“昔の中日新聞紙面を購入できる「思い出新聞」があることを知り、私が生まれた一九四三(昭和十八)年五月のある日を買い求めました。戦時中とあって記事は軍絡みばかり。文字は小さい上、旧字体で読むのに難儀しましたが、書かれていることには妙に感慨を覚え、当時に思いをはせました。
海軍軍人の山本五十六元帥の国葬をはじめ、空母と運命を共にした艦長の戦死詳報もあり、戦争で命を失うことが美徳とされた時代だけに一層悲しみを覚えました。大相撲で規定から引き分けとなった取組も「敢闘精神がなかった」と評されたのは戦時中ゆえでしょう。一方、鍋や釜、傘を直すために各地を回ったという「巡回修繕班」の記事や、現JR東海道線の笠寺駅開設といった話題にはホッとしました。別の日の「思い出新聞」を読んでみたくなってきました。”(4月13日付け中日新聞)
名古屋市の主婦・赤井さん(79)の投稿文です。実はボクも持っている。結婚式にボクと妻の誕生日の思い出新聞を贈ってもらったのだ。但し毎日新聞であった。ボクは昭和20年9月、妻は22年7月である。久しぶり出して見て一番驚いたのは、横書きが20年では右から、22年では左からに変わっていたことである。20年では空襲の被害死者24万人余の記事や進駐米軍の記事が目につく。22年では登呂遺跡の発掘や鎌倉由比ヶ浜の海水浴の記事が出ている。たまたまであろうか、戦争から日常生活に大きく内容が違っている。時代の変わり目だった。こんなこともこの思い出新聞で改めて感じる。70年、80年、人の一生の間に社会は大きく変化する。諸行無常、そんなことも知る思い出新聞である。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます