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青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。写真はおおめ、文章はこいめ、コメントはすくなめ。

水と緑に包まれて

2018年05月30日 17時00分00秒 | 只見線

(船着き場AM5:40@只見川第一橋梁)

さて、現着してバリバリの水鏡に眠気も吹き飛ぶ朝5時の三島谷。さっそく撮影の用意を始めたところ、追っ掛けで2台の車が順繰りに。「お早いですねえ」と地元氏に声を掛けられた。もう1台のクルマの方は関東からの遠征組。平日らしく私以外はリタイアされている方々ばかりで年齢的には肩身が狭い(笑)。下流の柳津ダムで堰き止められた只見川の水は、目視でも僅かに動くのみでほぼ流れがなく、加えて無風と水鏡の条件は揃っている。ただ、ごくたまにそよそよと頬を撫でる風…風と言うよりは「空気の動き」レベルの微風なのだが、その一そよ二そよ(何だその日本語)が水面を揺らがせ、さざめかせる。そんな刻一刻と変わる水面の動きにやきもきしながら狙うは会津川口始発の上り一番列車422D。


遠くから第二橋梁を渡る列車の音が聞こえて来る。この第一只見川橋梁は会津西方~会津桧原間にあるのですが、422Dの会津西方発は6:01。西方を発車したであろう列車の音が徐々に大きくなり、直前のトンネルで一瞬音が消えた。「風よ吹くなっ!」と念じながらレリーズを握りしめ、舞台に現れたキハ40を迎え撃つ。堂々4連の422Dは只見川沿線の町村から会津若松への通勤通学列車。朝イチにここで座を構えたのは、水鏡狙いは風の弱い早朝という鬼の鉄則に従ったのと、この4連の一番列車狙いだったのだが…直前のそよ風で水面、やや乱れる。60点。ぐぬぬ。


サブカメの単焦点。遠景の広角アングルなので水鏡はこっちのほうが多少マシか。まあ、いきなりで100点満点の一発回答というものもなかなか難しいよね。只見線ってある意味日本の鉄道写真界隈における風景派の総本山みたいなトコロあって、とんでもない回数通い詰めて季節ごとにムチャクチャな場数を踏んだハイアマチュアの方々が一杯いるジャンル。そんな甘くはねーよということか。あまたの先人たちに倣って、この手のチャレンジをモノにするには、通い詰めるほかはないのである。

まあ久々に只見線に来てみたけど、ファーストカットから柄にもなくこんなにドキドキさせてくれるのだから、改めて只見線ってーのは本当に趣味人の冥利に尽きる路線だなと。この水と緑に包まれた三島谷の美しさと言ったら…来て良かったなあと思わせる眼福の光景です。
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奥会津の大きな瞳

2018年05月29日 09時25分25秒 | 只見線

(大きな瞳@只見川第一橋梁)

働き方改革だか何だか知らないけど、我が職場にも「有給を消化しよう」という世の中の流れにとりあえず巻かれたようなお達しが回って来た。職場の他の人は祝日のない6月に有給を取るみたいだけど、こっちにしてみりゃ取らせてくれるんだったらすぐ取りますよってんで速攻で有給を取得するのであった。こういう決断だけは速い。そして、有給取得しておいて何もしないというのはよほどのことがない限りあり得ないよね?という事で、思い付きで超久し振りに奥会津遊覧の人になって来ました。只見線撮るのなんて何年ぶりだろ。奥会津へのルートは、家から都内に出て、環八~外環側道あとはひたすら新4号国道というケチケチ節約の過酷ローテーション。有給は取らしてくれるけど、有給に使う小遣い分までサラリーはなかなか上乗せしてはくれないのが会社である。有給の取得と賃金の増加が成されて初めて働き方改革なのかもしれない。真夜中の塩原温泉を抜け、会津西街道へ。朝4時に会津田島に着いた頃には空が白み始めていた。さすがにこの時期、夜が明けるのが早いね。

会津田島で小休止した後、舟鼻峠経由で只見川第一橋梁を見渡す旧船着き場に着いたのは朝5時。
ただただ静謐な只見川、その川面に優美なアーチ橋が映り込んで、まるで奥会津の大きな瞳のように見えました。
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さらば愛しき駅

2012年09月13日 22時38分11秒 | 只見線

(画像:在りし日の田子倉駅)

「JR只見線 全線早期再開は困難 新潟」(産経ニュース)

