポドン2改良型)飛行距離が12,000-13,000キロと見られており、米国本土の東海岸にも到達するものと見られている。
 今回の発射は国際海事機関(IMO)他、関係国際専門機関に通告されていたが、北朝鮮が1月6日に水爆とされている爆発実験を行っており、核と運搬手段であるロケットの軍事開発を目的としていると見られることから、米国、韓国や中国など世界各国が東アジアの不安定化につながり、これまでの国連安保理決議に反するなどとして強く非難し、また国連安保理が全会一致で非難決議を採択し、新たな制裁措置を検討している。米国では北朝鮮制裁法案が上下両院で採択され、大統領が署名(2月18日)して成立し、日本は北朝鮮のミサイル開発は‘認められない’などとして北朝鮮船舶の日本寄港の禁止や人的交流の制限など‘独自の制裁’を決定した。また韓国も開城工業団地よりの引き上げを行うなど制裁を強化している。
 北朝鮮の核兵器開発やミサイル開発は、東アジアのみならず国際の平和と安全に対する脅威であると共に、核不拡散体制の形骸化を加速することになるので、国際社会が重大な関心を持ち批判、非難すべきことである。しかし残念ながらこのような批判、非難にも拘わらず、北朝鮮が5回の核爆発実験を重ねて10年、長距離弾道ミサイルに転用出来るテポドン2改良型の発射実験を3回重ねて6年余となるが、ある程度の抑止効果はあったとしても結果として阻止は出来ていない。逆に、開発の時間を北朝鮮に与えた結果となっていることは否めない。
 日本独自の制裁強化については、北朝鮮による同国内日本人の特別調査委員会の‘解体’を呼ぶ結果となり、被害者家族の悲痛な期待に反し、拉致問題はまたも振り出しに戻る結果となっている。朝総連の解体を含む、新たな対応と発想の転換が不可欠になって来ているように見える。
 北朝鮮の核、ミサイル開発は思った以上に進んでいるのが実態だ。一連の制裁により一定の抑止効果はあるとしても、これまでの制裁の繰り返しでは、北朝鮮の核、ミサイルの開発を‘認めない’どころか、その実用化、配備の阻止も困難とも映る。この問題のカギを握っているのは、地域の核兵器国である米国と中国、ロシアと言えようが、これまでの‘制裁’を超える対応と発想の転換が迫られていると言えよう。
 このような観点から、本稿を継続掲載したい。
2015年8月10日、南北非武装地帯の韓国側付近で韓国軍兵士2人が敷設されていた地雷により負傷した。韓国側は、‘地雷は北朝鮮が最近埋めたものであることが確実’と発表し、南北朝鮮を分断する軍事境界線(通称38度線)を挟み、韓国と北朝鮮の軍事的緊張が再び高まった。北朝鮮側のこの種の挑発は、7月11日にも北朝鮮軍10人余が軍事境界線中央付近(江原道鉄)で韓国側に侵入する事件などが起こっている。
 これに対し韓国側は、地雷敷設事件に謝罪を要求、北朝鮮がこれを厳しく非難し、地雷爆発事件は‘でっち上げた’として否定するなど、南北が非難の応酬を行った。
 韓国側は、対抗措置として2004年6月に南北で合意した‘批判宣伝合戦停止’を中断し、北に向けた大音量の拡声器による金正恩体制への批判等を8月22日から再開した。これに対し北朝鮮側は、拡声器が敷設されている方面に2発の砲弾を発射、韓国側もこれに応じ2発の砲弾を発射した。北朝鮮は‘準戦時状態’を布告(8月20日)していたが、韓国側は最高レベルの‘警戒態勢’を取って応じるなど、緊張が更に高まった。各紙、テレビでは南北間は一触即発で、局地的に不測の事態も起こりかねない等と報じた。
 しかし北朝鮮が一転して南北会談を呼びかけ、8月22日、板門店で南北代表(韓国側代表 金寛鎮(キム・グァンジン)大統領府国家安保室長、北朝鮮側黄炳瑞(ファン・ビョンソ)朝鮮人民軍総政治局長)が会談を開始し、数次の協議を重ねた後、8月25日、南北は相互の挑発中止で合意した。合意した内容は、北朝鮮側が地雷爆発により韓国軍兵士が重傷を負った事件に対し遺憾を表明する一方、韓国側は拡声器を使った宣伝放送を同日正午に中断することが中心となっている。その上で北朝鮮は‘準戦時状態’を解除すると共に、関係改善に向けてソウルか平壌で当局者会談を開催し、また朝鮮戦争などで生じた離散家族の再会に向けた実務者会議を開催することや、多様な分野での民間交流活性化などが合意されている。
 これで南北間において多様な分野での民間交流が行われることになるとの印象を受けるが、この種の挑発と和解のプロセスはいわば年中行事となっている。
 1、 年中行事化した米韓合同軍事演習への北朝鮮の反発
 上記の北朝鮮の挑発は、8月17日より開始された米韓合同軍事演習の前後で発生している。北朝鮮側は、これまでも米韓合同軍事演習に対し激しく反発しており、いわば年中行事化している。
 2014年12月から翌2015年1月に掛けて、北朝鮮は一連の政治的粛清や人権侵害について国際的な批判に晒されていたが、2月下旬から予定されていた米韓合同軍事演習を非難した。同年1月16日、北朝鮮国防委員会は、南北朝鮮間に良好な環境を作り出すためとして、相互に批判し挑発し合うことを止めると共に、米韓両国の合同軍事演習の中止を訴えている。その後北朝鮮は、韓国との南北離散家族再開事業を実施(2月20日から6日間)した他、日朝赤十字会談や日朝政府間協議を行うなど、融和姿勢を示す一方、短、中距離のミサイルの日本海向け発射などの示威行為を行い、硬軟両用の姿勢を示しており、今回の動きと酷似している。
 今回も米韓合同軍事演習を前にした8月15日、北朝鮮国防委スポークスマンは、8月17日より開始される米韓合同軍事演習を北朝鮮の‘中枢部の除去’を狙った奇襲を意図するものであり、最大限の反撃を行う旨の声明を発表した。更に、北朝鮮は‘核抑止を含め公にしていない最新の攻守双方の兵器を装備している’旨述べると共に、米国による経済制裁を非難した。そして米韓合同軍事演習が開始された後の8月20日、北朝鮮は‘準戦時状態’を布告した。
 このように緊張が高まる中で北朝鮮側は、8月22日、韓国が北朝鮮向けに敷設した拡声器の方面に2発の砲弾を発射、韓国側もこれに応じ2発の砲弾を発射し、‘最高レベルの警戒態勢’を取って応じるなど、緊張が更に高まった。
 これを受けて米国は、同日より米韓合同軍事演習を中断することを発表した。北朝鮮が8月22日、一転して南北会談を呼び掛け、南北代表の会談が開始されることになったが、米韓合同軍事演習の中断がそのきっかけとなっていると見て良いだろう。
 こうして8月22日から板門店で南北代表が会談を開始され、数次の協議の末、8月25日、緊張回避のための6項目に合意したが、年初の米韓合同軍事訓練に際する南北の緊張と融和のパターンに類似する流れとなっている。
 しかし今回の北朝鮮の対応から次のようなことが明らかになった。
 (1)まず、北朝鮮が人権問題での国際的な悪評や韓国による北朝鮮国内に向けた中枢部批判や宣伝に非常に神経質であることが明らかになった。

