ケンのブログ

日々の雑感や日記

神宮のお茶会

2018年09月10日 | 日記
昨日は自宅近所のM神宮のお茶会に行った。
雨模様のお天気で神宮の境内もしっとりしていた。
受付をすませて待ち合い室の床に掲げられている目録を見た。
お茶室のお軸は不如茶味清と書いてある。
不如は漢文の重要句法のはずだけれど
一瞬読み方がわからなくなる。
そこでちょっと席をはずして僕の鞄の置いてある場所に戻る。
タブレットのGoogleアプリに不如と入れると
しかずと読むと出ている。
例文も明記してあって
百聞不如一見
百聞は一見にしかず
と書いてある。
なるほどと納得。
すると不如茶味清は茶の味は清いにしかずかと見当をつける。
目録を見るといろいろなお道具の名前に
露の文字が散見される。
そういえば今は二十四節気の白露の頃だなと思いがいたる。
待ち合いのお軸には◎◎扶桑派と書いてあった。
待合室で回りの人の会話を聞いていたら
ある先生が扶桑は◎◎という意味ですよとおっしゃっているのが
聞こえてくる。
その先生の近くに言って
扶桑ってどんな意味ですかともう一度聞いてみた。
するとその先生は「扶桑は日本という意味だそうです」とおっしゃった。
「扶桑は日本という意味ですか。それはええこと聞きました」と僕は言った。
「愛知県に扶桑という町があるのでちょっと気になったんです」
「そうですか」と先生は言った。
お茶室に入るとご亭主の先生が
「不如茶味清は茶味はすがしにしかずと読みます。
一杯のお茶の味ははすがすがしいにこしたことはない。
だから今日のお茶席では
お茶は一服しか出ません」とおっしゃった。
そうか、すがしと言うのかと思った。
小椋圭さんの歌にシクラメンの香りというのがある。
歌詞の中にこんな一節がある
真綿色したシクラメンほどすがしいものはない

この歌詞を当時売れっ子だった評論家がとりあげて
すがしいなどという日本語は聞いたことがない
すがすがしいならわかるけれど。
本当に最近の日本の流行歌の歌詞と言ったら
こんな言葉を使って、、というようなことを書いておられた。
当時、僕は評論家もそんなにめくじらたてることはないだろう
小椋圭さんの歌詞は十分すばらしいのにと思っていた。
しかし、お茶席でもすがしという言葉がちゃんと通っているようだ。
そういえば小椋圭さんの歌詞に文句をつけていた
評論家の名前は今日ではほとんど忘れられていることに気づく。
ご亭主の話のなかで瓢箪が六つで無病とかけるということも知った。
なるほどそうやって掛詞で縁起をかつぐのかと思った。
お茶席が終わったところで僕はご亭主の先生のところにいって
もう一度お軸のことをちょっとお尋ねした
すると先生は
「ああ、いい忘れてましたけど
不如の字の不は×、如の文字は左が三角、右は○になっています」と
おっしゃった。
そういわれてみるとなるほど不如の二文字のなかにうまく
○×△の形が浮き出ている。
「ああ、ほんまにそうですね」と僕は言った。
先生は書体の名前とこの書を書いた方の名前も教えてくださったけれど
それは忘れてしまった。

お茶会をあとにしてインドカレーの店へ。
最近マスターのアシスタント、ジェイピーさんがお店にたっておられることが
多かったけれど今日は約11か月ぶりにマスターに店であった。
「マスターお久しぶりです」と僕は言った。
「久しぶりです。台風怖かったですね。
大丈夫でしたか」とマスターは言った。
「はい大丈夫です」と僕は言った。
「屋根も大丈夫でしたか」とマスターは言った。
「はい。マンションなので屋根は大丈夫です」と僕は言った。
「このへんは台風怖かったです」とマスターは言った。
「そうですね。お向かいのコンビニもガラスが割れてます」と僕は言った。
「このあたり、ガラスが割れたりシャッターが壊れた
店があります」とマスターは言った。
「そうですね。あの台風はこの30年で一番怖かった」と僕は言った。
「そうですか」とマスターは言った。
「このところずっとジェイピーさんが
お店にでていたけど、ここ一週間位は
マスターがお店にいますね」と僕は言った。
「ジェイピーさん10月19日までインドに
帰っています。
僕、長浜にもお店を持っていて
そちらのほうにずっといっていたら
こちらのお店の夜のお客さんが減りました」とマスターは言った。
ジェイピーさん日本語ができないから
仕方ないと僕は思ったけれどそれは言わなかった。
それからマスターは入ってくるお客さんのすべてに
第一声は「台風、大丈夫でしたか」と声をかけていた。
日本とインドで声のかけ方にお国柄の違いは
あるかもしれないけれどマスターは優しいなと僕は思った。





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