本堂左手に広がる庭園には桔梗が満開だった。ここ2,3日の雨風に少し痛んではいたが、石仏の間からのぞく桔梗の花は、風が吹くたびにやさしく語りかけたり、じゃれあったりしているかのようだ。









元興寺は浄土信仰が盛んになりこの一角が極楽坊と呼ばれ、僧坊の一部を改造した極楽房は曼荼羅堂ともよばれる。この寺を支えるものは政府でも貴族でもなくて、むしろ無名の庶民と呼ばれる階層のひとたちが中心となったようだ。決して華美ではないが、古都の歴史を物語る街の中にひっそりと溶け込んで建つお寺だ。




また、この境内のどこかにひっそりと鬼が隠れているらしい。石仏の後ろや、古株の祠や、葉隠にそれを見つけるのも楽しいが、今回は雨が降りそうだったので帰りを急ぎ、4匹しか見つけられなかった~
その表情がなんとも素朴でかわいい~この鬼たちも平城(なら)の庶民の守り神だったのかもしれないと思うと、味わい深いものがある。




女流歌人、大伴坂上郎女は奈良の元興寺の里を詠んだ歌を残している。
ふるさとの飛鳥はあれど靑丹よし平城(なら)の明日香を見らくしよしも
万葉集6
