マグロ船 3

2012-09-25 | 過去の仕事(マグロ船)
シンガポールを出港し向かった先は、「アフリカ沖」。たしか、20日以上かかったような記憶があります。
この船は新しい船でしたので、その間に漁具作りを日々洋上で行っていきました。
船の乗り組み員もどういうわけか、寄せ集めた感じで、同じ船に乗っていた。。という顔見知りがほとんどいない状態。皆、互いの経歴を探りながら、様子見をしている感じがいたしました。
そしてその間に、やはりグループのようなものができてくるわけですね。私はダントツの若手。誰からも「小僧」扱いをされるわけで、結局それがいろんな方々の人間関係のもつれに巻き込まれ、かなりめちゃくちゃな扱いを受けることになったわけです。
今思えば便宜地籍船の走り。まだまだ日本の船から飛び出して冒険しよう、という船員さんは特殊な部類だったのかもしれません。

私の同室はスリランカ人。私の次に若手でしたが、日本の船の経験もあり、エンジニアとしての腕はなかなかのものだったようです。唯一のスリランカ人と小僧の私は船内での微妙な立場は一緒。このスリランカ人が居なかったらどうなってたんだろう、と、後から振り返ると、本当にいろいろ助けてもらった恩人ですね。

マグロ船ってどういうところ? と、聞かれることがしばしばあります。

たった50m程度の船に見知らぬ男同士が20名で共同生活。寝る時間も無く、仕事はきつく、娯楽などなく、そんな空間で半年間も他の世界から隔絶されていたらどうなると思う? と、逆に質問します。ましてや今のようにネットが発達している時代ではありません。ようやくGPSが普及し始めたばかり。インマルサット(衛生電話)がついていましたが、「もしもし」、と、話しをしただけで3000円を越える料金でしたので、簡単に使えるわけもなく、本当に「孤立」した世界なわけです。

陸からはるか離れた洋上、どんな奇跡が起こっても、陸上へたどり着くのはまず不可能。その点では、まだ監獄のほうが希望も自由もあるのでは? と、何度も思ったわけです。

漁具作りをしている頃はまだまだ気持ちにも余裕があり、景色を楽しむ(といっても水平線しか見えませんが)余裕もありました。

・・・船は一路アフリカを目指して南下していきます。





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2 コメント

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Unknown (スラバヤ)
2012-09-25 23:32:15
お疲れ様です。私は船乗りとしての腕は良くなかったのですが散髪の腕は高く評価されかなりの頭数こなしました。実家の隣が散髪屋さんでしたので跡取り息子の修行の為何度も頭を提供していた関係で理論?は習得しておりました。最近スリランカへのお誘いがありどうしたものかと考えています。第4話、もうすぐ漁場ですね。
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スラバヤさんへ (tare@)
2012-09-26 10:21:24
毎度様です。 船員さんって散髪上手い方、結構いますよね~。。  練習船で士官にやってもらい、めちゃくちゃにされたこともあります。(実は私が初めてだったらしい。。ww) と思えば、プロ並みの方もいらしたりして。。  このスリランカ人は、 前者のほうでした。 「大丈夫」っていうんで任せたら、どうせ半年船の上だからどんな頭でも大丈夫・・というオチでした。。笑
スリランカは内戦が落ち着き、私も気になっています。
写真の彼から時々電話がくるので、そのうち行ってみたいと思っております。
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