MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『早春物語』

2014-11-12 00:44:40 | goo映画レビュー

原題:『早春物語』
監督:澤井信一郎
脚本:那須真知子
撮影:仙元誠三
出演:原田知世/田中邦衛/由紀さおり/仙道敦子/平幹二朗/林隆三
1985年/日本

 主演よりも脚本家が気になる作品について

 私がこの作品に興味を抱く理由は、主演が原田知世だからということではなく、脚本が那須真知子だからということに尽きる。翌年に公開された『化身』(東陽一監督 1986年)については既に書いたように決して悪い作品ではないが、那須が「ビー・バップ・ハイスクール」シリーズの合間に書いたということもあるのか、本作の主人公の沖野瞳はかなりエキセントリックな性格である。
 しかし例えば、そのようなませた少女の沖野瞳の相手をすることになる42歳で独身の梶川真二が乗っている車のナンバーが「品川58 と 59-63」で「ご苦労さん」と読ませるところや、ラストシーンでアメリカに向かうために成田空港にいる梶川を見送りに来る沖野瞳に、『探偵物語』(根岸吉太郎監督 1983年)のラストシーンで演じられた薬師丸ひろ子と松田優作との空港でのディープなキスシーンの再現を避けるようにキスをさせなかったところに工夫は感じられるのである。まさか約20年後に『デビルマン』(那須博之監督 2004年)という「事故」が起こることなどまだ誰も想像していないだろう。
 因みに沖野瞳の友人の沢田真佐子が教師の横谷と出てきたラブホテルの向かい側には語学学校のアテネ・フランセがあるのだが、実際にあったのかどうかは寡聞にして知らない。


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