内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

このブログは、広い視野から内外諸問題を分析し、提言を試みます。
Policy Essayist

国際貢献と海外での安全確保 ― アフガニスタンでのNGO隊員の死を悼みー

2008-09-06 | Weblog
国際貢献と海外での安全確保 ― アフガニスタンでのNGO隊員の死を悼みー
 アフガニスタンの東部ジャララバードで、日本のNGOペシャワール会の隊員(伊藤和也さん)が、8月26日早朝、4人の武装グループに誘拐され、生還への祈りが届かず死亡した。現地人の運転手は逃げ帰っている。
 検死によると足に3箇所銃弾を受けており、血管損傷による失血死とされている。急所への銃撃ではなく、足への銃撃であることから、殺害目的ではなく、恐らく犯人側は伊藤さんが歩けないようにするため足を撃ち、逃走したものと思われ、発見が早ければ助かった可能性もある。また伊藤さんが誘拐されたことを知り、多くの村人が犯人を追跡したと伝えられており、伊藤さんが村人に慕われ、評価されていたことを示すものであり、追跡が逆に犯人を追い詰めた結果となってしまったのかもしれない。これらのことから、伊藤さんが現地に溶け込んで貢献していた姿が偲ばれる。このような結果となり大変残念であり、ご遺族の方々に心から哀悼の意を表したい。
 食糧難のアフガニスタンで農業開発に貢献しようとする高い志は誇らしいし、心から敬意を表したい。
しかしアフガニスタンにおいては、国際テロ組織アル・カイーダとそれを支援しているタリバン勢力との戦争の場となっており、米国を含むNATOを中心とする国際治安部隊(ISAF)が治安活動に当たっており、「危険地域」であることは周知の事実である。インド洋の米国空母等より同国の山岳地帯やパキスタン国境付近への爆撃なども行われている。08年はテロ活動や戦闘活動で双方の被害が増加していることも伝えられている。
このような地域に人を派遣する以上、まず派遣元のペシャワール会としても安全措置を徹底する責任がある。場合により、活動の中断、撤退を検討すべきであろう。また派遣に当たって、派遣元としては本人への説明責任があると共に、本人自身も安全状況に常に留意し、本部とも協議の上安全措置を講じるべきであろう。海外には日本とは異なる危険が存在することを常に自覚することが望まれる。このような事件は、過去にイラクやイランなどでも起こっている。
また外務省も「海外安全情報」を出しているが、現地で活動している在留邦人には情勢が悪化する場合には、情報を速やかに伝達するなり、退去を勧めるなどの措置を講じる責任があろう。特にアフガニスタンでは、インド洋での艦船への給油活動など、国際テロ撲滅に向けての国際活動に日本も協力しており、一時アル・カイーダ グループにより名指しで警告されるなど、残念ながらこのような国際貢献により危険が高まることも事実である。従って、このような国際協調活動については、日本としても国際社会の責任ある一員として可能な限り貢献策を検討すべきであるが、危険が高まることを含め、国民に十分説明し、国民の理解を求めると共に、安全措置を取る責任があるのであろう。
なお、途上国への開発援助については、紛争後や過渡期の途上国政府への支援のあり方やNGO団体等の役割を含め、週刊ダイヤモンド 8月2日号に「地盤沈下する日本の政府開発援助 国民参加型援助体制へ転換を図れ」(120-123頁)として掲載されています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国際貢献と海外での安全確保 ― アフガニスタンでのNGO隊員の死を悼みー

