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「ナニワ・モンスター」海堂尊

2018年06月06日 | 本(その他)

報道加熱の行方・・・

ナニワ・モンスター (新潮文庫)
海堂 尊
新潮社

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浪速府で発生した新型インフルエンザ「キャメル」。
致死率の低いウイルスにもかかわらず、
報道は過熱の一途を辿り、政府はナニワの経済封鎖を決定する。
壊滅的な打撃を受ける関西圏。
その裏には霞が関が仕掛けた巨大な陰謀が蠢いていた―。
風雲児・村雨弘毅府知事、特捜部のエース・鎌形雅史、大法螺吹き・彦根新吾。
怪物達は、この事態にどう動く…。
海堂サーガ、新章開幕。

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私は先に「スカラムーシュ・ムーン」を読んでしまっていたので、
順不同で、本作で問題の新型インフルエンザ「キャメル」騒動の詳細を知ることになりました。
そこには政府の思惑もあるのかもしれないけれど、
報道の過熱の問題も大きいなあ・・・と思う次第。
以前の貴乃花親方の騒ぎのときとか、今回の日大アメフト部のこととか・・・、
昨今、昼下がりの情報番組をなんとなく見てしまうわけですが、
毎日毎日しつこくも似たような「推測」の上に「推測」を重ねる報道に、
嫌気が差してしまいます。
まあそれは余談ですが、こんな感じで毎日毎日キャメルの患者が出たとかワクチンがどうしたとか、
テレビの報道が続いたとしたら、そりゃー、パニックにもなりわすわね・・・。
しかもそれが、何やらあえての陰謀的な意図があるとしたら・・・
実にイヤラシイ!!


スカラムーシュこと彦根新吾の日本を3分割すべしという論は、
本作に詳しくその意図が記述してあったので、納得させられました。
けれども、「スカラムーシュ・ムーン」で、
ワクチンのための有精卵製造を始めることになった学生の物語の部分が一番面白かったように、
本作でも私は新型インフルエンザ患者を「発見」してしまった、
個人医院の話の部分のほうが面白く、好きでした。
地道に生きてて、まっとうな金銭感覚、倫理感覚の人々が登場するところは
ホッとするんですよね・・・。


「ナニワ・モンスター」海堂尊 新潮文庫
満足度★★★☆☆



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