原題:『ぼくたちの家族』
監督:石井裕也
脚本:石井裕也
撮影:藤澤順一
出演:妻夫木聡/池松壮亮/原田美枝子/長塚京三/黒川芽以/ユースケ・サンタマリア
2014年/日本
「セブンスオピニオン」の可能性について
この手の作品であるならば、もう少しディテールにこだわりがあった方が良いと思う。例えば、主人公の若菜浩介の父親の克明が作っていた6000万円以上の借金の原因は新興住宅地に建てた一軒家の住宅ローンと早期退職して独立した会社によるものらしいのであるが、「バブル世代」ならばそろそろ解決済みであるはずの問題をいまだに引きずっており、こじらせることが無きにしも非ずだとしても、2人の息子たちがその事実をいままで知らなかったということは考えにくく、母親の玲子までが家族に内緒で300万円の借金は生活苦というよりも奢侈によるもので、一緒に暮らしていた克明がそんな妻の借金を知らなかったということも含めてなかなか感情移入しにくい。
玲子と浩介の妻の折り合いが悪い理由もはっきりせず、家族でありながら交流の薄さが気になるのではあるが、医者のセカンドオピニオンならぬ、「セブンスオピニオン」を弟の俊平が見つけ出してくるところなど、難病を患っている人たちの励みにはなると思う。