 このことは逆に、北朝鮮の人権問題等に対する国際世論の形成やの中枢部批判や北朝鮮の社会文化的な遅れ、貧困問題などに関し北朝鮮国内に発信して行くことが効果的ということである。
 (2)米韓合同軍事演習は、在韓米軍から韓国軍への戦時作戦統制権の移譲が予定されていた2015年12月から再び延期されたことから明らかのように、韓国軍の体制が未だに整っていない以上、軍事的には必要である。他方、軍事優先の専軍主義を取る北朝鮮側にとっても、毎年実施される大規模な米韓合同軍事演習は、米韓両国の北への攻撃準備等として格好の批判材料となり、国内引き締めや軍備拡張の理由に使えるので、好都合であろう。
 このことは、米国政府としても、米韓合同軍事演習の頻度や規模、実施場所などのあり方については、国防総省や軍事当局に任せるのではなく、政治的、外交的な意味合いを含めて検討するため、国レベルの国家安全保障会議や国家安全保障担当大統領補佐官により、大局的に判断すべき時期にあることを示唆している。
 (3)北朝鮮が‘核抑止’を含む軍事力を誇示
 北朝鮮は既に自らを‘核兵器国’であると宣言しているが、8月15日、北朝鮮国防委スポークスマンは、米韓合同軍事演習を‘北朝鮮への米国の核攻撃の準備’として非難すると共に、北朝鮮は‘核抑止を含め公にしていない最新兵器を装備’しているとし、核兵器への対応を強調している。米韓合同軍事演習に対する北朝鮮の認識は歪曲されているが、北が核兵器開発に自信を持っていることが伺える。
 北朝鮮の核問題については、1995年より米国を中心として北朝鮮との協議が開始されたが、失敗に終わった朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)を経て協議の場は6か国協議に移っているが、過去20年間、具体的な成果が無いばかりか、北朝鮮は、挑発と和解を繰り返しつつ核兵器開発とミサイル開発を実質的に推進して来ているのが現実であるので、新たな方法を模索する時期に来ていると言えるだろう。
 2、 密かに進められる核とミサイル開発   (その2に掲載)
 3、朝鮮半島非核地帯の創設が緊要      (その3に掲載)
(2015.10.03.)(All Rights Reserved.)