2008-09-06 | Weblog
国際貢献と海外での安全確保 ― アフガニスタンでのNGO隊員の死を悼みー
 アフガニスタンの東部ジャララバードで、日本のNGOペシャワール会の隊員(伊藤和也さん)が、8月26日早朝、4人の武装グループに誘拐され、生還への祈りが届かず死亡した。現地人の運転手は逃げ帰っている。
 検死によると足に3箇所銃弾を受けており、血管損傷による失血死とされている。急所への銃撃ではなく、足への銃撃であることから、殺害目的ではなく、恐らく犯人側は伊藤さんが歩けないようにするため足を撃ち、逃走したものと思われ、発見が早ければ助かった可能性もある。また伊藤さんが誘拐されたことを知り、多くの村人が犯人を追跡したと伝えられており、伊藤さんが村人に慕われ、評価されていたことを示すものであり、追跡が逆に犯人を追い詰めた結果となってしまったのかもしれない。これらのことから、伊藤さんが現地に溶け込んで貢献していた姿が偲ばれる。このような結果となり大変残念であり、ご遺族の方々に心から哀悼の意を表したい。
 食糧難のアフガニスタンで農業開発に貢献しようとする高い志は誇らしいし、心から敬意を表したい。
しかしアフガニスタンにおいては、国際テロ組織アル・カイーダとそれを支援しているタリバン勢力との戦争の場となっており、米国を含むNATOを中心とする国際治安部隊(ISAF)が治安活動に当たっており、「危険地域」であることは周知の事実である。インド洋の米国空母等より同国の山岳地帯やパキスタン国境付近への爆撃なども行われている。08年はテロ活動や戦闘活動で双方の被害が増加していることも伝えられている。
このような地域に人を派遣する以上、まず派遣元のペシャワール会としても安全措置を徹底する責任がある。場合により、活動の中断、撤退を検討すべきであろう。また派遣に当たって、派遣元としては本人への説明責任があると共に、本人自身も安全状況に常に留意し、本部とも協議の上安全措置を講じるべきであろう。海外には日本とは異なる危険が存在することを常に自覚することが望まれる。このような事件は、過去にイラクやイランなどでも起こっている。
また外務省も「海外安全情報」を出しているが、現地で活動している在留邦人には情勢が悪化する場合には、情報を速やかに伝達するなり、退去を勧めるなどの措置を講じる責任があろう。特にアフガニスタンでは、インド洋での艦船への給油活動など、国際テロ撲滅に向けての国際活動に日本も協力しており、一時アル・カイーダ グループにより名指しで警告されるなど、残念ながらこのような国際貢献により危険が高まることも事実である。従って、このような国際協調活動については、日本としても国際社会の責任ある一員として可能な限り貢献策を検討すべきであるが、危険が高まることを含め、国民に十分説明し、国民の理解を求めると共に、安全措置を取る責任があるのであろう。
なお、途上国への開発援助については、紛争後や過渡期の途上国政府への支援のあり方やNGO団体等の役割を含め、週刊ダイヤモンド 8月2日号に「地盤沈下する日本の政府開発援助 国民参加型援助体制へ転換を図れ」(120-123頁)として掲載されています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国際貢献と海外での安全確保 ― アフガニスタンでのNGO隊員の死を悼みー

2008-09-06 | Weblog
国際貢献と海外での安全確保 ― アフガニスタンでのNGO隊員の死を悼みー
 アフガニスタンの東部ジャララバードで、日本のNGOペシャワール会の隊員(伊藤和也さん)が、8月26日早朝、4人の武装グループに誘拐され、生還への祈りが届かず死亡した。現地人の運転手は逃げ帰っている。
 検死によると足に3箇所銃弾を受けており、血管損傷による失血死とされている。急所への銃撃ではなく、足への銃撃であることから、殺害目的ではなく、恐らく犯人側は伊藤さんが歩けないようにするため足を撃ち、逃走したものと思われ、発見が早ければ助かった可能性もある。また伊藤さんが誘拐されたことを知り、多くの村人が犯人を追跡したと伝えられており、伊藤さんが村人に慕われ、評価されていたことを示すものであり、追跡が逆に犯人を追い詰めた結果となってしまったのかもしれない。これらのことから、伊藤さんが現地に溶け込んで貢献していた姿が偲ばれる。このような結果となり大変残念であり、ご遺族の方々に心から哀悼の意を表したい。
 食糧難のアフガニスタンで農業開発に貢献しようとする高い志は誇らしいし、心から敬意を表したい。
しかしアフガニスタンにおいては、国際テロ組織アル・カイーダとそれを支援しているタリバン勢力との戦争の場となっており、米国を含むNATOを中心とする国際治安部隊(ISAF)が治安活動に当たっており、「危険地域」であることは周知の事実である。インド洋の米国空母等より同国の山岳地帯やパキスタン国境付近への爆撃なども行われている。08年はテロ活動や戦闘活動で双方の被害が増加していることも伝えられている。
このような地域に人を派遣する以上、まず派遣元のペシャワール会としても安全措置を徹底する責任がある。場合により、活動の中断、撤退を検討すべきであろう。また派遣に当たって、派遣元としては本人への説明責任があると共に、本人自身も安全状況に常に留意し、本部とも協議の上安全措置を講じるべきであろう。海外には日本とは異なる危険が存在することを常に自覚することが望まれる。このような事件は、過去にイラクやイランなどでも起こっている。
また外務省も「海外安全情報」を出しているが、現地で活動している在留邦人には情勢が悪化する場合には、情報を速やかに伝達するなり、退去を勧めるなどの措置を講じる責任があろう。特にアフガニスタンでは、インド洋での艦船への給油活動など、国際テロ撲滅に向けての国際活動に日本も協力しており、一時アル・カイーダ グループにより名指しで警告されるなど、残念ながらこのような国際貢献により危険が高まることも事実である。従って、このような国際協調活動については、日本としても国際社会の責任ある一員として可能な限り貢献策を検討すべきであるが、危険が高まることを含め、国民に十分説明し、国民の理解を求めると共に、安全措置を取る責任があるのであろう。
なお、途上国への開発援助については、紛争後や過渡期の途上国政府への支援のあり方やNGO団体等の役割を含め、週刊ダイヤモンド 8月2日号に「地盤沈下する日本の政府開発援助 国民参加型援助体制へ転換を図れ」(120-123頁)として掲載されています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国際貢献と海外での安全確保 ― アフガニスタンでのNGO隊員の死を悼みー

