MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『せかいのおきく』

2023-05-24 00:57:52 | goo映画レビュー

原題:『せかいのおきく』
監督:阪本順治
脚本:阪本順治
撮影:菅原有希子
出演:黒木華/寛一郎/池松壮亮/眞木蔵人/佐藤浩市/石橋蓮司
2023年/日本

究極の「便映画」について

 『土を喰らう十二ヵ月』(中江裕司監督 2022年)が究極の食の映画だとするならば、本作は究極の便の映画と見なせるだろう。描かれた時代は安政5年の初夏から3年後の晩春までで、丁度大老の井伊直弼が命じた安政の大獄から、その井伊直弼が暗殺された安政7年の桜田門外の変が起こった時期と重なるのだが、政変ごときでは当時の便の事情などほぼ何も影響はない。
 当時の排泄物の処理の仕方が具体的に描かれており、とても分かりやすいと思ったが、それだけではなく、例えば主人公のおきくが父親と政敵の諍いに巻き込まれて声を失ったことは、上流階級の言葉を口にできなくなり事実上武家という階級から降りたことを意味し、その後おきくが「汚穢屋」の中次と付き合える「口実」になったと思うのである。8年後の1868年に明治が訪れる。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/shueisha/trend/shueisha-128911


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