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北朝鮮は休戦状態の朝鮮戦争終結宣言を望まず?

2022-03-30 | Weblog

北朝鮮は休戦状態の朝鮮戦争終結宣言を望まず?

 北朝鮮(DPRK)は2022年に入り、1月5日(日本時間)に巡航ミサイルの発射実験を皮切りに、同月11日弾道ミサイル(極超音速ミサイルと公表)、14日弾道ミサイル、25日巡航ミサイル、及び27日短距離弾道ミサイルの発射(各2発)を行った。更に30日、中距離ミサイルとみられる発射実験(1発)を行い、ミサイル発射実験・訓練の実施をエスカレートさせている。30日の中距離ミサイルの発射実験は、2017年11月以来のものである。

 いずれも東方向に発射され日本の排他的経済水域(EEZ)の外側(公海上乃至北朝鮮、ロシア沖の水域)に落下したものと見られている。日本への直接の影響を避け、また長距離弾道ミサイルではなく、短・中距離ミサイルの発射実験であり、一定の抑制的配慮をしているものと見られる。従って日本については、それをわきまえた対応が望ましい。

しかし今回の一連のミサイル発射は「発射実験」と言うよりは「実戦配備」を前提とした周到な「ミサイル発射訓練」とも言えるものもあり、朝鮮半島を中心とする北東アジアの安全保障情勢に現実的な影響を与え、緊張を煽ると共に、国連安全保障理事会の累次の決議に反するものであるので、自制を求めたい。

 1、北朝鮮は「朝鮮戦争終結宣言」を望んでいない?!

 (1)膠着状態の北朝鮮の非核化交渉

 北朝鮮の非核化については、米国のトランプ前大統領の下で劇的な進展が期待された。しかし、2019年2月27、28日にハノイで行われた米朝首脳会談において、米国側は核施設の廃棄・査察と大陸間弾道ミサイル(ICBM)などミサイルの撤去を求め、朝鮮戦争の終結を視野に入れた全面的解決を意図していた。これに対し北朝鮮側は、一部核施設の廃棄の見返りとして国連安保理決議による経済制裁の解除、特に民生用、民需用物資への制裁解除((安保理決議2270号、2375号など5決議関連)を求め、段階的な対応を期待していた。しかし両者間の溝は埋まらず、「取り引き無し」(‘ノーデイール’)で終わり、休戦状態の終了、朝鮮戦争終結の期待も遠のき、非核化交渉は膠着状態となった。

 (2)北朝鮮は休戦状態にある朝鮮戦争の終結を望んでいない!?

2021年1月に発足したバイデン政権は、「前提条件無しの会合」を呼びかけているが、北朝鮮側は応じていない。

 このような中で、韓国の文 在寅(ムン・ジェイン)大統領は2021年9月の国連総会において、北朝鮮、米国、中国に対し韓国と共に「戦争終結宣言」に向けて措置をとることを呼びかけた。同大統領は、2022年5月の大統領任期満了までに南北間の平和プロセスの再活性化と“実質的進展”を希望するとした。

 これを受けて韓国と米国の外交当局が宣言案につき協議し、2021年12月11、12日に英国で開催されたG7外相・開発相会議に際し、鄭義溶(チョン・ウィヨン)韓国外交部長官とブリンケン国務長官との間で「朝鮮戦争終結に関する宣言案」に原則として合意した。

