映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

この愛のために撃て

2011年09月26日 | 映画(か行)
正義の顔をした“悪”と、義侠心あふれる“悪人”



               * * * * * * * *

フランス作品です。
冒頭、いきなり一人の男が何物かに追われて、
必死でビルの階段を駆け下りるシーン。
目が惹きつけられますね。
彼は逃げて逃げて、結局バイクにひかれて病院へ運ばれるのですが・・・。
看護助手のサミュエルは、その病院に勤務しています。
彼は妊娠中の妻を誘拐され、
昨夜運び込まれた男を病院から連れ出すように、と要求されます。
サミュエルは訳もわからず要求に従うのですが、
やがて警察から追われる身となりながらも、妻を取り戻すために奔走を続けます。


スピーディで、途切れない緊張感。
実に意外な“悪”の正体。
冒頭で逃げていた男は、実は強盗で指名手配を受けているサルテ。
このドラマは、正義の顔をした“悪”と、
義侠心あふれる“悪人”が交差しているので、全く油断なりません。
また、この妻を救おうと必死になる男が、
ごく普通というか普通以上に生命を大事にする看護助手というところも、いいですね。
多分銃など手にしたこともない。
だから、私たちはなみ以上に彼に共感してしまいます。
そして、妻が妊娠中で大きなお腹を抱えているというのもまた、
並以上にスリルを誘います。

がんばれ、あきらめるな!!


「この愛のために撃て」の邦題は、
フレッド・カヴァイエ監督の前作「すべて彼女のために」に関連して付けたのでしょうね。
少し甘すぎる気がしますが、でも悪くはないか・・・。
一応の決着を付けた後で、後日談があるのですが、
そこでまた痛く納得してしまった私。
オススメです!


それにしても、刑事ヴェルネール役のジェラール・ランバン、渋いっすねー。
ここでは、こんな役でしたが・・・。
ジャン・レノといい、このジェラール・ランバンといい、
フランス男性のなんと渋みがあってカッコいいこと。
また、ハマりそうです・・・。

2010年/フランス/85分
監督:フレッド・カヴァイエ
出演:ジル・ルルーシュ、エレナ・アナヤ、ロシュディ・ゼム、ジェラール・ランバン、ミレーユ・ペリエ