MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『瞳の奥の秘密』 100点

2010-09-29 23:43:18 | goo映画レビュー

瞳の奥の秘密

2009年/スペイン=アルゼンチン

ネタバレ

死刑制度について

総合★★★★★ 100

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 誤解のないように指摘しておきたいが、主人公のベンハミン・エスポシトは決して過去に囚われて前に踏み出せないでいるわけではない。ベンハミンは親友のパブロ・サンドバルが自分の身代わりの殺されたことで身の危険を感じてアルゼンチンのフフイ州に逃避して、離婚を経験してはいるが、そこで連邦司法職員として定年まで勤めている。それに‘過去に囚われて前に踏み出せないでいる’男はラストに現れる。その上、皮肉なことにリカルド・モラレスのイシドロ・ゴメスに対する行為は殺された彼の妻のリリアナ・コロットに対する愛故である。
 果たして24年間の‘終身刑’は純粋な愛が間違って見せてしまったグロテスクな面なのか、盲目の愛の成れの果てなのか判断に迷うが、もしかしたら死刑制度というものは残された遺族が加害者と共に被害者も忘却の彼方に葬る手段なのかと考えると、愛に残酷な面しか見出すことができず、ラストシーンでイレーネ・メネンデス・ヘイスティングスがベンハミンに言った「簡単にはいかないわよ」という言葉が必要以上に重く心に突き刺さる。
 ミステリーをベースに、絶妙の間と共にウィットに富んだセリフと、美しい映像の構成(特に冒頭のイレーネの霞んでいく瞳からラストシーンの彼女のアップの顔までの様々な瞳の連係の長い道程!)まで非の打ち所がない。


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