MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『トリとロキタ』

2023-04-08 00:58:00 | goo映画レビュー

原題:『Tori et Lokita』
監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ/リュック・ダルデンヌ
脚本:ジャン=ピエール・ダルデンヌ/リュック・ダルデンヌ
撮影:ブノワ・デルボー
出演:パブロ・シルズ/ジョエリー・ムブンドゥ/アルバン・ウカイ/ティヒメン・フーファールツ/マルク・ジンガ
2022年/ベルギー・フランス

映画における「解放感」について

 作品冒頭から主人公のロキタの顔のアップ。どうやらロキタはベルギーで職を得るためのビザの申請をしているようなのだが、「弟」のトリはビザを取得しているのにロキタはトリとの関係を疑われてなかなかビザを取れず、その間にトリが学校に通っている間にロキタは危ない「運び屋」を生業にしている。
 個人的に気になるのはストーリーよりも映像の方で、主人公に限らずとにかく顔や頭のアップが多い上に、常に舞台は室内で映画としては通常あり得ない演出で、ダルデンヌ兄弟の兄の方はもう70歳を過ぎているから、衰えるのも仕方がないと思っていたらクライマックスを見て、それまでの映像の「窮屈さ」はこの最後のシーンの壮大な伏線だったのかと驚かされ、何ならその要因を取り払った人物は私たち観客の思いを肩代わりしたような錯覚に囚われるのである。「映画」というものが何かを知っている人たちならではの演出である。
 2人がカラオケで歌っていたシルヴィ・ヴァルタンの「恋のショック」を和訳しておきたい。

「Si je chante」 Sylvie Vartan 日本語訳

もしも私が歌うならば
それはあなたのため
あなたのため
そう、あなたのためなのよ
申し訳ないけれど泣かないで欲しい
あなたの涙を乾かして欲しいの

私があなたを愛していると彼があなたに言ったから
あなたはそれを信じたのね
あなたが事実を知ったのは同じ日の晩だった
今日あなたは泣いている
あなたは彼があなたの一番の親友とキスをしていることころを見たのだから

もしも私が歌うならば
それはあなたのため
あなたのため
そう、あなたのためなのよ
泣かないで
あなたならそれを忘れられるわ
あなたなら涙を忘れられるから

やり直すことが難しいのは私には分かっている
私のことを信じて
私のことを信じて欲しい
葛藤しなければならない
だってあなたは15歳で
長い間希望していた本当の幸福を見つけるつもりなのだから

もしも私が歌うならば
それはあなたのため
あなたのため
そう、あなたのためなのよ
私と一緒に歌って涙を忘れるべきなのよ
もしも私が歌うならば
それはあなたのため
あなたのため
そう、あなたのためなのよ
私と一緒に歌って涙を忘れるべきなのよ

Sylvie Vartan - Si je chante (Audio)
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/sankei/entertainment/sankei-_entertainments_VG2GLYIFF5M4RLS5VWBE7GKIK4


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