 本来、朝鮮戦争終結のためには、相互に敵対行為を行わないこと、境界の確定と経過措置としての緩衝地帯の設置、国連監視団駐留、北朝鮮の核兵器・ミサイルの撤去と駐留米軍の撤退、相互査察、南北交流の条件など詳細な取り決めが必要になる。しかし今回米・韓両国で原則合意された宣言案は、未だに休戦状態にある南・北間の敵対関係を終了させ、正式に朝鮮戦争を終結させ、和平のための対話を図るというシンボリックな宣言と見られる。

 この文韓国大統領の呼びかけに北朝鮮は応じておらず、「宣言案」起草作業にも参加していない。北朝鮮の金与正国務委員(キム・ヨジョン、金正恩総書記の妹)は、9月に韓国大統領の「戦争終結宣言」提案を受けて、「前提条件が整えば、対面で会い、重要な“戦争終結”を宣言することも可能だろう。そうでなければ、“戦争終結宣言”は紙切れに過ぎない。」と論評している。

 他方バイデン政権は、「前提条件を付さず、何処でも何時でも北朝鮮と会う用意がある。」旨繰り返し述べており、北朝鮮側にもその趣旨は届いているであろう。一般的には、「前提条件無しの対話」はオープンな呼びかけとして好意的に受け止められる。しかし「前提条件」が現在の、と言うよりトランプ大統領時代のハノイでの「取り引き無し」以来の米・朝関係のキーワードである。北朝鮮は、経済制裁の一部解除、特に石油を含む民生用物資への制裁解除が交渉継続の「前提条件」としている。米国が「前提条件」を付さず外交的対話に応じると表明しても、取引には応じないとの意図と受け取られてしまう。

 北京で2022年2月に開催されているオリンピックには、北朝鮮は参加しないことを中国側に正式に伝えている(2022年1月7日)。いずれにしても北朝鮮は、2021年7月から9月に開催された東京オリンピック・パラリンピックに参加しなかったため、国際オリンピック委員会(IOC)により北朝鮮オリンピック委員会の資格が1年間停止する懲戒措置(2021年9月)が課されているので、今回の北京冬期オリンピックにはいずれにしても参加出来ない。北朝鮮が中国側に不参加の正式通報したのは、中国側の面子を潰すことなく金正恩総書記を含む代表団がオリンピック期間中に訪中しないことを示唆するためであったのであろう。同時に、これにより北京における南北首脳会談の機会は消え、「戦争終結宣言」も拒否されたものと見られる。

 米・韓によりまとめられた「戦争終結宣言」は、シンボリックな宣言であっても、朝鮮半島の和平と非核化の出発点として重要な宣言と言えよう。現在の「休戦状態」が継続する限り、敵対関係は継続し、相互に挑発や核兵器やミサイル開発を含む軍拡競争は続けられることになろう。北朝鮮にとっては、「休戦状態」の継続は軍部を含む政権にとって国内引き締め、団結を維持するための都合の良い状態と言える。「戦争終結宣言」は敵対関係から和平に転換する契機となると共に、それが無ければ何時までも敵対関係に呪縛されたままになる恐れがある。

 1月に入ってからの一連のミサイル発射実験・訓練は「戦争終結宣言」を当面望んでいないとのサインと受け取れる。核、ミサイルの排除を巡る北朝鮮との関係は、新たな局面に入っていると理解すべきなのであろう。交渉再開への門戸を開き、外交努力を継続する一方、国連の場で経済制裁の強化、拡大し、それに向けての国際世論の醸成と支持国の一層の拡大努力が必要となっているのではないだろうか。また韓国には戦域高度防衛ミサイル(THAAD)が配備されているが(2017年)、圧倒的な防衛網の整備が急務と言えよう。

 

 

 2、北朝鮮労働党にとって「特別に重要な年」に誇示したい軍事力

 北朝鮮は、2022年には、2月16日に故金正日(キム・ジョンイル)総書記の生誕80年、そして4月15日に故金日成(キム・イルソン)主席の生誕110年を迎え、「革命的大慶事の年」として輝かせるとしている。

 この「大慶事」に際し、今日の北朝鮮の基礎を築いた祖先の意志を継ぎ、国力を増進させたことを内外に誇示するため、長・中距離弾道ミサイルや短距離戦術兵器を含む軍事パレードを行うと見られる。1月の一連のミサイル発射実験・訓練はその前哨戦と言えそうだ。

