よく耳にする言葉だけれど、実は意味をろくに知らない言葉って誰にでもあると思う。
早乙女という言葉。芸能人などに早乙女という姓の人がいた記憶があるのでなんとなく人の名字なのだと思っていた。
けれど、それは、早乙女という漢字を見て、なんとなく美しい名字だなと思っていた。
昨年、公民館で行われていて、僕が参加していた歌声サロンが、コロナのため無期限の延期ということになってしまった。
その歌声サロンのピアノ伴奏をされている先生は、即興演奏の得意な方で、今日を最後にコロナのために無期限で歌声サロンを延期するというときに、夏は来ぬ という唱歌を演奏してくださった。もう一年近く前のことなので、どんな演奏だったかは記憶から遠ざかってしまったけれど、夏は来ぬ の主題を中心にムード音楽っぽく即興でアレンジしたような感じの演奏だった。
なので、クラシックの音楽のような感じでタイトルをつけるとそれは「夏は来ぬの主題による即興曲」ということになるのだろうか。
演奏が終わったあと、ピアノ伴奏の先生は、この歌は、唱歌の中ではもっとも好きなもののひとつ、と何気につぶやくようにおっしゃった。
そのことも妙に僕の記憶に残っていた。
それで、今は、立夏も季節的に近づいてきたので「夏は来ぬ」の歌詞を見てみた。
2番はこんな歌詞になっている。
“”
五月雨の そそぐ山田に
早乙女が 裳裾ぬらして
玉苗 植うる 夏は来ぬ“”
僕は、58年と半年あまり生きてきて、早乙女という言葉が実際の文章の中で使われているのを、この歌詞で初めて見た。
いやあ、知ってそうで知らない言葉ってあるんだなと思った。
しかし、実際の文章の中で使われる早乙女っていう言葉、なんて美しいんだろうと思う。
辞書で早乙女を引くと、田植えをする(若い)女性 という語義が出ている。
そうだったのか、早乙女というのは田植えをする女性のことだったのかと初めて知った。
早乙女が田植えをするのは女性の生命力にあやかる、という意味もあるというような説明がしてあるサイトもあった。
それもなるほどど思う。
苗に玉をつけて玉苗というのも美しいなと思う。
玉ってようするに大切なものという意味だろう。玉苗、大切な苗を植える。
裳裾は衣服の裾。田植えをする女性の衣服の裾が濡れている、
そういう様を想像するのもいいものだなと思う。
伴奏の先生がこの歌が好きと言ったのは、歌詞が好きだったのだろうか、メロディが好きだったのだろうか、歌詞を見ると一体どちらなのだろうとそのことも気になってしまう、、、。