(ベンチが語る、お出掛け事情@寺田駅)
寺田の駅、電鉄富山駅方面ホームに置いてある古びたベンチには、富山市内の一番の繁華街、総曲輪にある「大和」の広告が入っている。富山の人に言わせると、やはり「総曲輪の大和」ってのは昔からの伝統ある百貨店でして、 古びたこのベンチも、総曲輪へ出掛けるたくさんの家族連れが行き交う光景を見ていたんでしょう。家族親子が手を繋ぎ、地鉄電車に乗って電鉄富山へ。市内線に乗り継いで、中町の電停から総曲輪のアーケードを歩いて行く。たくさんの買い物、誕生日やクリスマスのプレゼント、デパートのレストランで楽しい食事。そんな昭和のお出掛け事情を思い出す光景。駅のベンチにこんなのが置いてあったら、モチーフにしたくなってしまうのが道理というものでして・・・
夕暮れ迫る寺田の駅。どこの地方都市も駅周辺の繁華街がだんだんと衰退する中で、富山の商圏も速星に出来た「ファボーレ」のような郊外型の大型駐車場完備の複合テナントが商業の新しい中心地に取って代わるようになっています。この辺りをつつくと、どうしても旧市街の空洞化と衰退が・・・というお決まりの都市計画論になってしまうんですけども、いわゆる「ハレの日」の買い物や集まりごとに鉄道が介在する余地って、昔に比べると相当に少なくはなっておるのだろうな。
一枚、また一枚。寺田の駅で、夕暮れ迄の戯曲を奏でてみる。番線を表示する行燈に明かりが灯ると、夜がやって来ます。夕方のラッシュ時は、三方向からひっきりなしに電車が入って来ますが、乗客の出入りは少なく淡々としたもの。列車が通り過ぎた後は、ひとときの静寂に包まれて、そして足元からしんしんと冷えて来る。思わず自動販売機で缶のコーンポタージュを買い、悴む手を温めながらシャッターを切っていた。
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