MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『海炭市叙景』 60点

2010-12-27 23:57:02 | goo映画レビュー

海炭市叙景

2010年/日本

ネタバレ

函館に行く気分にはなれない

総合★★★☆☆ 60

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 佐藤泰志の未完の短編小説『海炭市叙景』の中の18の短編から5つを選び出して組み立てられ、後に主人公になる2人の小学生がいる学校から始まり、立ち退きを拒否したまま玄関先で飼い猫を撫でている年老いた女性で終わるまでの物語の構築の仕方に工夫は見られるのであるが、とにかく物語の内容が暗過ぎてユーモアが全く感じられないために見ていて楽しくない。ユーモアはあったのかもしれない。例えば、主人公の目黒晴夫がプロパンガスのタンクを運んでいる最中に誤って足に落としてしまい、タンクを退けられない状態で苦悩している目黒に気がついた近所に住んでいる男がタバコを吸い始めて、それを目黒に一服吸わせるシーン。例えば、泥酔してバーに入って来た‘金持ち’の男が、閉店ということで一度追い出されながら再び上半身裸で入店してきたシーン。これらのシーンがギャグであるならば完全にスベっていると思う。目黒が足の親指に巻いていた包帯を外して見せる傷口が、観客に対して同情を強制するようで‘はしたない’シーンだと感じた。
 タイトルにもあるようにこの作品はあくまでも‘叙景’であるために、個々の内面を深く描くことがない分、感動も薄い。ジャ・ジャンクー監督のように完璧なアングルを追求することもなく、エリック・ロメール監督のようにダイアローグにウィットを織り交ぜることもなく、佳作になりそこねた作品になっている。


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