映画と本の『たんぽぽ館』

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大コメ騒動

2022年03月29日 | 映画(た行)

その日のコメも買えない!

* * * * * * * * * * * *

1918年(大正7年)8月。
富山の海岸に暮らすおかか(女房)たちは、毎日上がるコメの価格に悩んでいました。
多くの家の夫は夏の間北の海に出稼ぎにでています。
その間、妻たちは船にコメを積み込む肉体労働で稼いだ日銭を、
その日のお米代としてまかなっていたのです。
しかし相次ぐコメの値上がりで、その日の稼ぎでは間に合わなくなってきた。
そこでおかかたちは、集団でコメを安く売ってくれるように、
米屋に嘆願に行くのですが、おかかのリーダー格であるおババが逮捕されてしまい・・・。

当時、肉体労働者の食事はほとんど副食はなくて、コメ中心。
一人一日一升を食べた、というのですから、
値上がりはモロに家計に直結しますね。

このときのコメの価格高騰は、シベリア出兵の需要増を見込んで、
売り惜しみが起こった故というのですが・・・。
おかかたちは毎日重いコメの俵を運ぶ仕事をしているのに、
それを自分たちが食べることができない、
という矛盾に怒りをため込んでいったのでしょう。
デモもストライキも知らないおかかたちが、
大挙して米屋に押しかけるという自然発生的な流れは理解できますね。

しかし、金持ちのやり口はなんとも汚くて、おかかたちを一人一人切り崩していく。

「あの人の家は、旦那がいるから本当は困っていない。」

「いま止めれば、あんたのところだけ安く売ってあげる。」

等と、耳元でささやくのです。
どんな手を使っても、自分の懐を痛めたくないというイヤラシさ・・・。

結局富山で発生したこのコメ騒動は、たちまち全国にも波及し、
打ち壊しやら放火まで起こったりして、
ついには時の内閣総理大臣を退任にまで追いやったという大きな流れに繋がります。

さて、このように内容は深刻なのですが、実は本作コメディ仕立て。
でもなんだか笑えません・・・。
映画の狙いとしては、このような歴史があったことを知らしめつつ
笑い飛ばして欲しかったのかも知れないけれど・・・、
なんだかシリアスとお笑いのバランスが良くないというか、
いや、どう作っても笑えない話なのかも知れず、
なぜ今、このストーリーなのかということに釈然としない気がしてしまいました。

<WOWOW視聴にて>

「大コメ騒動」

2021年/日本/106分

監督:本木克英

出演:井上真央、三浦貴大、夏木マリ、吹越満、鈴木砂羽、室井滋

 

歴史発掘度★★★☆☆

満足度★★★☆☆

 



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