Charlene - I've Never Been To Me • TopPop
昨夜のBS-TBSで放送された「SONG TO SOUL」はシャーリーン(Charlene)の
「愛はかげろうのように(I've Never Been to Me)」を取り上げていた。作者の一人である
ケン・ハーシュ(Kenneth Hirsch)に拠るならば、この曲はパッヘルベル・カノンのコードを
ベースにしているらしい。最近の曲で例を挙げるならばAKB48の「ラブラドール・レトリバー」
で、だから似ているように聴こえるのである。1977年に初めてリリースされた際には、
手ごたえはあったものの、97位どまりで、シャーリーンは引退してイギリスに戻って
しまったのであるが、1982年にラジオのプログラムディレクターだった
スコット・シャノンが、以前ガールフレンドが好んで聴いていたこの曲を「リクエスト競争」
としてオリビア・ニュートン=ジョンの、当時大ヒットしていた曲「フィジカル(Physical)」
と競わせた結果、勝ってしまい、そのフロリダのラジオ局の企画がやがてアメリカ全土に
波及したということである。
ところで「愛はかげろうのように」の和訳なのであるが、どうも納得しかねるもの
だったので、ここに日本語訳を記しておく。
「I've Never Been to Me」 Charlene 和訳
ねえ、あなたは自分の人生を呪っているようね
不機嫌な母親であり夫に厳しく管理された妻として
あなたは自分が絶対にしないようなことを夢見ていることは間違いないけれど
私があなたに話したいと思うように
誰かが私に話してくれたらと私は悔やんでいるの
私はジョージアにもカリフォルニアにも
私が走っていけるところにはどこにでも行った
私は「説教臭い男」の手を取って
太陽の下で愛し合ったけれど
顔なじみになる度にその場所から逃げ出した
だって私は自由でなければならなかったから
(=特定の相手と付き合える立場になかったから)
私は楽園には行けたけれども自分自身にたどり着くことはなかったの
ねえ、どうか行かないで欲しい
だって今日(こんにち)私が孤独でいる理由を
あなたに教える必要があると思うから
あなたの瞳の中にはいまだ生き生きしたかつての私の姿を何度も見ることができる
数えきれないほどの嘘を重ねた弱い心の一部分でも分かち合いましょうよ
私はヨットでシャンパンをすすりながら
ニースにもギリシアの小島にも行った
モンテカルロではジーン・ハーロウを気取って
私が得たものを彼らに見せびらかした
私は「大物たち」に脱がされて
女性が見るべきではないものを見てきたの
私は楽園には行けたけれども自分自身にたどり着くことはなかったの
上記の和訳から分かるように、この曲は普通に結婚して子供を持つことができなかった
高級娼婦が語る歌である。この曲が70年代ではなく、80年代になるのを待ってヒットした
理由はここにあるような気がする。この曲が「フィジカル」と競わされた理由に女性の
地位向上が関係していることは間違いないであろう。
(ジーン・ハーロウ Jean Harlow)