MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ナイトメア・アリー』

2022-04-08 00:58:33 | goo映画レビュー

原題:『Nightmare Alley』
監督:ギレルモ・デル・トロ
脚本:ギレルモ・デル・トロ/キム・モーガン
撮影:ダン・ローストセン
出演:ブラッドリー・クーパー/ケイト・ブランシェット/トニ・コレット/ウィレム・デフォー
2021年/アメリカ

自分自身を知るための長い旅路について

 どうやら主人公のスタントン・“スタン”・カーライルは憎しみを抱いていた父親を焼き殺したようで、その後、列車やバスを乗り継いでたどり着いた場所が移動形式の見世物小屋で、「獣人(Geek)ショー」がスタンの人生を変えることになる。
 その見世物小屋で働き始めたスタンはピートとジーナのクルンバイン夫妻から「読心術」を学ぶと、モリーを連れてその見世物小屋から逃げ出した。
 2年後にはスタンとモリーの「読心術」のショーは大盛況で、スタンはリリス・リッター博士と知己を得たことでリリスから仕入れた情報で「降霊術」まで手を染めて、有力者から大金を得ようとするのであるが、モリーは気乗りがせず、リリスからも協力を断られるのであるが、スタンはリリスの事務所から情報を盗み出す。
 スタンはエズラ・グリンドルを騙すためにモリーにエズラが会いたがっている亡き妻を演じさせるのであるが、エズラに捕まったモリーを救うためにスタンはエズラのみならずエズラのボディーガードも殺してしまう。
 逃走するためにスタンは預けていた金を受け取りにリリスの事務所に行ってそれまで預けていた金を受け取るのだが、リリスがスタンに向かって「本当に愛しているから(I do love you)」という言葉に不信感を抱き、アタッシュケースに入っていた札が1ドル札ばかりだったことに気がつくのである。ここは本作の見せ場だと思うのであるが、ここまでスタンはモリーも含めて金銭だけで人脈を作ってきている。両親の愛情を知らない人間の特長なのだが、他者の愛情というものを信じられないスタンにとっては「本当に愛しているから」という言葉が典型的な嘘なのである。
 その後、警察から逃げ延びたスタンは再び見世物小屋にたどり着き、酒を飲もうとすると「ただで飲めると思うのか?」と問われたスタンは父親の形見だった腕時計を渡して酒を飲む。そして翌日、スタンは見世物小屋の主人に「獣人(Geek)」になってショーに出演することを勧められて快諾する。ようやくスタンは父親に対する恨みの呪縛から解放され、自分自身が何者であるのか分かったのである。ギレルモ・デル・トロ監督の集大成的作品ではないだろうか。

gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/eiga_log/entertainment/eiga_log-130169


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