tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

観光地奈良の勝ち残り戦略(9)ブームの予感

2008年01月09日 | 観光地奈良の勝ち残り戦略
週刊ダイヤモンド、新年合併号は恒例の「丸ごと1冊 総予測」だ。今回(12/29&1/5)は「2008 波乱の幕開け」というサブタイトルがついている。その道のベテランによる全50項目の予測がずらりと並んでいるが、私の目に止まったのが消費と観光の章だ。
※同誌の立ち読みができる「雑誌ネット」
http://www.zassi.net/mag_index.php?id=59&issue=22406

「35.消費トレンド」には嶋本達嗣氏(博報堂生活総合研究所所長)が寄稿している。タイトルは《「体験」「知識」「関係」への欲求が新たな市場を生む》。

同研究所の「定点観測調査」(06年)によれば、首都圏・阪神圏の生活者が「今後おカネをかけたいもの」ベスト3は、貯金(54.2%)、旅行(48.9%)、趣味(40.2%)。「増やしたい時間」は趣味にかける時間(59.4%)、睡眠時間(55.6%)、家族と過ごす時間(39.9%)、親しい友人と過ごす時間(39.1%)。

氏の分析によれば、これは《行動や体験へと価値観が転換したことを示唆している。どんな経験を積んだか、そこで何を感じ、何を学んだか、どんな家族・友人関係を紡いだか……そうした見えないものの豊かさ、体験ストック、関係ストックへと動き始めている》。

氏はこれらを総称して「ソフトストック」と呼び《ソフトストックとは、いわば「思い出が財産」という価値観である》、《08年はマネーストックからソフトストックへの発想転換が求められる年になる》とする。

次に「44.観光」は、江口恒明氏(観光経済新聞社社長)が書いている。観光経済新聞は、このブログでも何回か紹介させていただいた週刊の専門紙である。

この章のタイトルは《通を唸らせる体験の旅に人気 観光立県を目指し質の競争へ》。最盛期に約9500軒あったホテル・旅館(日本観光連盟登録)が、今は約4200軒に減少したという現状だが、氏は《それだけに旅行業界はいっそうの企画力、イベント力が問われているし、質の高いサービスの競争になる》とする。

優れた企画の例として「はとパスツアー」の次に登場するのが奈良観光だ。《平城遷都1300年を2年後に迎える奈良は、平城宮跡に往時の姿を再現する。花や緑、灯りなどをテーマに、シーズンごとの記念式典、フェアを行う予定で、奈良ブームが起きるのではないか》という嬉しいことを書いてくれている。

奈良公園で鹿と遊ぶ家族連れの写真まで掲載されていて、《平城遷都1300年に向け、奈良ブームが起きそうだ》という説明がついている。

章の締めくくりは《伝統文化や、もてなしの心、情緒を見直し、アピールすれば、外国人旅行客の心をつかめるはずだ》《観光立国に向けて観光庁の新設も間近だ。今後、心を癒す観光立県を目指し、各地で質の競争が激化するだろう》。

「奈良ブーム」とは新年早々、有り難いご託宣である。嶋本氏の「ソフトストック」「思い出が財産」というキーワードと重ね合わせると、家族や友人と、たっぷり時間をかけ、知識を深め心を癒す「奈良のゆったり旅」のイメージが浮かんでくる。

今年は明るい材料として、フジテレビ系でドラマ「鹿男あをによし」がオンエアされる(1/17から毎週木曜日・午後10時スタート)。奈良のロケ現場では、早くも人だかりができているそうだ。
http://wwwz.fujitv.co.jp/awoniyoshi/index.html

このドラマをテコにした観光PRのアイデアが出てきても良さそうだが、不思議とそんな声が聞こえない。今まで「奈良検定」や「小説の募集と映画化」などのユニークな提言が出された経済5団体の「新年名刺交換会」(1/7)に関する報道でも、1行も触れられていなかった。

いずれにしても、この「奈良ブームの予感」、予感で終わらせないよう、また「イベントが終わると前より落ち込む」というシルク博の二の舞にならないよう、県民の力で奈良を盛り上げていきたいものだ。

※写真は東大寺・大仏池の畔(=奈良公園 07.11.24撮影)。「鹿男あをによし」ロケ地のすぐ近く。

※参考:観光地奈良の勝ち残り戦略(8)奈良の社会的効用
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/d9c27e41f00457836d9a15ffd7d1a1f4
コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする