内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

このブログは、広い視野から内外諸問題を分析し、提言を試みます。
Policy Essayist

北朝鮮は米韓共同軍事演習への対抗措置を画策か!? (その2)

2014-04-14 | Weblog

北朝鮮は米韓共同軍事演習への対抗措置を画策か!?         (その2)

 北朝鮮は、昨年12月、金正恩体制への反逆行為として張成沢国防副委員長を処刑するなど、その関係者、親族を粛清し、その後の動向が注目されていた。その中で1月16日、北朝鮮国防委員会は、南北朝鮮間に良好な環境を作り出すためとして、旧正月が始まる1月30日以前に相互に批判し挑発し合うことを止め、軍事的な行為を中止するよう提案すると共に、米韓両国の共同軍事演習の中止を訴えた。

 更に1月24日、北朝鮮国防委は、国防委委員長でもある金正恩第一書記の特別な指示として、祖国統一の新たな段階を開くため上記の提案に言及しつつ韓国当局ほか関係方面に宛てた公開書簡を公表した。

 韓国政府はこれを誠意あるものではないとして拒否したが、北朝鮮は池在中国大使が記者会見を行い、この提案は真摯なものであり支持するよう訴えた。中国当局からもプレッシャーが掛けられていることが伺える。

 その後北朝鮮は、韓国との南北離散家族再開事業を実施(2月20日から6日間)した他、日朝間においても、日朝赤十字会談(3月19日)や日朝政府間協議(3月30日、31日)を行うなど、融和姿勢を示す一方、短、中距離のミサイルの日本海向け発射などの示威行為を行い、硬軟両用の姿勢を示しており、その真意が注目されている。

 1、米韓合同軍事演習への反発をあらわにする北朝鮮の狙い           (その1で掲載)

 2、北朝鮮の融和姿勢は本当か 

 このような中にあって北朝鮮は、2月20日から6日間、南北離散家族再開事業を3年ぶりに実施した。また日朝間においても、3月19日、瀋陽において日本人遺骨収集等に関する日朝赤十字会談を行い、また2012年11月以降中断していた日朝政府間協議を3月30日、31日に北京で行うと共に、横田めぐみさんの両親と孫に当たるヘギョンさんとの面会をモンゴルで実現するなど、融和姿勢を示している。

 これらの動きから、北朝鮮は、国内での食糧不足や経済困難、中国との関係の後退などから、韓国や日本との関係改善を狙っていると言われている。特に日本については、日朝交渉を通じる拉致被害者問題の進展や制裁措置の部分的な緩和による交流の促進などが期待されていると言われている。

 しかし日朝政府間協議は、‘真摯で率直な協議’が行われ、協議の継続で合意したものの、再開時期にも合意していない。政府間関係で‘真摯で率直な協議’との表現は、それぞれの立場、問題点を言い合うことを意味しており、それぞれの思惑で進展を期待しつつも、基本的に一致点がなかったことを意味している。政府間協議後の4月1日、北朝鮮側の代表宋氏は記者の質問に対し、朝鮮総連本部の入札による売却決定を許可したことに対し、‘この問題の解決なくして、日本との関係進展は必要ない’とのコメントを日本語で行っている。北朝鮮側の当面の関心が朝鮮総連本部の建物にあったことが明らかだ。既に落札され承認されているので、売却自体は実施されることになろうが、賃貸への便宜や代替地の提供などを求めて来る可能性がある。朝総連は、かねてより北朝鮮の日本での大使館或いは代表部としての機能を果たしていたとされているが、日朝両国には正式な外交関係はないので、朝総連のこのような機能、活動は認められるべきではない。朝総連のあり方等は、平和条約交渉の過程で協議されるべきであろう。

 このまま政府間協議が開催されなければ、2012年11月の振り出しに戻っただけと言える。

 一方、国連人権理事会が設置した北朝鮮人権調査委員会は、2月に報告書を公表し、北朝鮮の拉致を含む人権侵害行為に対し「人道に対する罪」として非難すると共に、安全保障理事会に対し、国際的な刑事司法の枠組みで北朝鮮指導者の責任追及を検討するよう促した。そして人権理事会は3月28日、北朝鮮の人権侵害を非難する決議を採択した。このように北朝鮮の人権侵害、人道違反に関しては、2013年12月の粛清を含め国際世論の批判が強まっていることから、国際世論を和らげるための融和姿勢が必要だったとも言える。また北朝鮮は、国連専門機関から毎年のように受けている食料などの人道支援を確保するためにも融和姿勢を示す必要がある。もっとも、一方で経済制裁を行いながら、北朝鮮への食料などの人道支援を実施することには、矛盾があり、実施するにしても、実際に貧困層の人々の口に届くような確実且つモニターシステムを確立することが不可欠と言えよう。

 3、北朝鮮の真の狙いは核、ミサイル開発の促進?!                (その3に掲載)

 (2014.04.5.)(All Rights Reserved.)

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北朝鮮は米韓共同軍事演習への対抗措置を画策か!? (その2)

2014-04-14 | Weblog

北朝鮮は米韓共同軍事演習への対抗措置を画策か!?         (その2)

 北朝鮮は、昨年12月、金正恩体制への反逆行為として張成沢国防副委員長を処刑するなど、その関係者、親族を粛清し、その後の動向が注目されていた。その中で1月16日、北朝鮮国防委員会は、南北朝鮮間に良好な環境を作り出すためとして、旧正月が始まる1月30日以前に相互に批判し挑発し合うことを止め、軍事的な行為を中止するよう提案すると共に、米韓両国の共同軍事演習の中止を訴えた。

 更に1月24日、北朝鮮国防委は、国防委委員長でもある金正恩第一書記の特別な指示として、祖国統一の新たな段階を開くため上記の提案に言及しつつ韓国当局ほか関係方面に宛てた公開書簡を公表した。

 韓国政府はこれを誠意あるものではないとして拒否したが、北朝鮮は池在中国大使が記者会見を行い、この提案は真摯なものであり支持するよう訴えた。中国当局からもプレッシャーが掛けられていることが伺える。

 その後北朝鮮は、韓国との南北離散家族再開事業を実施(2月20日から6日間)した他、日朝間においても、日朝赤十字会談(3月19日)や日朝政府間協議(3月30日、31日)を行うなど、融和姿勢を示す一方、短、中距離のミサイルの日本海向け発射などの示威行為を行い、硬軟両用の姿勢を示しており、その真意が注目されている。

 1、米韓合同軍事演習への反発をあらわにする北朝鮮の狙い           (その1で掲載)

 2、北朝鮮の融和姿勢は本当か 

 このような中にあって北朝鮮は、2月20日から6日間、南北離散家族再開事業を3年ぶりに実施した。また日朝間においても、3月19日、瀋陽において日本人遺骨収集等に関する日朝赤十字会談を行い、また2012年11月以降中断していた日朝政府間協議を3月30日、31日に北京で行うと共に、横田めぐみさんの両親と孫に当たるヘギョンさんとの面会をモンゴルで実現するなど、融和姿勢を示している。