 3、慣例となっている米韓合同軍事訓練への北の恒例の激しい反発

 米韓合同軍事訓練は、毎年春と夏に行われるのが慣例になっており、米国が未だに指揮権を持っているので軍事的には必要であろう。2019年6月30日にトランプ米大統領(当時)が板門店を訪問し、軍事境界線を挟んで北朝鮮の金正恩委員長と握手し、挨拶を交わし、北朝鮮の非核化を巡る米・朝交渉への期待感が高まって以降は、平和ムード造りのため米韓合同軍事訓練は中止或いは抑制された形で実施され、また北朝鮮は核爆発実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験が中断するなど、相互に行動を抑制していた。

 米韓合同軍事訓練は2021年には3月と8月に実施されているが、2022年3月に実施することで米韓安保協議(SCM)において合意されており、‘演習日程に変更はない’とされている。

 北朝鮮は従来より、米韓合同軍事訓練が実施される毎に激しい批判を繰り返しており、国内的にも、TVや労働党機関紙その他で米国、及び韓国による北朝鮮侵略の準備であり、北朝鮮はそのような攻撃があれば南を焦土とするなどとして、過剰とも思える激しい反応をして来ている。

 北朝鮮にとっては、隣接する韓国で米韓合同軍事訓練が行われることは、米韓両国の敵対的姿勢として国民に訴え、戦争ムードを演出し、国内引き締めのために格好の材料になっている。恐らく今回も同様の反応をするものと予想される。

 北朝鮮のミサイル等の発射実験や訓練は、米韓合同軍事訓練への対抗として実施するという口実を北朝鮮側に与えているとも言える。米韓軍事訓練については、米国が未だに指揮権を有しているので必要であろうが、頻度や期間を縮小することや、机上訓練や訓練場所を北朝鮮から可能な限り遠い場所で行うなど、刺激しない形で実施することも現実的な選択肢となろう。(2022.2.11.)

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Ukraine and Russia should agree on a neutrality of Ukraine with immediate truce !

2022-03-30 | Weblog

Ukraine and Russia should agree on a neutrality of Ukraine with immediate truce !

 While admiring the courage of Ukrainian people to stand against Russian troops, it seems to be imperative for Ukraine and Russia together with France, Germany, and the United States to start negotiating over a neutrality of Ukraine at the top level to avoid further death tolls and damages in Ukraine and avert a total war in Europe.

Neutrality of Ukraine is a commendable solution to avert a total war in Europe

 Russian President V. Putin demands a “Neutrality of Ukraine”, furiously opposing Ukraine’s request for a NATO membership. President Putin does not ask for a pro-Russian Ukraine. In the light of the Ukraine historical and geopolitical position as a former core country of the Soviet Union and a neighboring country of Russia, a neutrality of Ukraine, which will not join the NATO group nor the Russian camp, could be a practical alternative for the Ukrainian people as well as European countries and Russia.

 Under the circumstances, most countries in the World cannot tolerate the Russian military invasion in Ukraine and its occupation if so happened. On the other hand, if Ukraine would become a member of NATO, Russia could not tolerate either. In either case, severe feud and hatred will persist for a long time between Ukraine and Russia, and between NATO Europe and Russia. Ukrainian people will be always uneasy and feared with a sudden attack.

 Although the security of Ukraine must be guaranteed jointly by Russia and NATO in an agreed way, it seems that President Putin’s demand for neutral Ukraine is realistically calculated to balance the security requirement of each party, namely, Russia, Ukraine, and NATO.

Initiatives of U.S., France, and Germany are welcome for a top-level meeting with Russia and Ukraine with an immediate cease-fire.

 It is President V. Putin who strongly opposed to Ukrainian President’s intention to become a NATO member and ordered to invade in Ukraine asking for its neutrality on top of his demands. Therefore, it is President Putin who could stop fighting and order to withdraw Russian troops from Ukraine.

  And it is Ukrainian President V. Zelenskyy who could avoid further deaths of his fellow Ukrainians and decide the fate of his country as a neutral country withdrawing a NATO membership bit.

 Russia is blamed for its military attacks in Ukraine, and President Putin as well as Russia itself faces severe economic and financial sanctions together with personal punishment. At the same time, Ukrainian President Zelenskyy may be blamed for his inability to materialize the Minsk Protocol of 5th September, 2014, in particular, the “local self-government” issue of two eastern districts, namely, Donetsk and Luhansk and the observation of no armed campain against the two districts, by the time of its expiry date which was 21st February, 2022. Russia started its military operations on 24th February, 2022, about one month after the expiry of the Protocol. President Zelenskyy must have known the expiry of the Protocol, after which there would be a recurrence of armed conflicts so that he would risk lives of Ukrainian nationals. At the moment, he has no clear prospect for winning, but waiting for a total attack in Kiev by Russian troops.

