寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
(過去掲載分は「付録」の「話・話」を開いて下さい)

(第2666話) 講師冥利

2018年09月03日 | 出来事

 “料理教室を開いている。このクラスを開いて、もう十六年になる。退職後の男性を中心に、男性十八人、女性八人の総勢二十六人。ほとんどの方が十年以上続けている。毎回四~五品、お持ち帰りの一品を作る。お持ち帰りは、おうちの方がとても楽しみに待っていてくださっているとのこと。六月は「ほお葉ずし」だった。
 メンバー最高齢、八十三歳のMさんは本当にお元気で、毎回米とぎを一手に引き受けてくださる。そのMさんは奥さまの看病だけでなく、毎月ゴルフに出かけられ、町内会の役員もされている。スーパーおじいちゃんだ。
 そのMさんから授業の後にメールをいただいた。「一日に少ししか食べない人が、机の上に置いておいたほお葉ずしをペロリと一人で食べてしまった。幸せです。ありがとう」と書かれていた。思わず涙が出た。これこそ講師冥利に尽きる、というのだろう。細く長く、迷いながらだったが、教室を続けてきて、本当によかった。
 私を含めみんな体力的に厳しくなってきたけれど、一回でも長く続けられるように、健康に気をつけ、もう少し頑張りましょうね。もちろん私も老骨にむち打って頑張りまーす。よろしく。”(8月12日付け中日新聞)

 名古屋市の料理講師・安田さん(女・69)の投稿文です。ボクの妻は、地元の公民館で月1回開かれている料理教室にもう20年以上通っている。そしてその料理講師は、35年間くらい務められ、歳も70歳半ばになられ今年3月で辞められ、交替された。妻はこの間、その講師とかなり親しくさせて頂いて個人的な付き合いもし、ボクもいろいろな話を聞いてきた。受講生はもちろん女性ばかりである。作ったものを少し持って帰ってくる。そしてボクが賞味する。ボクも恩恵を預かれる嬉しい教室である。
 安田さんの教室は男性が主である。それがもう16年も前からと言われる。男性の料理教室の先駆けであろう。そして、Mさんからの嬉しい報告である。まさに講師冥利に尽きるであろう。いろいろやっていれば嬉しいことも辛いことも起こる。人様々である。嬉しいことに目を向け頑張ればいい、続ければいい。辛いことには目をつぶればいい。これが高齢者、余生の上手な過ごし方だと思う。


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