tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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「万葉学ことはじめ~90分で万葉通に~」by 米谷潔さん/第1回「サクサクわかる!万葉講座」(南都商事本社・新大宮セミナールーム)

2019年08月13日 | 万葉集
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は、奈良と東京で各10回の万葉講座をスタートさせた。奈良は「サクサクわかる!万葉講座」、東京は「ざっくりわかる!万葉講座」とタイトルは少し変えたが、中身も講師も同じである。奈良の初回は7月27日(土)、東京の初回は昨日(8/11)だった。

東京の初回は「万葉集の花~四季の大和路を万葉の花と歌で巡る~」、講師は当会理事の石田一雄さんだった。午前と午後の2回開催(中身は同じ)で、午前の部には34人、午後の部には45人の方が出席されたという。


画像は、米谷潔さん制作資料の要点版(全8画面)

奈良の初回は「万葉学ことはじめ」、講師は当会会員の米谷潔(よねたに・きよし)さんだった。大阪市出身・在住の米谷さんは高校時代から万葉集を研究されていて、私のつけたニックネームは「名誉教授」。

米谷さんの講座は過去にお聞きしたことがある。中身がきちんと整理され、短時間で万葉集の全貌が分かるという素晴らしい内容だった。そこで私は「万葉学ことはじめ」というタイトルを考えて米谷さんに講演をお願いした。



このたび、その素晴らしい講演の内容を当会会員の増田優子さん(広報グループ所属)がわかりやすくまとめ、当会HPの「つれづれ日記」(公式ブログ)にアップして下さった。今日はその内容を以下に紹介する。

始まりました!「サクサクわかる!万葉講座」
第1回「万葉学ことはじめ~90分で万葉通に~」米谷潔さん


7月27日(土)南都商事新大宮セミナールーム(南都銀行大宮支店と同ビルの4階)で第1回「サクサクわかる!万葉講座」が約50名の参加で行われました。



当会で万葉集と言えば米谷潔さん!まるで「令和」を予言したかのような当会「奈良まほろばかるた」の制作提案、読み札・解説文の原案作成者です。万葉集を徹底的に研究され、何十年も学ばれた深~い知識を初心者でもわかりやすいように、まとめて下さいました。

そんな貴重な講演を、なんと今回は、要点のパワーポイント画像まで載せて下さるのだから、ありがたい! 講演会に行けなかった方もぜひこの機会にご一読を!万葉集の基本の「き」、土台がしっかりとできあがるチャンスですよ~(^^)



では、そんな米谷さん、万葉集との出会いのルーツをたどると…「高校時代のクラス担任が、万葉集研究の第一人者・犬養孝先生の愛弟子・清原和義先生だったのです」と。高三の時、受験前というのに授業は万葉集ばかり。そして、万葉集ゆかりの地をたくさん歩かれたとのこと。「先生のお陰です。ご恩とご縁を感じます。」とおっしゃっていました。

そして、まずは序論で三つの歌「三輪山をしかも隠すか雲だにも…」「采女(うねめ)の袖吹き返す明日香風…」「あをによし寧楽(なら)の京師(みやこ)は…」を解説。



その後いよいよ本論へ。「万葉集は日本最古の歌集」ということで、その名前の由来から始まりました。実は「万葉集は、逐次付け加えられていった歌集なのです」とのこと。その20巻の概要、年代、時代背景、作者、歌の種類分け、詠まれた土地等、次々に内容をギューッと凝縮して図表にして説明して下さいました。(パワポをご覧いただくと一目瞭然!)



そして、有間皇子や大津皇子の歴史的事件を系図や写真を使ってお話されました。「万葉集のテーマは愛と死なのです!」と。(なるほど!!)また、万葉集原文についても触れ、漢字文、万葉仮名、九九も使われたことやその使い方もご解説。一番多く使われている動物「ほととぎす」や植物一番の「萩」、二番の「梅」など、いろいろな動植物をご紹介下さいました。

そして、柿本人麻呂歌集の歌を紹介し、古来、日本には言霊信仰があること。言霊が日本の精神文化の基礎にあったことをお話下さいました。最後に「令和」にまつわる梅花の歌を解説され、今の時代について思うことも話されました。



「最近の言葉はどうでしょう。すぐに言葉を縮めたり、カタカナにして省略したり、そこには『言霊』がないじゃないですか。悲しい。日本語をもっと大事にしてほしいです」と…。令和になった今、万葉集をきっかけに、日本の言葉や言霊についてもう一度考える機会を与えられたような気がします。



「万葉集は文学と歴史学の接点!歌集であるとともに歴史書なのです」「日本の文化を大事にしたいのです」と締めくくられました。

米谷さんの穏やかな笑顔の講演は、聞き始めると、難しそうな万葉集の世界が次第にわかってきます。参加された皆さんも、ご満足そうに帰って行かれました。米谷さん、わかりやすくお話下さり、ありがとうございました。



さてさて、これからのソムリエの会「万葉シリーズ」はどのように展開していくのかドキドキワクワク楽しみです。皆さんもぜひこの機会に参加されませんか?(なんとこの「サクサクわかる!万葉講座」は、県から「なら記紀万葉」の補助金が出るので無料なんです!)ソムリエの会内外からの皆さんのお越しをお待ちしております。
文:広報G 増田優子  写真:鉄田憲男


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