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「俳句いきなり入門」千野帽子

2019年08月25日 | 本(解説)

俳句はスリリングな言語ゲーム

俳句いきなり入門 (NHK出版新書)
千野 帽子
NHK出版

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俳句は風流な「お芸術」でも自己表現でもなく、最高のスリリングな言語ゲームだ。
知識ゼロでも楽しめる句会の開きかたから、
「季語は最後に決める」「口語より文語で作るほうがラク」といった
目からウロコの作句法まで、きれいごと一切抜きで書かれたラディカルな入門書。

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以前読んだ「人はなぜ物語を求めるのか」の著者のものだったので、読んでみました。
この、紹介文「季語は最後に決める」というところに、惹かれたのです。


というのもこれも以前読んだ俳句の入門書で、
とにかくまず季語を学習して季語を決めるように、
と、あったことに少なからず引っかかりを覚えてしまった私なので。


とはいえ、本書はこれまでの「俳句」入門を覆す、過激な入門書であります。
長く俳句に親しんできたご年配の方が読んだら、怒り出しそうな・・・。


俳句はポエムじゃなくて、自己表現でもなくて、スリリングな言語ゲーム。
季語は最後に選べ。
文語で作るほうが口語の100倍ラク。
・・・今まで聞いたこともない話ばかり。


そして、句会をやるべし!という。
でも、この句会というのが、今まで聞いてた句会とは少し違うのです。
自分では一句も作らない、「作らない句会」もありだというのです。
つまり、出し合った句の中からいいと思うものを選ぶのは同じですが、
その後の、区の解釈についてああだこうだと意見を出し合うことこそが
句会の醍醐味であり、意義であるというのです。
誰の句がいいとかより、どんな言葉でどんな発想が得られるのか、
時には自分で思ってもみなかった解釈を他の人が見出してくれたり・・・、
そういう知的ゲームこそが句会である、と。
だから千野氏は「公開句会」を企画したりもするそうです。
うん、それは面白そう、私も聞いてみたいです。


本巻、巻末に行くほど辛辣になってきまして、
これまでの俳句は
「・・・こんな私ってステキでしょ、ステキな私を見て!」
的なものが非常に多いし、
「だからどうした」と思うだけのものも多いといいます。
著者曰く「でっていうポエム」。
これを読むと、逆に俳句を作るのが怖くなってしまいそうですが、
つまりはこれまでの「俳句」のイメージなどすっかり忘れて、
自由に作れば良いということに尽きるかも。


例えば著者の一句。

よりによって花火の晩にそれ言うか

なるほど~。
心を柔軟にする、俳句の入門書でした!!


図書館蔵書にて
「俳句いきなり入門」千野帽子 NHK出版
満足度★★★★☆



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