原題:『Mademoiselle C.』
監督:ファビアン・コンスタン
出演:カリーヌ・ロワトフェルド/スティーブン・ガン/カール・ラガーフェルド/トム・フォード
2013年/フランス
ファッション雑誌風のドキュメンタリー映画について
本作は、フランス版「VOGUE」誌の編集長を10年間勤めた後に、59歳で自らのイニシャルからなる新雑誌「CR Fashion Book」を創刊したカリーヌ・ロワトフェルドのプロモーションビデオの域を出ず、彼女に興味が無ければ全く面白くはないが、そのファッション雑誌が一本の映画を製作できるくらいに手が込んだものになっているということは分かる。
21世紀の雑誌ともなると、情報過多の中で、例えば、ナタリー・ドロン、アンナ・カリーナやフランソワーズ・サガンなどの既成のイメージを利用することは避けられないのかもしれないが、撮影現場で日本人の写真家の荒木経惟のスタイルが共通の認識になっていることには驚かされる。
会場を後にして車に乗り込んだカリーヌが、「どうせカメラマンたちはスカーレット・ヨハンソンを撮りにきているのよ」と発言している。『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』(ジェフ・ワドロウ監督 2013年)で抱いた疑問が解消されたように感じた。