毎日新聞朝刊(2009年12月20日)に文化人類学者の青木保がクロード・
レヴィ=ストロースに関する面白い逸話を書いていたのでここに記しておきたい。
「レヴィ=ストロース氏がカリフォルニア大学バークレイ校の招聘教授をしていた
とき、ある夜、ご夫人と一緒にレストランで食事をしようとしたが、予約をとっていな
かった。客の行列に加わると、ボーイが番がきたら呼びますといって名前を訊か
れた。名前を言うと、とっさにボーイがこう訊いた、The pants or the books !
(ズボンの方、それとも本の方)」。“本の方”というのは勿論レヴィ=ストロースの
ことであるが、“ズボンの方”というのはリーバイ・ストラウス(=Levi-Strauss)という
ジーンズメーカーである。この逸話を読んで、はたして凄いのはレヴィ=ストロース
の方なのかボーイの方なのか私は思案しているのである。