MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『デビルズ・ノット』

2014-11-24 00:23:56 | goo映画レビュー

原題:『Devil's Knot(悪魔の集団)』
監督:アトム・エゴヤン
脚本:ポール・ハリス・ボードマン/スコット・デリクソン
撮影:ポール・サロシー
出演:コリン・ファース/リース・ウィザースプーン/デイン・デハーン
2013年/アメリカ

悪魔に関わりたがる者たちについて

 1993年のアメリカ合衆国アーカンソー州ウェスト・メンフィスで起こった8歳の男児3人の殺人事件「ウェスト・メンフィス3」を基にした作品である。ヘビーメタルとオカルト映画をこよなく愛する3人の若者が猟奇的殺人事件の容疑者として疑われることになったのであるが、この「シナリオ」に疑問を呈して独自に捜査を始めた主人公の私立探偵のロン・ラックスには見逃せない動機があった。彼の仕事場にはロバート・ジョンソンのポスターが貼ってあり、「十字路で悪魔に魂を売り渡して、その引き換えにテクニックを身につけた」という神話(「Cross Road Blues」)を持つミュージシャンが好きな者としては、ブルースの発展形のヘビーメタルを否定されることは我慢ならなかったはずである。
 しかし皮肉なことに弁護士資格を持っていないロン・ラックスは法廷で発言することが許されず、博士号を「通販」で購入した「オカルト専門家」のデイル・グリフィスが法廷で自分の意見を述べられるのは、当時のオカルトに対する社会的スタンスが定まっていない何よりの証拠であろう。
 結局、犠牲者の一人であるスティーブ・ブランチの継父であるテリー・ホッブスが疑われたが、テリーは自殺してしまい、レストランの女子トイレで泥と血にまみれて座っていた黒人男性は見つからないままで、目新しい情報はないのであるが、法廷劇としては最後まで緊張感が途切れることはない。


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