2008-09-06 | Weblog
国際貢献と海外での安全確保 ― アフガニスタンでのNGO隊員の死を悼みー
 アフガニスタンの東部ジャララバードで、日本のNGOペシャワール会の隊員(伊藤和也さん)が、8月26日早朝、4人の武装グループに誘拐され、生還への祈りが届かず死亡した。現地人の運転手は逃げ帰っている。
 検死によると足に3箇所銃弾を受けており、血管損傷による失血死とされている。急所への銃撃ではなく、足への銃撃であることから、殺害目的ではなく、恐らく犯人側は伊藤さんが歩けないようにするため足を撃ち、逃走したものと思われ、発見が早ければ助かった可能性もある。また伊藤さんが誘拐されたことを知り、多くの村人が犯人を追跡したと伝えられており、伊藤さんが村人に慕われ、評価されていたことを示すものであり、追跡が逆に犯人を追い詰めた結果となってしまったのかもしれない。これらのことから、伊藤さんが現地に溶け込んで貢献していた姿が偲ばれる。このような結果となり大変残念であり、ご遺族の方々に心から哀悼の意を表したい。
 食糧難のアフガニスタンで農業開発に貢献しようとする高い志は誇らしいし、心から敬意を表したい。
しかしアフガニスタンにおいては、国際テロ組織アル・カイーダとそれを支援しているタリバン勢力との戦争の場となっており、米国を含むNATOを中心とする国際治安部隊(ISAF)が治安活動に当たっており、「危険地域」であることは周知の事実である。インド洋の米国空母等より同国の山岳地帯やパキスタン国境付近への爆撃なども行われている。08年はテロ活動や戦闘活動で双方の被害が増加していることも伝えられている。
このような地域に人を派遣する以上、まず派遣元のペシャワール会としても安全措置を徹底する責任がある。場合により、活動の中断、撤退を検討すべきであろう。また派遣に当たって、派遣元としては本人への説明責任があると共に、本人自身も安全状況に常に留意し、本部とも協議の上安全措置を講じるべきであろう。海外には日本とは異なる危険が存在することを常に自覚することが望まれる。このような事件は、過去にイラクやイランなどでも起こっている。
また外務省も「海外安全情報」を出しているが、現地で活動している在留邦人には情勢が悪化する場合には、情報を速やかに伝達するなり、退去を勧めるなどの措置を講じる責任があろう。特にアフガニスタンでは、インド洋での艦船への給油活動など、国際テロ撲滅に向けての国際活動に日本も協力しており、一時アル・カイーダ グループにより名指しで警告されるなど、残念ながらこのような国際貢献により危険が高まることも事実である。従って、このような国際協調活動については、日本としても国際社会の責任ある一員として可能な限り貢献策を検討すべきであるが、危険が高まることを含め、国民に十分説明し、国民の理解を求めると共に、安全措置を取る責任があるのであろう。
なお、途上国への開発援助については、紛争後や過渡期の途上国政府への支援のあり方やNGO団体等の役割を含め、週刊ダイヤモンド 8月2日号に「地盤沈下する日本の政府開発援助 国民参加型援助体制へ転換を図れ」(120-123頁)として掲載されています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする