現代歌壇の牽引者で宮中歌会始の選者だった岡井さんが亡くなられた。92歳の高齢だったが、寺山修二や塚本邦夫らと前衛短歌を展開した立役者として知られる。嫌われた文語と口語をみごと織り込んだセンスの良さ、今や短歌会は容認の傾向にある。時代とともに自我を貫き通した波乱の人生だったようだ。
手元に彼の歌集がある。今日はこれを読んでご冥福を祈りたい。
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つきの光に花梨が青く垂れてゐる。ずるいなあ先に時が満ちてて
たぶん私は後悔せずに去るだろうこの世の果てまで歩みたる後
自分がこの世を去る時の自分の姿を想像する。岡井の死、老いに対する観念は、研ぎ澄まされて甘美にさえ詠っている。 合掌