 これらの動きから、北朝鮮は、国内での食糧不足や経済困難、中国との関係の後退などから、韓国や日本との関係改善を狙っていると言われている。特に日本については、日朝交渉を通じる拉致被害者問題の進展や制裁措置の部分的な緩和による交流の促進などが期待されていると言われている。

 しかし日朝政府間協議は、‘真摯で率直な協議’が行われ、協議の継続で合意したものの、再開時期にも合意していない。政府間関係で‘真摯で率直な協議’との表現は、それぞれの立場、問題点を言い合うことを意味しており、それぞれの思惑で進展を期待しつつも、基本的に一致点がなかったことを意味している。政府間協議後の4月1日、北朝鮮側の代表宋氏は記者の質問に対し、朝鮮総連本部の入札による売却決定を許可したことに対し、‘この問題の解決なくして、日本との関係進展は必要ない’とのコメントを日本語で行っている。北朝鮮側の当面の関心が朝鮮総連本部の建物にあったことが明らかだ。既に落札され承認されているので、売却自体は実施されることになろうが、賃貸への便宜や代替地の提供などを求めて来る可能性がある。朝総連は、かねてより北朝鮮の日本での大使館或いは代表部としての機能を果たしていたとされているが、日朝両国には正式な外交関係はないので、朝総連のこのような機能、活動は認められるべきではない。朝総連のあり方等は、平和条約交渉の過程で協議されるべきであろう。

 このまま政府間協議が開催されなければ、2012年11月の振り出しに戻っただけと言える。

 一方、国連人権理事会が設置した北朝鮮人権調査委員会は、2月に報告書を公表し、北朝鮮の拉致を含む人権侵害行為に対し「人道に対する罪」として非難すると共に、安全保障理事会に対し、国際的な刑事司法の枠組みで北朝鮮指導者の責任追及を検討するよう促した。そして人権理事会は3月28日、北朝鮮の人権侵害を非難する決議を採択した。このように北朝鮮の人権侵害、人道違反に関しては、2013年12月の粛清を含め国際世論の批判が強まっていることから、国際世論を和らげるための融和姿勢が必要だったとも言える。また北朝鮮は、国連専門機関から毎年のように受けている食料などの人道支援を確保するためにも融和姿勢を示す必要がある。もっとも、一方で経済制裁を行いながら、北朝鮮への食料などの人道支援を実施することには、矛盾があり、実施するにしても、実際に貧困層の人々の口に届くような確実且つモニターシステムを確立することが不可欠と言えよう。

 3、北朝鮮の真の狙いは核、ミサイル開発の促進?!                (その3に掲載)

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北朝鮮は米韓共同軍事演習への対抗措置を画策か!? (その2)

2014-04-14 | Weblog

北朝鮮は米韓共同軍事演習への対抗措置を画策か!?         (その2)

 北朝鮮は、昨年12月、金正恩体制への反逆行為として張成沢国防副委員長を処刑するなど、その関係者、親族を粛清し、その後の動向が注目されていた。その中で1月16日、北朝鮮国防委員会は、南北朝鮮間に良好な環境を作り出すためとして、旧正月が始まる1月30日以前に相互に批判し挑発し合うことを止め、軍事的な行為を中止するよう提案すると共に、米韓両国の共同軍事演習の中止を訴えた。

 更に1月24日、北朝鮮国防委は、国防委委員長でもある金正恩第一書記の特別な指示として、祖国統一の新たな段階を開くため上記の提案に言及しつつ韓国当局ほか関係方面に宛てた公開書簡を公表した。

 韓国政府はこれを誠意あるものではないとして拒否したが、北朝鮮は池在中国大使が記者会見を行い、この提案は真摯なものであり支持するよう訴えた。中国当局からもプレッシャーが掛けられていることが伺える。

 その後北朝鮮は、韓国との南北離散家族再開事業を実施(2月20日から6日間)した他、日朝間においても、日朝赤十字会談(3月19日)や日朝政府間協議(3月30日、31日)を行うなど、融和姿勢を示す一方、短、中距離のミサイルの日本海向け発射などの示威行為を行い、硬軟両用の姿勢を示しており、その真意が注目されている。

 1、米韓合同軍事演習への反発をあらわにする北朝鮮の狙い           (その1で掲載)

 2、北朝鮮の融和姿勢は本当か 

 このような中にあって北朝鮮は、2月20日から6日間、南北離散家族再開事業を3年ぶりに実施した。また日朝間においても、3月19日、瀋陽において日本人遺骨収集等に関する日朝赤十字会談を行い、また2012年11月以降中断していた日朝政府間協議を3月30日、31日に北京で行うと共に、横田めぐみさんの両親と孫に当たるヘギョンさんとの面会をモンゴルで実現するなど、融和姿勢を示している。

 これらの動きから、北朝鮮は、国内での食糧不足や経済困難、中国との関係の後退などから、韓国や日本との関係改善を狙っていると言われている。特に日本については、日朝交渉を通じる拉致被害者問題の進展や制裁措置の部分的な緩和による交流の促進などが期待されていると言われている。

 しかし日朝政府間協議は、‘真摯で率直な協議’が行われ、協議の継続で合意したものの、再開時期にも合意していない。政府間関係で‘真摯で率直な協議’との表現は、それぞれの立場、問題点を言い合うことを意味しており、それぞれの思惑で進展を期待しつつも、基本的に一致点がなかったことを意味している。政府間協議後の4月1日、北朝鮮側の代表宋氏は記者の質問に対し、朝鮮総連本部の入札による売却決定を許可したことに対し、‘この問題の解決なくして、日本との関係進展は必要ない’とのコメントを日本語で行っている。北朝鮮側の当面の関心が朝鮮総連本部の建物にあったことが明らかだ。既に落札され承認されているので、売却自体は実施されることになろうが、賃貸への便宜や代替地の提供などを求めて来る可能性がある。朝総連は、かねてより北朝鮮の日本での大使館或いは代表部としての機能を果たしていたとされているが、日朝両国には正式な外交関係はないので、朝総連のこのような機能、活動は認められるべきではない。朝総連のあり方等は、平和条約交渉の過程で協議されるべきであろう。

 このまま政府間協議が開催されなければ、2012年11月の振り出しに戻っただけと言える。

 一方、国連人権理事会が設置した北朝鮮人権調査委員会は、2月に報告書を公表し、北朝鮮の拉致を含む人権侵害行為に対し「人道に対する罪」として非難すると共に、安全保障理事会に対し、国際的な刑事司法の枠組みで北朝鮮指導者の責任追及を検討するよう促した。そして人権理事会は3月28日、北朝鮮の人権侵害を非難する決議を採択した。このように北朝鮮の人権侵害、人道違反に関しては、2013年12月の粛清を含め国際世論の批判が強まっていることから、国際世論を和らげるための融和姿勢が必要だったとも言える。また北朝鮮は、国連専門機関から毎年のように受けている食料などの人道支援を確保するためにも融和姿勢を示す必要がある。もっとも、一方で経済制裁を行いながら、北朝鮮への食料などの人道支援を実施することには、矛盾があり、実施するにしても、実際に貧困層の人々の口に届くような確実且つモニターシステムを確立することが不可欠と言えよう。

