原題:『PRISONERS』
監督:デニス・ヴィルヌーヴ
脚本:アーロン・グジコウスキ
撮影:ロジャー・ディーキンス
出演:ヒュー・ジャックマン/ジェイク・ギレンホール/ヴァイオラ・デイヴィス/マリア・ベロ
2013年/アメリカ
「囚われ」てしまう宿命について
主人公のケラー・ドーヴァーは、娘のアナたちを誘拐した容疑で逮捕されたものの証拠不十分で保釈されたアレックス・ジョーンズを拉致して実家に監禁して拷問で白状させようとする。それは捜査官のデヴィッド・ロキが容疑者探しの過程において、幼児性愛者で神父のパトリック・ダンが、多くの子供を誘拐したと告白したためにさらなる犯罪を防ぐために地下室に閉じ込めて白骨化させた男を発見することと符合する。良かれと思ってすることが却って新たな犯罪と化してしまうのである。
さらにボブ・テイラーの出現によって事件は混迷を極めることになるのであるが、ここでは敢えて「怪しさ」を疑うことが要求されているように見える。それはラストにおいてそばにいるのに見つけることができず、微かな「音」を手掛かりとしてようやくロキは自分がほんの少しズレていることを理解し、正しい位置を見出すことからも分かるように、私たちの視線はどうしても固定観念に囚われてしまいがちなのであり、タイトルは実は私たち自身のことであろう。作品の前半は重苦しいストーリー展開であるが、後半になると一気にエンターテイメントとしてまとめ上げたところが素晴らしい。