MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『武士の一分』 80点

2012-12-27 19:43:59 | goo映画レビュー

武士の一分

2006年/日本

ネタバレ

武士以外の一分

総合★★★★☆ 80

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 本作における疑問は「毒見役をしていて毒にあたって失明した武士の禄を取り上げる家中などというものがあるだろうか」という点なのであるが、問題なのは赤つぶ貝の毒にあたった三村新之丞が自身の体調の悪さを武士の体面(=一分)を保とうとするあまり倒れるまで隠そうとしたことにより、危うく藩主が赤つぶ貝を口にしそうになったことであろう。
 新之丞の言動の不可解さはそれのみならず、例えば、失明してしまった三村との生活を考え、海坂藩番頭である島田藤弥を頼ろうとするものの、その代償に3度の関係を持ってしまった妻の加世に激昂し、孤児で身寄りの無い加世を家から追い出してしまうのであるが、後に家禄の保持は実は藩主の温情によるもので、島田は全く関わっていなかったことを知り、加世を騙したということで新之丞は島田と果し合いをする。しかし島田に騙されていようがいまいが身寄りの無い加世を家から追い出してしまう新之丞には妻に対する愛情以上に‘武士の一分’が大切なのであろう。
 要するに本作で描かれていることは、家から追い出された加世の世話を密かにしていた中間(ちゅうげん)の徳平の‘武士以外の一分’の重要性なのであり、新之丞はあくまでも‘狂言回し’にすぎないのである。


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