 3、北朝鮮の真の狙いは核、ミサイル開発の促進?!                (その3に掲載)

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北朝鮮は米韓共同軍事演習への対抗措置を画策か!? (その2)

2014-04-14 | Weblog

北朝鮮は米韓共同軍事演習への対抗措置を画策か!?         (その2)

 北朝鮮は、昨年12月、金正恩体制への反逆行為として張成沢国防副委員長を処刑するなど、その関係者、親族を粛清し、その後の動向が注目されていた。その中で1月16日、北朝鮮国防委員会は、南北朝鮮間に良好な環境を作り出すためとして、旧正月が始まる1月30日以前に相互に批判し挑発し合うことを止め、軍事的な行為を中止するよう提案すると共に、米韓両国の共同軍事演習の中止を訴えた。

 更に1月24日、北朝鮮国防委は、国防委委員長でもある金正恩第一書記の特別な指示として、祖国統一の新たな段階を開くため上記の提案に言及しつつ韓国当局ほか関係方面に宛てた公開書簡を公表した。

 韓国政府はこれを誠意あるものではないとして拒否したが、北朝鮮は池在中国大使が記者会見を行い、この提案は真摯なものであり支持するよう訴えた。中国当局からもプレッシャーが掛けられていることが伺える。

 その後北朝鮮は、韓国との南北離散家族再開事業を実施(2月20日から6日間)した他、日朝間においても、日朝赤十字会談(3月19日)や日朝政府間協議(3月30日、31日)を行うなど、融和姿勢を示す一方、短、中距離のミサイルの日本海向け発射などの示威行為を行い、硬軟両用の姿勢を示しており、その真意が注目されている。

 1、米韓合同軍事演習への反発をあらわにする北朝鮮の狙い           (その1で掲載)

 2、北朝鮮の融和姿勢は本当か 

 このような中にあって北朝鮮は、2月20日から6日間、南北離散家族再開事業を3年ぶりに実施した。また日朝間においても、3月19日、瀋陽において日本人遺骨収集等に関する日朝赤十字会談を行い、また2012年11月以降中断していた日朝政府間協議を3月30日、31日に北京で行うと共に、横田めぐみさんの両親と孫に当たるヘギョンさんとの面会をモンゴルで実現するなど、融和姿勢を示している。

 これらの動きから、北朝鮮は、国内での食糧不足や経済困難、中国との関係の後退などから、韓国や日本との関係改善を狙っていると言われている。特に日本については、日朝交渉を通じる拉致被害者問題の進展や制裁措置の部分的な緩和による交流の促進などが期待されていると言われている。

 しかし日朝政府間協議は、‘真摯で率直な協議’が行われ、協議の継続で合意したものの、再開時期にも合意していない。政府間関係で‘真摯で率直な協議’との表現は、それぞれの立場、問題点を言い合うことを意味しており、それぞれの思惑で進展を期待しつつも、基本的に一致点がなかったことを意味している。政府間協議後の4月1日、北朝鮮側の代表宋氏は記者の質問に対し、朝鮮総連本部の入札による売却決定を許可したことに対し、‘この問題の解決なくして、日本との関係進展は必要ない’とのコメントを日本語で行っている。北朝鮮側の当面の関心が朝鮮総連本部の建物にあったことが明らかだ。既に落札され承認されているので、売却自体は実施されることになろうが、賃貸への便宜や代替地の提供などを求めて来る可能性がある。朝総連は、かねてより北朝鮮の日本での大使館或いは代表部としての機能を果たしていたとされているが、日朝両国には正式な外交関係はないので、朝総連のこのような機能、活動は認められるべきではない。朝総連のあり方等は、平和条約交渉の過程で協議されるべきであろう。

 このまま政府間協議が開催されなければ、2012年11月の振り出しに戻っただけと言える。

 一方、国連人権理事会が設置した北朝鮮人権調査委員会は、2月に報告書を公表し、北朝鮮の拉致を含む人権侵害行為に対し「人道に対する罪」として非難すると共に、安全保障理事会に対し、国際的な刑事司法の枠組みで北朝鮮指導者の責任追及を検討するよう促した。そして人権理事会は3月28日、北朝鮮の人権侵害を非難する決議を採択した。このように北朝鮮の人権侵害、人道違反に関しては、2013年12月の粛清を含め国際世論の批判が強まっていることから、国際世論を和らげるための融和姿勢が必要だったとも言える。また北朝鮮は、国連専門機関から毎年のように受けている食料などの人道支援を確保するためにも融和姿勢を示す必要がある。もっとも、一方で経済制裁を行いながら、北朝鮮への食料などの人道支援を実施することには、矛盾があり、実施するにしても、実際に貧困層の人々の口に届くような確実且つモニターシステムを確立することが不可欠と言えよう。

 3、北朝鮮の真の狙いは核、ミサイル開発の促進?!                (その3に掲載)

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北朝鮮は米韓共同軍事演習への対抗措置を画策か!? (その1)

2014-04-14 | Weblog

北朝鮮は米韓共同軍事演習への対抗措置を画策か!?         (その1)

 北朝鮮は、昨年12月、金正恩体制への反逆行為として張成沢国防副委員長を処刑するなど、その関係者、親族を粛清し、その後の動向が注目されていた。その中で1月16日、北朝鮮国防委員会は、南北朝鮮間に良好な環境を作り出すためとして、旧正月が始まる1月30日以前に相互に批判し挑発し合うことを止め、軍事的な行為を中止するよう提案すると共に、米韓両国の共同軍事演習の中止を訴えた。

 更に1月24日、北朝鮮国防委は、国防委委員長でもある金正恩第一書記の特別な指示として、祖国統一の新たな段階を開くため上記の提案に言及しつつ韓国当局ほか関係方面に宛てた公開書簡を公表した。

 韓国政府はこれを誠意あるものではないとして拒否したが、北朝鮮は池在中国大使が記者会見を行い、この提案は真摯なものであり支持するよう訴えた。中国当局からもプレッシャーが掛けられていることが伺える。

 その後北朝鮮は、韓国との南北離散家族再開事業を実施(2月20日から6日間)した他、日朝間においても、日朝赤十字会談(3月19日)や日朝政府間協議(3月30日、31日)を行うなど、融和姿勢を示す一方、短、中距離のミサイルの日本海向け発射などの示威行為を行い、硬軟両用の姿勢を示しており、その真意が注目されている。

 1、米韓合同軍事演習への反発をあらわにする北朝鮮の狙い

 このような北朝鮮側の米韓共同軍事演習の中止提案に対し、北朝鮮側が張成沢国防副委員長他の血の粛清後国際的に孤立化していることを受けての融和策、或いは経済的困難を回避するための和解姿勢など、ステレオタイプのコメントが多く聞かれた。

 無論そのような狙いがあることは否定するものではない。しかし上記の2度に渡る提案を読み進めると、具体的には次の2点を要求している。

 (1)   南北間に良好な環境を作り出すため、当面、米韓合同軍事演習(フオール・イーグル、及びキー・リゾルブ)を中止すること。

 (2)   北朝鮮としては‘朝鮮半島の非核化’を共通の目標と考えるが、朝鮮半島に‘第3国の核’を持ち込まないこと。北朝鮮の核は米国の核の抑止のためであり、自衛のためにほかならない。

