捕縛されるジャンヌ
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フランスの王位継承をめぐるイギリスとの百年戦争のただなか。
「フランスへ行け。王を助けよ」との啓示をうけたジャネットことジャンヌ・ダルクは連戦連勝。
王太子の戴冠式をランスで行う。
しかしシャルル7世の命に反して行ったパリ奪還攻撃は失敗。
山賊ペリネ・グレサールにも大敗を喫し、戦いをともにしてきたベルトランまで失ってしまう。
連戦連勝のジャンヌに影が差す中、オルレアンの領主から贈られた深紅のマントを羽織り、
ジャンヌは戦いの道を進む決意を新たにする。
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山岸凉子さんによるジャンヌ・ダルクの物語。
しかしだんだん読むのがつらくなってきます。
当初の、神の啓示を受けてひたすら前進あるのみ、希望に燃えたジャンヌは見ていても楽しかった。
けれども、いつまでも幸運は重なってくれないし、
周囲の思惑は「正義」ではなくて、いかに動けば自分の有利となるか、そんなことばかり。
男社会の中の女性の立場が如実に表れますな。
ただしこの場合の「正義」というのも、完全に彼女から見た一方的な正義のわけですが。
このあたりで彼女はもう引き返せば良かった・・・。
平和な故郷の村へ・・・。
しかし、女の身でありながら常に先頭に立って戦うジャンヌは、
ついにコンピエーニュの戦いにおいて、敵軍に捕縛されてしまいます。
この当時のフランスは、かなり複雑にイギリスと入り乱れた構造になっていて、
フランス人だからといって、必ずしもフランス王を抱く完全なフランス独立を目指しているわけではない、
というあたり、これがジャンヌの立場の微妙さを生んでいるのですね。
そしてやがてジャンヌは異端審問にかけられることになりますが、
そこから先は続く・・・ということで。
まあ、続きを待たずとも結果は明らか。
歴史的事実がありますし、そもそも本作の冒頭は
いよいよ処刑される寸前のジャンヌの場面から始まるのですから。
となれば気になるのは、この最期の時にジャンヌが何を思うか、なのです。
これまで神を疑うことなどみじんもなかった彼女が、最期にどう思うのか。
次号を待ちましょう。
「レベレーション5」山岸凉子 講談社モーニングKC
満足度★★★.5
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