映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

オレンジ・ランプ

2023年07月15日 | 映画(あ行)

理解の輪が広がれば

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39歳で若年性認知症と診断された丹野智文さんの実話を元にしています。

只野晃一39歳。
妻と2人の娘との4人家族。
営業職としては成績もよく、普通に幸せな毎日を送っています。
ところが、物忘れが度々起こることで受診し、
若年性アルツハイマー型認知症との診断を受けるのです。

なんと言ってもまだ39歳。
先のことを考えると不安に押しつぶされそうになる晃一。
妻は気を遣い、夫には何でもやってあげようとしますが、
夫はますます元気をなくしていきます。

しかし、あるきっかけで2人の意識に変化が・・・。

確かに、39歳で認知症と診断されたりしたら、
お先真っ暗で、人生に絶望してしまいそうです。
しかし、わたし達はその症状について、きちんとした情報をほとんど持っていない。
まあ、人によってその症状は様々ではありますが、
その進行はゆっくりである場合もある。

人の名前などを覚えられなくなったり、帰り道がわからなくなったり、
確かに困ることもあるけれど、でも大丈夫なことも多いのです。
そして認知症でもその人はその人。
多少記憶に欠落があろうとも、
いきなり何もできなくなってしまうわけではない。

とりあえずは「何でも」ではなく、本人が「困った」ことのみを助ければいい。

そのためには、家族や職場、そして地域の人々の協力も必要です。
家族内だけのことにして、隠してしまいがちですが、
オープンにした方が本人の活動範囲も広がります。
そして何より、多くの人が知らないことから来る認知症への偏見から逃れられるし、
困ったときには力を借りることもできる。
認知症だからといって人生をあきらめなくてもいいのだと、納得しました。

このような作品はぜひ多くの人が見て、理解が広まるといいなと思います。

<シネマフロンティアにて>

「オレンジ・ランプ」

2023年/日本/99分

監督:三原光尋

原作:山国秀幸

出演:貫地谷しほり、和田正人、伊嵜充則、新井康弘、赤井英和、中尾ミエ

 

若年性認知症理解度★★★★★

家族愛度★★★★☆

満足度★★★★☆

 



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