MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ソワレ』

2020-09-21 00:38:27 | goo映画レビュー

原題:『ソワレ』
監督:外山文治
脚本:外山文治
撮影:池田直矢
出演:村上虹郎/芋生悠/岡部たかし/康すおん/江口のりこ/石橋けい/山本浩司
2020年/日本

無理強いの孤独の旅について

 映像の美しさは申し分なく演出も素晴らしく、例えば、夜中に部屋の中で向かい合っている主人公の岩松翔太と山下タカラの背後の壁に映る2人の影が本人たちと関係なく戯れるシーンなどシャレていると思う。
 ところがストーリーの方は考えれば考えるほど理解できなくなってくる。タカラは実の父親に性的暴力を受けていた。ある日、その父親が出所してくるという通知をタカラは受け取り、その後2020年7月11日に父親がタカラが住むアパートにやって来て、再び性的暴力を受けるのだが、たまたまタカラを迎えに来た翔太が発見してタカラを救うものの、タカラが父親の腹部をハサミで刺してしまい怪我を負わせる。それを見た翔太がタカラを連れて逃走をはかるのだが、どう考えてもタカラは被害者なのだから逃げる必要はなく、せめて電車に乗るあたりでタカラの部屋で父親が刺されているのだからどうやっても逃げきれないことに冷静になって気がついてもいいと思う。逃げなければならないとするならば、翔太は高齢者を狙ったオレオレ詐欺の「受け子」をしているために警察とは関わりたくないであろうから、それはタカラではなく翔太の都合なのである。
 しかし翔太が関わっている詐欺グループが摘発されたのは2人が逃走をはかった後で、辻褄が合わないし、ラストは翔太が所属している劇団で翔太が練習に参加しており、つまり詐欺に関してバレなかったということになり、タカラが姿を現さないのは捕まったということを暗示させ、ますます訳が分からないのである。引用されている「安珍・清姫伝説」と物語が上手くかみ合っていないし、オチが秀逸なだけに惜しいと思う。


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