 この要求から分かるように、北朝鮮の当面の狙いは2月下旬から実施されている米韓合同軍事演習の中止である。提案が北朝鮮の軍事委員会の名でなされていることも、軍事的な思惑からであることを物語っている。そもそももし北朝鮮側が、真に韓国側との融和を希望するのであれば、公式ルートを通じ静かに接触し、韓国側が対話に応じた時点で公表するであろう。

 米韓合同軍事演習は、長年に亘り実施されているもので、韓国内及びその周辺で行われる大規模な演習であるが、北朝鮮側はその都度最大級の批判を繰り返して来ている。国内的にも、TVや労働党機関紙その他で米国、及び韓国による北朝鮮侵略の準備であり、北朝鮮はそのような攻撃があれば南を焦土とするなどとして、過剰とも思える反応を行っている。2013年においても同様だ。

 2、北朝鮮の融和姿勢は本当か                       (その2に掲載)

 3、北朝鮮の真の狙いは核、ミサイル開発の促進?!         (その3に掲載)

 (2014.04.5.)(All Rights Reserved.)

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地球温暖化ー融ける氷海、氷河と荒れる気候変動は止められるか (その3)

2014-04-14 | Weblog

地球温暖化ー融ける氷海、氷河と荒れる気候変動は止められるか        (その3)

 国連の「気象変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第2作業部会は、横浜で地球温暖化の影響を検討し、3月31日、報告書を取りまとめた。その中で「全ての大陸と海洋で、温暖化の重要な影響が観測されている」との認識の下で、“北極海の海氷や世界各地域における珊瑚礁は後戻り困難な影響を既に受けている”などとして生態系や人間社会への影響を指摘している。そして温暖化が進むリスクとして、世界的な気温の上昇、干ばつなどによる食糧生産の減少、大都市部での洪水、異常気象によるインフラ機能の停止などを盛り込んでいる。当コラムも、北極海の海氷の融解と縮小ブログでもこのような状況を2008年頃から指摘して来ているが、それが国際的に理解され始めたと言えよう。

 日本の地球温暖化への取り組みについては、環境省は、日本の温室効果ガスの削減目標を2020年度までに2005年度比で3.8%減とする方針である。温室効果ガスの削減目標については、民主党政権が2020年度までに“1990年度比で25%削減”との目標を提示し、国連総会でも表明している。環境省の上記の目標は、基準年を2005年としているが、1990年度比で換算すると逆に約3%増となるとされており、後退感が否めない。政府当局は、‘原子力発電が再稼働されれば高い目標に修正する’としている趣であるが、果たして原子力発電頼みで良いのであろうか。

 1、意見が分かれる地球温暖化の原因                         (その1 で掲載)

 2、荒れる世界の気候                        (その1 で掲載)

  3、国際的な保護を必要とする北極圏と南極大陸             (その2で掲載) 

   4、必要とされる政府レベルの対応と生活スタイルの転換 

 それ以上に、地球温暖化の進行や気候変動の激化を食い止め、地球環境を保護、改善する必要性に今一度目を向けることが緊要ではないだろうか。それはこの地球自体を人類共通の遺産として保全することを意味する。

 地球環境は、政府に委ねておけば良いというものではなく、家庭や産業自体が工夫、努力しなくては改善できない。比喩的に言うと、家庭で使用する電球を10個から7個にすれば日常生活にそれほど不自由することなく節電できる。企業やオフィスビルなどについても同様で、節電を図ればコスト削減にもなり、企業利益にもプラスとなる。レジ袋や必要以上の過剰な食物などを少なくして行けば生産に要するエネルギーの節約となる。また日本が環境技術先進国と言うのであれば、自然エネルギーの組織的な開発、活用や節エネ技術の更なる開発などで温室効果ガスの削減にそれぞれの立場から努力、貢献することが出来るのではないだろうか。またそのような努力から、地球環境にもプラスとなる生活スタイルやビジネスチャンスが生まれることが期待される。

 しかし、政府や産業レベルでの対応は不可欠であろう。経済成長についても、温室効果ガスの減少を目標とし、再生可能エネルギーに重点を当てた成長モデルを構築する事が望まれる。原子力発電については、段階的に廃止することを明確にすると共に、再稼働に関しては、施設の安全性を確保する一方、各種の膨大な原子力廃棄物の最終的な処理方法を確立することがまず必要であろう。

 また途上国援助においても、従来型の重厚長大なインフラ開発・整備ではなく、再生可能エネルギーを使用するなど、温室効果ガスの排出が少ない経済社会の構築を目標とする開発モデルや政府開発援助(ODA)モデルとして行くことが望まれる。

 (2014.3.31.)(All Rights Reserved.)

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地球温暖化ー融ける氷海、氷河と荒れる気候変動は止められるか (その3)

2014-04-14 | Weblog

地球温暖化ー融ける氷海、氷河と荒れる気候変動は止められるか        (その3)

 国連の「気象変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第2作業部会は、横浜で地球温暖化の影響を検討し、3月31日、報告書を取りまとめた。その中で「全ての大陸と海洋で、温暖化の重要な影響が観測されている」との認識の下で、“北極海の海氷や世界各地域における珊瑚礁は後戻り困難な影響を既に受けている”などとして生態系や人間社会への影響を指摘している。そして温暖化が進むリスクとして、世界的な気温の上昇、干ばつなどによる食糧生産の減少、大都市部での洪水、異常気象によるインフラ機能の停止などを盛り込んでいる。当コラムも、北極海の海氷の融解と縮小ブログでもこのような状況を2008年頃から指摘して来ているが、それが国際的に理解され始めたと言えよう。

 日本の地球温暖化への取り組みについては、環境省は、日本の温室効果ガスの削減目標を2020年度までに2005年度比で3.8%減とする方針である。温室効果ガスの削減目標については、民主党政権が2020年度までに“1990年度比で25%削減”との目標を提示し、国連総会でも表明している。環境省の上記の目標は、基準年を2005年としているが、1990年度比で換算すると逆に約3%増となるとされており、後退感が否めない。政府当局は、‘原子力発電が再稼働されれば高い目標に修正する’としている趣であるが、果たして原子力発電頼みで良いのであろうか。

 1、意見が分かれる地球温暖化の原因                         (その1 で掲載)

 2、荒れる世界の気候                        (その1 で掲載)

  3、国際的な保護を必要とする北極圏と南極大陸             (その2で掲載) 

   4、必要とされる政府レベルの対応と生活スタイルの転換 

 それ以上に、地球温暖化の進行や気候変動の激化を食い止め、地球環境を保護、改善する必要性に今一度目を向けることが緊要ではないだろうか。それはこの地球自体を人類共通の遺産として保全することを意味する。