昨年夏の新潟・福島集中豪雨によって寸断されたJR東日本の只見線、現在は新潟県魚沼市(旧入広瀬村)の大白川駅と福島県金山町の会津川口駅の間が不通になったままだったんですが、とりあえず10月1日から大白川と只見の間の運行を再開するらしい。まあ、この区間は長~いトンネルを持つ県境の区間だったんで豪雨の被害はそんなになかったのではないかと推測される。去年の豪雨以降鉄路としては陸の孤島になっていた福島県の只見町に、とりあえず新潟側からのアクセスが可能になったわけだ。この辺りを急いだのも、冬季間は県境のR252が通行止めになってしまうってのがあったのかな。去年の冬は事実上只見町からは新潟側に出られないと言う状況に陥ってたわけだし。
ただし、相変わらず只見~会津川口の区間は鉄橋が何本もズタズタになったおかげで復旧費用も半端ないらしく、JR東日本としても復旧には及び腰のようですね。費用対効果で言えばまったく採算が見込めない超閑散区間、被災する前でも日中3本しか列車が走ってない区間でしたからねえ。趣味人としては時間はかかっても全線復旧して欲しいとは思うけど、何となく岩泉線みたいに時間を経た上でみんなが諦めるのを待ってるんじゃないですかね。んで、最終的には「安全が…」とか言って廃止or休止してバス代行にしてしまいそう。

  

とりあえず只見の街に鉄道が戻って来る事にはなったのだが、そんな中でひっそりと発表されたのが田子倉駅の廃止。詳しい内容はリンク先に譲るとしますけれども、ねえ。使ってる人なんか皆無なんでなんら影響はないんでしょうけど、無駄なものが生きにくい世の中は趣味的には寂しいなと。そもそもこの駅自体スノーシェルターの構造物の一部みたいになってまして、廃止したからって列車が走る限りは撤去の対象にもならないのだと思いますが…さすがにこの超豪雪地帯でスノーシェルターごと作り変えるって事もないでしょうし、ホームや階段なんかそのままは残って行くのでしょうね。駅としては廃止されても、ホームは現存して列車は止まらず…ってのは博物館動物園駅みたいだが、あれもトンネルの中の駅でトンネル構造物の一部だからな。


どう見ても除雪機械の倉庫にしか見えない田子倉駅駅舎。右側の入り口の横に、「この付近だったら携帯(FOMA)が繋がりますよ!」って看板が付いてるんだけど、まあそういう場所です(笑)。ホントはいけないんだけど、駅を通って行くと湖のほとりに降りられるらしくって、ホームに降りて行く階段は田子倉湖で釣りをする連中の通路として使われてました。ハイシーズンになると階段の踊り場でテント張ってる釣り師もいたなあ…雨風はしのげるし人は来ないし、テント張るにはいい場所だったんだね。

私はR252六十里越ってかなり好きな道なんで、その六十里越の風景の一つだったこの駅にはそれなりの思い出もあります。
この辺りで一日何本も来ない只見線を撮った事もありますしね…
さらば愛しき駅、田子倉。
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橋の美術館が…

2011年07月31日 07時51分23秒 | 只見線
地震津波に原発被害、豪雨落橋がけ崩れ。ムリヤリ七五調にするこたあないが、今年の福島県の状況に関しては何と言葉をかけていいかその言葉が見当たりません。一昨日からの奥会津の大雨被害に続き今朝も浜通りで震度5強とか、どうなっちゃうのか方向性も覚束ないような…浜通り中通り会津とすべてが緊急事態の状況に追い込まれているように思えてならないですな。昨日から破間川とか只見川とか国道252号線とかJR只見線とか、映像で映っている場所にかなり見覚えがありまして…その中でも只見線の只見川にかかる橋梁群、甚大な被害のようです。


只見川第5橋梁(会津川口~本名)。下路曲弦ワーレントラス橋。いつもならこんな水の動きもない静かな川面なのだが、会津川口側(写真では右側)の土台部分が増水でえぐられてトラスの手前の1スパン部分が流失してしまったらしい。トラスが無事なのはニュース映像で確認したが、線路は宙吊りになってました。


只見川第6橋梁(本名~会津越川)。本名ダムのほとりにかかる上路ワーレントラス橋。ダムの下流側にあったのだが、あまりの大水に本名ダムが水門をフルオープンにした関係で橋台ごと持ってかれたようです。ちなみにダムの堤体の上を国道が走っており、そっちは無事だったようだが。


只見川第7橋梁(会津横田~会津大塩)。上路ワーレントラス橋。大モノ揃いの只見線の橋梁群の中では慎ましやかなサイズの鉄橋だったが、横田の集落から細い道を走って行くとある。橋の脇に小さな滝があったのだが、この橋のあたりは川幅も狭く流量の増加と倒木などの障害物でやはり一気に持ってかれたらしい。

軽い橋マニア(特にトラス橋)の私には、第一~第八の美術的橋梁群を縫ってのんびり走る只見線や、川と緑の山紫水明な風景、風土、食、温泉とかなり好きなエリアだった奥会津。落ち着いたらまた行ってみたいと思っていたし、行く筈だったのだが。
JR東日本も、津波被害の沿岸部で手一杯だと思うのだが、直す金あるのかなあ。
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