 It is Imperative to avoid further death toll in Ukraine, while averting a war in Europe.

 To facilitate a meeting between President Zelenskyy and President Putin, it would be necessary for three leaders of U.S., France and Germany to ask both Presidents to meet with a view to realizing a truce immediately to be followed by a withdrawal of the Russian troops from Ukraine, and also working out a neutrality of Ukraine. Nobody else could this but the tree leaders above who are able to talk with both President Zelenskyy and President Putin. Time is really pressing. Prompt initiatives are needed before it’s too late. (2022.3.12.) (All Rights reserved.)

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Immediate Truce and a Peace Settlement in Ukraine !

2022-03-30 | Weblog

   Immediate Truce and a Peace Settlement in Ukraine !

  The Russian military invasion in Ukraine started on February 24, 2020, are not tolerated by any means, as 141member countries of the United Nations strongly condemned in the General Assembly resolution on March 2, 2022. Russia deserves such a strong condemnation.

  Immediate truce should be made and Russian troops should be withdrawn from Ukraine.

 There is no justification for the Russian invasion in Ukraine. At the same time, we should give ears to the persistent anxiety of Russian President V. Putin over the constant east- bound expansion of NATO after the collapse of the Soviet Union and the Warsaw Pact Organization.  Against the background of this move, President Putin has been expressing strong objection to the possible participation of neighboring Ukraine in NATO because of the obvious security reason. Now in Romania, there are U.S. bases and Thaad medium range interceptor missiles. It is known that Ukrainian President Volodymyr Zelenskyy has intention to join NATO as well as EU.

 1、NATO’s stance on possible acceptance of Ukraine is at stake

 NATO should express not to accept Ukraine as its member on the condition that all the Russian troops would be withdrawn from Ukraine immediately and preserve truce and urge Russia to settle the issue through negotiations to avoid further devastation and death in Ukraine.

  It is clear that President Putin feels threaten if Ukraine, a neighbor to Russia, becomes a member of NATO. Like or not, we should recognize that it is any country’s right, including Russia, to take appropriate security measures, as long as the World is willing to co-exist with Russia and others.

  The United States is invited to take initiatives in announcing NATO’s intention not to accept Ukraine as its member, and ask Russia to sit down at a negotiating table. Negotiations would not be realized if both parties stick to its own demands.

 


 2、Both Russia and Ukraine sit at negotiating table with immediate truce

  If Ukrainian President Zelenskyy wants to avoid further death of its own people including civilians and children, he should reconsider his position regarding the membership of NATO, and should have courage to discuss with Russian President Putin, possibly with the presence of some facilitator such as U.N. Secretary General. Although it may affect his position, or pride as President of Ukraine, it would be much more important to save people’s lives and bring about their peaceful life.

  Russia is blamed for its military attacks in Ukraine, and President Putin as well as Russia itself faces severe economic and financial sanctions together with personal punishment such as the dismissal from Honorary President of International Judo Federation. At the same time, Ukrainian President Zelenskyy may be blamed for his inability to materialize the Minsk Protocol of 5th September, 2014, in particular, the “local self-government” issue of two eastern districts, namely, Donetsk and Luhansk a by the time of its expiry date which was 21st February, 2022. Russia started its military operations on 24 February, 2022, about one month after the expiry of the Protocol. President Zelenskyy must have known the expiry of the Protocol, after which there would be a recurrence of armed conflicts so that he would risk lives of Ukrainian nationals.

 


 3、A need for a new security arrangements in Europe

  It is much appreciated that the United States and NATO as a whole together with EU decided not to send troops to Ukraine to avoid a war in Europe. It is a founding objective of EU to avoid a war in Europe.

  While I admire their wisdom, it may be relevant to review whether further expansion of NATO, which is composed of 30 countries now including most of ex-Warsaw Pact countries. The Warsaw Pact Organization was dissolved after the collapse of the Soviet Union and democratization of most of East European countries. While the East- West Cold War was over, NATO not only continues to exist but also expand from 16 member countries to 30 countries encompassing most of the ex-Warsaw Pact countries. That is causing a security problem on the part of Russia, especially in the mind of President Putin.

 For the sake of peace and stability in Europe and in the World, it may warrant consideration whether further expansion of NATO is necessary and whether there is a need for a new security arrangement in the post-Cold War era in Europe, which may meet a security requirement of Russia as well. (2022.3.6.) (All Rights Reserved.)

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