 地球環境は、政府に委ねておけば良いというものではなく、家庭や産業自体が工夫、努力しなくては改善できない。比喩的に言うと、家庭で使用する電球を10個から7個にすれば日常生活にそれほど不自由することなく節電できる。企業やオフィスビルなどについても同様で、節電を図ればコスト削減にもなり、企業利益にもプラスとなる。レジ袋や必要以上の過剰な食物などを少なくして行けば生産に要するエネルギーの節約となる。また日本が環境技術先進国と言うのであれば、自然エネルギーの組織的な開発、活用や節エネ技術の更なる開発などで温室効果ガスの削減にそれぞれの立場から努力、貢献することが出来るのではないだろうか。またそのような努力から、地球環境にもプラスとなる生活スタイルやビジネスチャンスが生まれることが期待される。

 しかし、政府や産業レベルでの対応は不可欠であろう。経済成長についても、温室効果ガスの減少を目標とし、再生可能エネルギーに重点を当てた成長モデルを構築する事が望まれる。原子力発電については、段階的に廃止することを明確にすると共に、再稼働に関しては、施設の安全性を確保する一方、各種の膨大な原子力廃棄物の最終的な処理方法を確立することがまず必要であろう。

 また途上国援助においても、従来型の重厚長大なインフラ開発・整備ではなく、再生可能エネルギーを使用するなど、温室効果ガスの排出が少ない経済社会の構築を目標とする開発モデルや政府開発援助(ODA)モデルとして行くことが望まれる。

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地球温暖化ー融ける氷海、氷河と荒れる気候変動は止められるか (その2)

2014-04-14 | Weblog

地球温暖化ー融ける氷海、氷河と荒れる気候変動は止められるか        (その2)

 国連の「気象変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第2作業部会は、横浜で地球温暖化の影響を検討し、3月31日、報告書を取りまとめた。その中で「全ての大陸と海洋で、温暖化の重要な影響が観測されている」との認識の下で、“北極海の海氷や世界各地域における珊瑚礁は後戻り困難な影響を既に受けている”などとして生態系や人間社会への影響を指摘している。そして温暖化が進むリスクとして、世界的な気温の上昇、干ばつなどによる食糧生産の減少、大都市部での洪水、異常気象によるインフラ機能の停止などを盛り込んでいる。当コラムも、北極海の海氷の融解と縮小ブログでもこのような状況を2008年頃から指摘して来ているが、それが国際的に理解され始めたと言えよう。

 日本の地球温暖化への取り組みについては、環境省は、日本の温室効果ガスの削減目標を2020年度までに2005年度比で3.8%減とする方針である。温室効果ガスの削減目標については、民主党政権が2020年度までに“1990年度比で25%削減”との目標を提示し、国連総会でも表明している。環境省の上記の目標は、基準年を2005年としているが、1990年度比で換算すると逆に約3%増となるとされており、後退感が否めない。政府当局は、‘原子力発電が再稼働されれば高い目標に修正する’としている趣であるが、果たして原子力発電頼みで良いのであろうか。

 1、意見が分かれる地球温暖化の原因                         (その1 で掲載)

 2、荒れる世界の気候                        (その1 で掲載)

  3、国際的な保護を必要とする北極圏と南極大陸           

 同時に忘れてはならないのは、反対側の南極大陸でも氷河、氷原が急速に融けているという事実だ。またヒマラヤやアルプス、キリマンジェロ等の氷河も融け、後退しているので、これらの相乗効果を考慮しなくてはならない。

 北極圏も南極同様、人類の共通の資産と位置付け、大陸棚の領有権や「線引き」の凍結や北極圏の一定の範囲を世界遺産に指定するなど、国際的な保護が必要だ。

  4、必要とされる政府レベルの対応と生活スタイルの転換  (その3に掲載)

 (2014.3.31.)(All Rights Reserved.)

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地球温暖化ー融ける氷海、氷河と荒れる気候変動は止められるか (その2)

2014-04-14 | Weblog

地球温暖化ー融ける氷海、氷河と荒れる気候変動は止められるか        (その2)

 国連の「気象変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第2作業部会は、横浜で地球温暖化の影響を検討し、3月31日、報告書を取りまとめた。その中で「全ての大陸と海洋で、温暖化の重要な影響が観測されている」との認識の下で、“北極海の海氷や世界各地域における珊瑚礁は後戻り困難な影響を既に受けている”などとして生態系や人間社会への影響を指摘している。そして温暖化が進むリスクとして、世界的な気温の上昇、干ばつなどによる食糧生産の減少、大都市部での洪水、異常気象によるインフラ機能の停止などを盛り込んでいる。当コラムも、北極海の海氷の融解と縮小ブログでもこのような状況を2008年頃から指摘して来ているが、それが国際的に理解され始めたと言えよう。

 日本の地球温暖化への取り組みについては、環境省は、日本の温室効果ガスの削減目標を2020年度までに2005年度比で3.8%減とする方針である。温室効果ガスの削減目標については、民主党政権が2020年度までに“1990年度比で25%削減”との目標を提示し、国連総会でも表明している。環境省の上記の目標は、基準年を2005年としているが、1990年度比で換算すると逆に約3%増となるとされており、後退感が否めない。政府当局は、‘原子力発電が再稼働されれば高い目標に修正する’としている趣であるが、果たして原子力発電頼みで良いのであろうか。

 1、意見が分かれる地球温暖化の原因                         (その1 で掲載)

 2、荒れる世界の気候                        (その1 で掲載)

  3、国際的な保護を必要とする北極圏と南極大陸           

 同時に忘れてはならないのは、反対側の南極大陸でも氷河、氷原が急速に融けているという事実だ。またヒマラヤやアルプス、キリマンジェロ等の氷河も融け、後退しているので、これらの相乗効果を考慮しなくてはならない。

 北極圏も南極同様、人類の共通の資産と位置付け、大陸棚の領有権や「線引き」の凍結や北極圏の一定の範囲を世界遺産に指定するなど、国際的な保護が必要だ。

  4、必要とされる政府レベルの対応と生活スタイルの転換  (その3に掲載)

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地球温暖化ー融ける氷海、氷河と荒れる気候変動は止められるか (その1)

2014-04-14 | Weblog

地球温暖化ー融ける氷海、氷河と荒れる気候変動は止められるか        (その1)

 国連の「気象変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第2作業部会は、横浜で地球温暖化の影響を検討し、3月31日、報告書を取りまとめた。その中で「全ての大陸と海洋で、温暖化の重要な影響が観測されている」との認識の下で、“北極海の海氷や世界各地域における珊瑚礁は後戻り困難な影響を既に受けている”などとして生態系や人間社会への影響を指摘している。そして温暖化が進むリスクとして、世界的な気温の上昇、干ばつなどによる食糧生産の減少、大都市部での洪水、異常気象によるインフラ機能の停止などを盛り込んでいる。当コラムも、北極海の海氷の融解と縮小ブログでもこのような状況を2008年頃から指摘して来ているが、それが国際的に理解され始めたと言えよう。

 日本の地球温暖化への取り組みについては、環境省は、日本の温室効果ガスの削減目標を2020年度までに2005年度比で3.8%減とする方針である。温室効果ガスの削減目標については、民主党政権が2020年度までに“1990年度比で25%削減”との目標を提示し、国連総会でも表明している。環境省の上記の目標は、基準年を2005年としているが、1990年度比で換算すると逆に約3%増となるとされており、後退感が否めない。政府当局は、‘原子力発電が再稼働されれば高い目標に修正する’としている趣であるが、果たして原子力発電頼みで良いのであろうか。

