寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
(過去掲載分は「付録」の「話・話」を開いて下さい)

(第3208話) 似顔絵に涙

2021年10月01日 | 出来事

 “亡き夫が今の私と同じ年齢だった八年前、現在二十二歳の孫娘がカレンダーの裏に描いた夫の似顔絵の周りに計十五人の子や孫をはじめペットの犬の絵を描き入れた上、それぞれから一言ずつメッセージをもらって書き込んでいた。余白には孫七人がそれぞれ朱肉でかわいらしい手形をついていた。世界でたった一つの作品に、夫はとてもうれしそうな表情を浮かべていた。
 私が正月、孫娘に「昔の夫みたいなものが欲しい」と言ったら笑われた。その後、新型コロナウイルスの影響で互いに顔を合わせることはできず、半ば諦めかけていた。そんな折、彼女の父である次男が夏にわがケ家にやって来て「一番欲しがっていたもの、これでしょ」と手渡してくれた。中央に若い頃の私の笑顔があり、夫がもらったものと同じ構図で家族に囲まれ、天国の夫と死んだ犬もいた。孫娘がそれぞれの家にメッセージシールと返信用封筒を送って集めたそうだ。優しい家族の言葉は涙でにじんで読めなくなった。皆に心配をかけないよう、体に十分気を付けていこうと思っている。”(9月10日つけ中日新聞)

 愛知県小牧市の主婦・井上さん(77)の投稿文です。これは何とも嬉しい贈り物です。15人の寄せ書きですから、かなりの手間を要するでしょう。井上さんはご主人がもらったのをよほど羨ましかったのでしょう。つい要求をしてしまった。そしてそれに応えてくれた子供たち。要求されて子供たちも嬉しかったと思う。いろいろな知恵がある。いい家族である。
 ここまでは行かないがボクにもあるのである。久しぶりに机の引き出しの奥にしまってある手紙を取り出してみた。それはボクの古希祝いの時のもので子供や孫がそれぞれに書いてくれた。短文ではあるが、ウォーキングのことが書かれている。連れて行ってくれてありがとうと、いつまでも続けてくださいとある。ボクが亡くなっても孫にはウォーキングのことがいつまでも残っていくだろう。そして、ボクは今でもさほどの衰えを知らず続けている。ありがたいことである。さあ、今日も歩いてこよう。