原題:『Winter's Tale』
監督:アキヴァ・ゴールズマン
脚本:アキヴァ・ゴールズマン
撮影:キャレブ・デシャネル
出演:コリン・ファレル/ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ/ジェニファー・コネリー
2014年/アメリカ
心に響かない「City of Justice」について
主人公のピーター・レイクの父親は1895年にマンハッタンに移住しようとした際に、健康診断の結果、「肺結核(phthisis)」と診断されて妻と共に移住を拒否され、仕方が無く赤ん坊だった息子のピーターを小型ボートに乗せて密入国させる。
肺結核と診断された父親の背中に書かれた「P」は「phthisis」の「P」であり、その「P」は息子の「ピーター(Peter)」に受け継がれ、その後ピーターを育て、袂を分かつパーリー・ソームズ(Pearly Soames)の「P」とも呼応し、「Pの物語」として語られるはずだったと思うが、突然現れる白い馬によって本作はファンタジーと化す。もちろんファンタジーならばファンタジーでかまわないのであるが、パーリーが率いるギャング団からピーターが逃げ出した理由が明確にならず、ベバリー・ペンとアビー・ゲームリーの関係もよく分からず、 ウィル・スミスが演じる判事(ルシファー)の役割も不明で、ウィリアム・シェイクスピアの『冬物語(The Winter's Tale)』とリンクすることもなく、要するに物語に深みが全く感じられないのである。興行的に大失敗した理由が納得できる作品ではある。