 1、意見が分かれる地球温暖化の原因

温暖化の速度、原因などについては議論が分かれている。スイスを本拠とする民間団体「世界自然保護基金」(WWF)は、2013年から40年までに、北極圏の氷は夏期には全て消えるとの報告を出している。国連の「気候変動に関する政府間パネル」が出した07年の第4次評価報告書でも、“ヒマラヤの氷河は2035年までに解けてなくなる可能性が強い”と指摘している。同グループはゴア米元副大統領と共にノーベル賞を受賞したが、氷河学者からは300mもの厚さの氷河がそんなに早くは融けないとの疑問が呈され、同グループがそれを認めるなど、信憑性が疑われている。地球がミニ氷河期に入っているとの説もある。

 

 2、荒れる世界の気候

どの説を取るかは別として、着実に進んでいる事実がある。北極海の氷原が夏期に融けて縮小していることだ。衛星写真でも、08年においては6月末頃までは陸地まで氷海で覆われていたが、8月20日頃前後から氷海は陸地を離れ、海路が開け、砕氷船を使用すれば年間5ヶ月内外は航行可能となる。その期間は毎年伸びている。8月中旬には2-3週間程度砕氷船無しでも航行可能のようだ。6、7年前には、氷海が最も小さくなる8月下旬でも氷海は陸まで張り出ていた。

これは今起きている現実である。短期的には夏の一定期間航行が可能になり、商業航路や観光、北極圏開発のビジネスチャンスが広がる。

 他方それは温暖化への警告でもある。北極の氷海縮小は、気流や海流による冷却効果を失わせ、地球温暖化を早め、海流や気流が激変し気候変動を激化させる恐れがある。氷海が融ければ白熊や微生物などの希少生物も死滅して行く。取り戻すことは出来ない。北極圏の環境悪化は、米、露など沿岸5か国のみの問題では無く、この地球の運命にも影響を与えている。

 現在、日本はもとより世界各地で気流や海流の動きや温度がこれまでのパターンでは予測できない荒々しい動きを示しており、局地的な豪雨や突風・竜巻、日照りや干ばつ、豪雪や吹雪などにより従来の想定を越えた被害を出している。それが世界各地で今起こっている。地球環境は、近年経験したことがない局面に入っていると言えよう。

  3、国際的な保護を必要とする北極圏と南極大陸            (その2に掲載)

  4、必要とされる政府レベルの対応と生活スタイルの転換  (その2に掲載)

 (2014.3.31.)(All Rights Reserved.)

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地球温暖化ー融ける氷海、氷河と荒れる気候変動は止められるか (その1)

2014-04-14 | Weblog

地球温暖化ー融ける氷海、氷河と荒れる気候変動は止められるか        (その1)

 国連の「気象変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第2作業部会は、横浜で地球温暖化の影響を検討し、3月31日、報告書を取りまとめた。その中で「全ての大陸と海洋で、温暖化の重要な影響が観測されている」との認識の下で、“北極海の海氷や世界各地域における珊瑚礁は後戻り困難な影響を既に受けている”などとして生態系や人間社会への影響を指摘している。そして温暖化が進むリスクとして、世界的な気温の上昇、干ばつなどによる食糧生産の減少、大都市部での洪水、異常気象によるインフラ機能の停止などを盛り込んでいる。当コラムも、北極海の海氷の融解と縮小ブログでもこのような状況を2008年頃から指摘して来ているが、それが国際的に理解され始めたと言えよう。

 日本の地球温暖化への取り組みについては、環境省は、日本の温室効果ガスの削減目標を2020年度までに2005年度比で3.8%減とする方針である。温室効果ガスの削減目標については、民主党政権が2020年度までに“1990年度比で25%削減”との目標を提示し、国連総会でも表明している。環境省の上記の目標は、基準年を2005年としているが、1990年度比で換算すると逆に約3%増となるとされており、後退感が否めない。政府当局は、‘原子力発電が再稼働されれば高い目標に修正する’としている趣であるが、果たして原子力発電頼みで良いのであろうか。

 1、意見が分かれる地球温暖化の原因

温暖化の速度、原因などについては議論が分かれている。スイスを本拠とする民間団体「世界自然保護基金」(WWF)は、2013年から40年までに、北極圏の氷は夏期には全て消えるとの報告を出している。国連の「気候変動に関する政府間パネル」が出した07年の第4次評価報告書でも、“ヒマラヤの氷河は2035年までに解けてなくなる可能性が強い”と指摘している。同グループはゴア米元副大統領と共にノーベル賞を受賞したが、氷河学者からは300mもの厚さの氷河がそんなに早くは融けないとの疑問が呈され、同グループがそれを認めるなど、信憑性が疑われている。地球がミニ氷河期に入っているとの説もある。

 

 2、荒れる世界の気候

どの説を取るかは別として、着実に進んでいる事実がある。北極海の氷原が夏期に融けて縮小していることだ。衛星写真でも、08年においては6月末頃までは陸地まで氷海で覆われていたが、8月20日頃前後から氷海は陸地を離れ、海路が開け、砕氷船を使用すれば年間5ヶ月内外は航行可能となる。その期間は毎年伸びている。8月中旬には2-3週間程度砕氷船無しでも航行可能のようだ。6、7年前には、氷海が最も小さくなる8月下旬でも氷海は陸まで張り出ていた。

これは今起きている現実である。短期的には夏の一定期間航行が可能になり、商業航路や観光、北極圏開発のビジネスチャンスが広がる。

 他方それは温暖化への警告でもある。北極の氷海縮小は、気流や海流による冷却効果を失わせ、地球温暖化を早め、海流や気流が激変し気候変動を激化させる恐れがある。氷海が融ければ白熊や微生物などの希少生物も死滅して行く。取り戻すことは出来ない。北極圏の環境悪化は、米、露など沿岸5か国のみの問題では無く、この地球の運命にも影響を与えている。

 現在、日本はもとより世界各地で気流や海流の動きや温度がこれまでのパターンでは予測できない荒々しい動きを示しており、局地的な豪雨や突風・竜巻、日照りや干ばつ、豪雪や吹雪などにより従来の想定を越えた被害を出している。それが世界各地で今起こっている。地球環境は、近年経験したことがない局面に入っていると言えよう。

  3、国際的な保護を必要とする北極圏と南極大陸            (その2に掲載)

  4、必要とされる政府レベルの対応と生活スタイルの転換  (その2に掲載)

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若手研究者を育てられない日本の研究界!?

2014-04-14 | Weblog

若手研究者を育てられない日本の研究界!?

