映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

孤狼の血

2019年04月11日 | 映画(か行)

警察小説×『仁義なき戦い』

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私、ヤクザ映画はどちらかというと避けるジャンルではありますが、
役所広司さん、松坂桃李さん出演ということに興味を惹かれ、見てみました。
ところが冒頭から強烈なバイオレンスシーン。
やっぱり見るのやめようかと一瞬思いましたが・・・。

広島県の架空都市呉原。
昭和63年暴力団対策法成立直前。
尾谷組が支配していた一帯に広島の巨大組織五十子会系加古村組が進出。
双方の抗争がくすぶり始めています。
そんな時、加古村組関連の金融会社社員が疾走。
所轄署に配属となった新人刑事日岡(松坂桃李)は、
ベテラン刑事大上(役所広司)と組み、捜査にあたります。
ところがこの大上は、暴力団と癒着し、金、女、暴力、手段を選ばない強引な手法を見せます。
そんな彼に嫌悪と反発を覚える日岡。
そんな中で、尾谷組と加古村組の抗争は更に激化していく・・・。



見るのをやめようかと思ったのもつかの間、次第に引き込まれていきます。
原作は「警察小説×『仁義なき戦い』」とうたわれていたそうですが、なるほど納得。



日岡は単なる正義感を持つ新人刑事ではなく、
ある別の使命を秘めていたという多層構造がミソです。
そして、どうにもならない悪徳刑事と見えていた大上の秘めた信念こそが、
私たちの胸を打つ。
「孤狼」とはつまり誰を指すのか。
まあ、“読み”の上でも明らかではありますが。


正義を実行するはずの警察組織も次第に闇の力に飲み込まれていく。
そんなときにでも本当の正義を胸の奥底にいだき続けることの強さと孤独。
・・・かっこいいです。

さて、ヤクザを演じる皆さんのなんとも迫力のあること。
男性俳優の方は、いつかこんな役をやってみたかった、
と思っていたのではないかな。



江口洋介さん、音尾琢真さん・・・堂に入っている! 
おや、中村倫也さんまで。

そして、ピエール瀧さんがいい役どころで出演していました!
本作、2~3ヶ月前くらいのWOWOW放送を録画してあったものなのです。
もう少しあとなら、放送中止になっていたのかもしれません。
こういう役どころができる人ってそう多くはないので、
やはりぜひとも、いつか戻ってきてほしいです!


孤狼の血 [DVD]
役所広司,松坂桃李,真木よう子,中村獅童,竹野内豊
TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)

「孤狼の血」
2018年/日本/126分
監督:白石和彌
原作:柚月裕子
出演:役所広司、松坂桃李、真木よう子、滝藤賢一、音尾琢真、中村倫也、江口洋介、ピエール瀧

壮絶度★★★★☆
満足度★★★★☆