梶原しげるの「プロのしゃべりのテクニック」 梶原しげる:【84】速読術は、どれくらいすごいのか(日経ビジネスアソシエ) - goo ニュース
「速読は、文字を数行まとめて、塊の映像として脳にインプットする。したがって、
意味や情報は超スピードで頭に入るが、感情は受け止めにくい。文字情報を素早く
入手するには有効な技だが、細やかな感情を読み取るのには向かない」という結論
を読んで私は文藝批評について考え込んでしまった。たとえば福田和也という文芸
評論家がいるが『ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法』というタイトルの本まで
出版してしまっているこの人の『作家の値うち』というブックガイドにはたして“値うち”
があるのだろうか?速読による文芸批評は正しくないという事にならないだろうか?
それとも速読によってなされた文芸批評でも速読の読者にとっては有益なので
あろうか? これは文学界において意外と大きな問題をはらんでいると思うのだが、
多分そこまで考え込むほど文学を愛している人はもういないのだろう。文芸批評は
このようにして雑と化していくのである。