 理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダーが2014年1月、ネイチャー誌に万能性を持つSTAP細胞に関する論文を発表し、内外に大きく注目された。この発見は、従来細胞は元には戻らないという固定観念に対し、細胞を元に戻し、その後多様な機能に発達させられるというものである。いわば細胞を初期化するもので、生物科学界において天動説から地動説に転換するという画期的な発見である。小保方氏は30歳で一躍時の人となり、将来のノーベル賞候補ともされていた。

 ところが、その論文中に使用されていた画像につき、一部修正が施されていたことと、他の画像が取り違えられていたことが指摘された。理化学研究所側は、急遽調査委員会を組織し、これらの点については、‘改ざん’、‘捏造’があったと公表し、また第三者を含めたSTAP細胞作成検証を行うことを明らかにした。そもそも、‘改ざん’とは他人が作成したものを、許可なく修正し、使用することであって、本人が作成する資料の一部を修正して使用することは‘改ざん’、には当たらない。但し、修正点は明示すべきであろう。

 

 これに対し、小保方氏は同研究所に不服申し立てをし、4月9日、記者会見も行った。同氏はSTAP細胞が存在することを明言した。調査委員会側は、検証上重要な‘研究ノート’は2冊しか無いとしていたが、小保方氏は記者会見で調査委に提出したのは2冊であり、他にもあるとした。要するに調査委は、十分な聞き取りも行わず、‘研究ノートは2冊しか無い’として虚偽の報告をし、ずさんな研究との印象を与えた。同調査委の考え方からすると、同調査委の報告は信用できないということになる。要するに、結論ありきの調査ではなかったのか。

 他方、同研究所のSTAP細胞作成検証チームには、著者の1であった同研究所の丹生プロジェクトリーダーが入っている。丹生氏は、記者会見で、小保方論文は取り下げ、‘更地にして作成検証を行う’とした。小保方論文の著者の一人であり、同研究所の研究テーマの上司であり、論文内容に共同責任がある。第一発見者の小保方氏の論文を取り下げ、STAP細胞を作れば、正式な発見者は理化学研究所となり、成果を同研究所が取り上げるということになる。理化学研究所の対応は、若い研究者を育てるということではないのか。

 一部の専門家等が、この論文から‘誰でもSTAP細胞が作れるべきである’としているが、違和感がある。学説としては、「細胞に一定のストレスを加えると、万能性を有する細胞に転換する」こと、即ち一定の方法で細胞を初期化すること出来ることが示されていればよく、STAP細胞の「製造方法」まで記載されている必要は必ずしもない。「製造方法」が示されていれば、世界中の国で特許が取れてしまう。

 研究論文に間違いがあることは決して望ましいことではないが、間違いが見つかったら訂正すれば良い。何故小保方氏を含め著者や指導官が集まり、点検の上、ネイチャー誌に訂正を申し入れなかったのか。間違いは誰にでもある。ましてや若手の研究者であり、それは本人も認めていることであり、論文の作成につき未熟な点はある。しかし論文の書き方という技術的なことに拘泥し、研究成果自体を否定する事があってはならない。

 こんなことをしていたら、STAP細胞の成果は他の国にもっていかれる恐れがあり、また小保方氏自身も海外に研究の場を移さざるを得なくなる可能性もある。小保方氏は、早急にSTAP細胞のつくり方や“レシピー”などについて特許を取得すべきであろう。

 日本人は、ブランド至上主義、地位や知名度に弱いと言われているが、無名の若い研究者や人材を育成するという重要性を忘れてはならない。(2014.04.10.)(All Rights Reserved.)

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若手研究者を育てられない日本の研究界!?

2014-04-14 | Weblog

若手研究者を育てられない日本の研究界!?

 理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダーが2014年1月、ネイチャー誌に万能性を持つSTAP細胞に関する論文を発表し、内外に大きく注目された。この発見は、従来細胞は元には戻らないという固定観念に対し、細胞を元に戻し、その後多様な機能に発達させられるというものである。いわば細胞を初期化するもので、生物科学界において天動説から地動説に転換するという画期的な発見である。小保方氏は30歳で一躍時の人となり、将来のノーベル賞候補ともされていた。

 ところが、その論文中に使用されていた画像につき、一部修正が施されていたことと、他の画像が取り違えられていたことが指摘された。理化学研究所側は、急遽調査委員会を組織し、これらの点については、‘改ざん’、‘捏造’があったと公表し、また第三者を含めたSTAP細胞作成検証を行うことを明らかにした。そもそも、‘改ざん’とは他人が作成したものを、許可なく修正し、使用することであって、本人が作成する資料の一部を修正して使用することは‘改ざん’、には当たらない。但し、修正点は明示すべきであろう。

 

 これに対し、小保方氏は同研究所に不服申し立てをし、4月9日、記者会見も行った。同氏はSTAP細胞が存在することを明言した。調査委員会側は、検証上重要な‘研究ノート’は2冊しか無いとしていたが、小保方氏は記者会見で調査委に提出したのは2冊であり、他にもあるとした。要するに調査委は、十分な聞き取りも行わず、‘研究ノートは2冊しか無い’として虚偽の報告をし、ずさんな研究との印象を与えた。同調査委の考え方からすると、同調査委の報告は信用できないということになる。要するに、結論ありきの調査ではなかったのか。

 他方、同研究所のSTAP細胞作成検証チームには、著者の1であった同研究所の丹生プロジェクトリーダーが入っている。丹生氏は、記者会見で、小保方論文は取り下げ、‘更地にして作成検証を行う’とした。小保方論文の著者の一人であり、同研究所の研究テーマの上司であり、論文内容に共同責任がある。第一発見者の小保方氏の論文を取り下げ、STAP細胞を作れば、正式な発見者は理化学研究所となり、成果を同研究所が取り上げるということになる。理化学研究所の対応は、若い研究者を育てるということではないのか。

 一部の専門家等が、この論文から‘誰でもSTAP細胞が作れるべきである’としているが、違和感がある。学説としては、「細胞に一定のストレスを加えると、万能性を有する細胞に転換する」こと、即ち一定の方法で細胞を初期化すること出来ることが示されていればよく、STAP細胞の「製造方法」まで記載されている必要は必ずしもない。「製造方法」が示されていれば、世界中の国で特許が取れてしまう。

 研究論文に間違いがあることは決して望ましいことではないが、間違いが見つかったら訂正すれば良い。何故小保方氏を含め著者や指導官が集まり、点検の上、ネイチャー誌に訂正を申し入れなかったのか。間違いは誰にでもある。ましてや若手の研究者であり、それは本人も認めていることであり、論文の作成につき未熟な点はある。しかし論文の書き方という技術的なことに拘泥し、研究成果自体を否定する事があってはならない。

 こんなことをしていたら、STAP細胞の成果は他の国にもっていかれる恐れがあり、また小保方氏自身も海外に研究の場を移さざるを得なくなる可能性もある。小保方氏は、早急にSTAP細胞のつくり方や“レシピー”などについて特許を取得すべきであろう。

 日本人は、ブランド至上主義、地位や知名度に弱いと言われているが、無名の若い研究者や人材を育成するという重要性を忘れてはならない。(2014.04.10.)(All Rights Reserved.)

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若手研究者を育てられない日本の研究界!?

 理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダーが2014年1月、ネイチャー誌に万能性を持つSTAP細胞に関する論文を発表し、内外に大きく注目された。この発見は、従来細胞は元には戻らないという固定観念に対し、細胞を元に戻し、その後多様な機能に発達させられるというものである。いわば細胞を初期化するもので、生物科学界において天動説から地動説に転換するという画期的な発見である。小保方氏は30歳で一躍時の人となり、将来のノーベル賞候補ともされていた。

 ところが、その論文中に使用されていた画像につき、一部修正が施されていたことと、他の画像が取り違えられていたことが指摘された。理化学研究所側は、急遽調査委員会を組織し、これらの点については、‘改ざん’、‘捏造’があったと公表し、また第三者を含めたSTAP細胞作成検証を行うことを明らかにした。そもそも、‘改ざん’とは他人が作成したものを、許可なく修正し、使用することであって、本人が作成する資料の一部を修正して使用することは‘改ざん’、には当たらない。但し、修正点は明示すべきであろう。

 

 これに対し、小保方氏は同研究所に不服申し立てをし、4月9日、記者会見も行った。同氏はSTAP細胞が存在することを明言した。調査委員会側は、検証上重要な‘研究ノート’は2冊しか無いとしていたが、小保方氏は記者会見で調査委に提出したのは2冊であり、他にもあるとした。要するに調査委は、十分な聞き取りも行わず、‘研究ノートは2冊しか無い’として虚偽の報告をし、ずさんな研究との印象を与えた。同調査委の考え方からすると、同調査委の報告は信用できないということになる。要するに、結論ありきの調査ではなかったのか。

 他方、同研究所のSTAP細胞作成検証チームには、著者の1であった同研究所の丹生プロジェクトリーダーが入っている。丹生氏は、記者会見で、小保方論文は取り下げ、‘更地にして作成検証を行う’とした。小保方論文の著者の一人であり、同研究所の研究テーマの上司であり、論文内容に共同責任がある。第一発見者の小保方氏の論文を取り下げ、STAP細胞を作れば、正式な発見者は理化学研究所となり、成果を同研究所が取り上げるということになる。理化学研究所の対応は、若い研究者を育てるということではないのか。

 一部の専門家等が、この論文から‘誰でもSTAP細胞が作れるべきである’としているが、違和感がある。学説としては、「細胞に一定のストレスを加えると、万能性を有する細胞に転換する」こと、即ち一定の方法で細胞を初期化すること出来ることが示されていればよく、STAP細胞の「製造方法」まで記載されている必要は必ずしもない。「製造方法」が示されていれば、世界中の国で特許が取れてしまう。

 研究論文に間違いがあることは決して望ましいことではないが、間違いが見つかったら訂正すれば良い。何故小保方氏を含め著者や指導官が集まり、点検の上、ネイチャー誌に訂正を申し入れなかったのか。間違いは誰にでもある。ましてや若手の研究者であり、それは本人も認めていることであり、論文の作成につき未熟な点はある。しかし論文の書き方という技術的なことに拘泥し、研究成果自体を否定する事があってはならない。

 こんなことをしていたら、STAP細胞の成果は他の国にもっていかれる恐れがあり、また小保方氏自身も海外に研究の場を移さざるを得なくなる可能性もある。小保方氏は、早急にSTAP細胞のつくり方や“レシピー”などについて特許を取得すべきであろう。

 日本人は、ブランド至上主義、地位や知名度に弱いと言われているが、無名の若い研究者や人材を育成するという重要性を忘れてはならない。(2014.04.10.)(All Rights Reserved.)

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若手研究者を育てられない日本の研究界!?

2014-04-14 | Weblog

若手研究者を育てられない日本の研究界!?

 理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダーが2014年1月、ネイチャー誌に万能性を持つSTAP細胞に関する論文を発表し、内外に大きく注目された。この発見は、従来細胞は元には戻らないという固定観念に対し、細胞を元に戻し、その後多様な機能に発達させられるというものである。いわば細胞を初期化するもので、生物科学界において天動説から地動説に転換するという画期的な発見である。小保方氏は30歳で一躍時の人となり、将来のノーベル賞候補ともされていた。

 ところが、その論文中に使用されていた画像につき、一部修正が施されていたことと、他の画像が取り違えられていたことが指摘された。理化学研究所側は、急遽調査委員会を組織し、これらの点については、‘改ざん’、‘捏造’があったと公表し、また第三者を含めたSTAP細胞作成検証を行うことを明らかにした。そもそも、‘改ざん’とは他人が作成したものを、許可なく修正し、使用することであって、本人が作成する資料の一部を修正して使用することは‘改ざん’、には当たらない。但し、修正点は明示すべきであろう。

 

 これに対し、小保方氏は同研究所に不服申し立てをし、4月9日、記者会見も行った。同氏はSTAP細胞が存在することを明言した。調査委員会側は、検証上重要な‘研究ノート’は2冊しか無いとしていたが、小保方氏は記者会見で調査委に提出したのは2冊であり、他にもあるとした。要するに調査委は、十分な聞き取りも行わず、‘研究ノートは2冊しか無い’として虚偽の報告をし、ずさんな研究との印象を与えた。同調査委の考え方からすると、同調査委の報告は信用できないということになる。要するに、結論ありきの調査ではなかったのか。

 他方、同研究所のSTAP細胞作成検証チームには、著者の1であった同研究所の丹生プロジェクトリーダーが入っている。丹生氏は、記者会見で、小保方論文は取り下げ、‘更地にして作成検証を行う’とした。小保方論文の著者の一人であり、同研究所の研究テーマの上司であり、論文内容に共同責任がある。第一発見者の小保方氏の論文を取り下げ、STAP細胞を作れば、正式な発見者は理化学研究所となり、成果を同研究所が取り上げるということになる。理化学研究所の対応は、若い研究者を育てるということではないのか。

 一部の専門家等が、この論文から‘誰でもSTAP細胞が作れるべきである’としているが、違和感がある。学説としては、「細胞に一定のストレスを加えると、万能性を有する細胞に転換する」こと、即ち一定の方法で細胞を初期化すること出来ることが示されていればよく、STAP細胞の「製造方法」まで記載されている必要は必ずしもない。「製造方法」が示されていれば、世界中の国で特許が取れてしまう。

 研究論文に間違いがあることは決して望ましいことではないが、間違いが見つかったら訂正すれば良い。何故小保方氏を含め著者や指導官が集まり、点検の上、ネイチャー誌に訂正を申し入れなかったのか。間違いは誰にでもある。ましてや若手の研究者であり、それは本人も認めていることであり、論文の作成につき未熟な点はある。しかし論文の書き方という技術的なことに拘泥し、研究成果自体を否定する事があってはならない。

 こんなことをしていたら、STAP細胞の成果は他の国にもっていかれる恐れがあり、また小保方氏自身も海外に研究の場を移さざるを得なくなる可能性もある。小保方氏は、早急にSTAP細胞のつくり方や“レシピー”などについて特許を取得すべきであろう。

 日本人は、ブランド至上主義、地位や知名度に弱いと言われているが、無名の若い研究者や人材を育成するという重要性を忘れてはならない。(2014.04.10.)(All Rights Reserved.)

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